これまでマンガの中でも散々引っ張ってきた森さんの新能力は、おそらく全国百数十万のサンデー読者が一斉に「ぶっちゃけありえなーい!
」と本名陽子ヴォイスで突っ込んだに違いない、とてつもなくフェティッシュな「相手をメガネ好きに変える能力」だったのだ! というオチに驚愕。
基本的にこの感想はサンデーの掲載順に並べるようにしているのですが、でも流石に今週はコレに勝る衝撃はないね! と判断したので、今週の第一位は文句なしでコレです。どう考えてもコレです。
「ジョジョの奇妙な冒険」以来、いわゆるスタンドバトルものの作品はそれこそ沢山作られてきた訳ですが、さすがにここまでアレな能力を考えついた人は、そうそういないんじゃないかと思います。というか、仮にこんな能力を仮に考えついたとしても、この能力を活用した「読者の予想を裏切り、期待を裏切らない」ストーリーを構築することができる自信がなければ、絶対に実行には移しません。普通のマンガ家なら。
なので、あえてこんなネタを投入してきたからには、作者の側にはこのアイディアに対する絶対の自信があるはずです。おそらく今頃作者の福地先生と担当編集者は、全国のサンデー読者に対して「どうよ?」と満面の笑みを浮かべながら鼻息を荒くしているに違いありません。
まいりました! コレにはまいりましたよ先生! だから許して!
今回のエピソードを読んで、私は福地先生が「うえきの法則」で言うところのレベル2に到達したものと確信致しました。従来の能力とは趣があまりに異なる、この力をどんな風に使えばいいのか普通の読者ではちょっと想像できないタイプの新能力を提示したことにより、このマンガはついになんかもの凄いモノに化ける可能性を手に入れることに成功したのです。WELCOME TO NEXT LEVEL! なのです!
果たして「相手をメガネ好きに変える能力」というヤバい能力をこれからどう活かすつもりなのか、福地先生の手腕に注目したい所存です。
あと、最近福地先生はカワイイ女の子を描くのが巧くなりましたよね(フォロー)。
あっちの森さんはそんな感じで大革新を引き起こして大変なことになってますが、こっちの森さんは己が変わってしまうことを恐れて停滞ムードに。
私の経験からすると、「今のままで楽しく そーしてたいなー
」とかそんなモラトリアムな事を言ってるうちに10年くらいの歳月はそれこそあっという間に過ぎ去ってしまいますので、もしあなたがそういう人生をお望みでなければ、このタイミングで何かしらのアクションを起こした方が良いのではないかと思いました。
あー(学生時代の自分を思い出しつつ)
今回のエピソードの主眼は「ケンイチ君と彼の仲間のメガネ君との関係性を再構築する」ところにあると思って読んでいたのですが、実はこのエピソードがケンイチ×メガネの話ではなく、なんか知らない間に秋雨×逆鬼の話になっていたのでビックリしました。
この二人、いつの間にこんな離れていても気持ちが通じ合えるような関係に!?
でもよく考えてみたら、やんちゃな酒鬼とクールな秋雨って、ある意味王道の組み合わせなんですよね!
ナルホ!(納得)
ごきげんよう!(別れの挨拶)
前回登場時、妙に私の感じるツボに入った変態生徒会長カマキリ夫人×純情前髪っ娘スズカのコンビですが、さすがにこの二人の関係がああなってしまい、もはやセイジと関わる必要性がなくなった以上、今回で彼女たちは物語の表舞台から退場することになるでしょう。
こうなった以上、彼女達はこのまま少年誌どころか「ごきげんよう」の挨拶が飛び交う百合百合しいコバルト文庫の世界ですら表現できないような関係に突入し、そっちの方で幸せになって欲しいと思いました。
このマンガって、ちょっと道を外れている人達でも幸せを掴むことができるのがステキ。
あと、今週のまんカレMLの「ここがすごい!」のコーナーで「美鳥の日々」が取り上げられているのですが、『目が隠れていてもきちんと表情がわかるよね!! これぞ、プロの表現力!!
』とか『キャラの特徴を活かしつつ、インパクトある演出につなげる…やはりプロはスゴイね!!
』とか、なんか普段以上に井上先生を持ち上げていた印象を受けました。確かにプロの表現力は凄いんですけど。
何かあったんでしょうか。
今週のサンデーは、この他にも「小金の錬金術師」(サンデーGX編集長・談)と評されたヤバいネタ満載の「かってに改蔵」、もはや「黒賀村編」というよりは「黒賀三姉妹フラグ立て編」と表現した方がいいんじゃないかと思った「からくりサーカス」、ついにパンが1コマも出てこなかった「焼きたて! ジャぱん」、本筋である動物愛護の精神から遠く離れて奇人変人大集合っぷりを楽しむマンガにパラダイムシフトを起こした「ワイルドライフ」など、色々な意味でおもしろおかしいマンガがたくさん載っていたのですが、そんな中で真っ当に少年少女の成長物語をコツコツ描き続けている「結界師」を読むと、なんだか安心できます。あなたに逢えて良かったよ! みたいな!(どんなだ)
自分の中では、もう「金色のガッシュ!!」と共にサンデーの良心を象徴する作品です。
あまりにも突拍子がないので今後の展開が想像できない「うえき」のメガネ能力と違い、「結界師」の能力はとても判りやすく作られているため、読者が「結界能力を使ってどう敵と戦うのか?」と展開を予想できる楽しさがあります。なので、主人公達の能力に徐々に応用力を持たせていく今回のようなお話は、作品の幅を広げる意味でも、また読者の想像力を刺激する意味でも、とても大事な意味を持っています。
そんな地味でも大事なエピソードを、良守と時音が相互に相手を意識しながら成長して行く物語とリンクさせて面白いお話に仕上げている作者の力量は、ホントに大したものだと思いました。いやマジで。
「この方法がよく釣れるのは、オレオレ詐欺と似たような理由だよ
」
理由だよと言われましても!(感想)
「釣り」と「詐欺」の共通点を元にした釣りマンガを作ろうとする発想は良いのですが、「詐欺のテクニックは釣りに応用できる!」というアイデアを押し通そうとするあまり、何だか理屈ばっかりが先行して読んでいてお話そのものの説得力に欠けるものになってしまった気がします。
これだったら、釣り名人の主人公がプロの詐欺師相手に釣りのテクニックを駆使して大立ち回り! 逆に騙して釣り上げちゃったよ!(警察に)、みたいなお話にした方がカタルシスがあって良かったんじゃないかなぁ。
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