来週のサンデーから待望の「絶対可憐チルドレン」が始まりますが(いきなり)、ネットでざっと反応を読んだ限りでは、やっぱり「椎名高志といえばGS美神の人」みたいな印象が強いみたいで、それ以外のマンガ、特に週刊少年サンデーに掲載された以外のマンガに関しては、さすがに「美神」程には知られていないみたいです。
確かに椎名高志先生は「GS美神極楽大作戦!!」が不動の代表作であり、もし先生が何か事件に巻き込まれた時には新聞記事に『「GS美神極楽大作戦!!」の作者として知られる椎名高志さん(40)が、バールのようなものを持った…
』とか書かれちゃうのは間違いないんですけど、でも椎名高志は「GS美神」だけの漫画家ではない! 「美神」から「絶チル」に至るまでには、途中で色々なことがあったんですよ! という認識を広めることを目的に、「美神」終了から「絶チル」に至るまでの歩みを簡単にまとめてみることにしました。
ファンサイトとして。(←ファンはそんな例えしません)
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「GS美神」史上最長のエピソード、別名ルシオラ編が終了。「とりあえず…これでハッピーエンドってことにしない?
」という美神の台詞に象徴されるオチの付け方に対して、ルシオラに入れ込んだコアなファン達が大騒ぎに(→当時のログの総集編)。
その影響か、これ以後「極楽大作戦」の中ではラブコメめいたストーリーをほとんど扱わなくなる。相対的に、作品のパワーも低下傾向になったことは否めない。
コミックス39巻で終了。当時のサンデー最長連載記録を樹立。
1550年代の戦国時代を舞台に、若き日の織田信長と、後の豊臣秀吉となる(はずだった)日吉との間で繰り広げられるドラマを描いた、歴史モノ作品。物語後半では「時間移動」や「並列世界」の概念が出てくるなど、SF要素が強くなって来るところが椎名高志のマンガらしいところではあるが、前半の「椎名流解釈に基づいた純粋な歴史マンガ」的なノリを支持する読者も数多い。
また、作者はそういう人気を全く狙っていなかったにも関わらず、女性ファンが付いたことでも有名。最終的には「男性陣が風呂に入っているところに女刺客が一人で忍び込む」という、少年マンガ的に間違ってるシーンも登場。読者をビビらせた。
ただ、「GS美神」的なノリを望んでいた古来のファンからは、今ひとつ支持を得られなかった印象がある。比較的短期で連載が終わったのも、その辺の人気の伸び悩みが一因だったのかも知れない。
19世紀のロンドンで、シャーロック・ホームズと「GS美神」のドクターカオスとマリアが接触していた! という設定の、「極楽大作戦」の外伝的作品。ホームズの二次創作としても、「美神」におけるカオス初登場に繋がるエピソードとしても完成度が高い。
歴史的な人物を自己流にアレンジしてパロディ化する手法は「MISTERジパング」と同様であり、「パロディに強い椎名高志」を改めて印象づけた。ホームズは歴史上の人物じゃないけど。
都内で銭湯を営む親子のところに、クーデターを起こされて自分の星から亡命してきた王子が空から降ってきた! というところから始まるご町内SFコメディー。
「SFコメディーの椎名高志」を全面にアピールする作戦で勝負に出たが、結果的に惨敗。コミックス3巻で打ち切りという厳しい結果に。「GS美神」終了以降の方向性の限界というか、行き詰まりを象徴する作品だったと言える。
作者が「絶チル」に対して今もって自信が持てないのは、得意のフィールドであったはずのSFコメディーで勝負して勝てなかった「カナタ」の時のトラウマがあるためではないか、と勝手に推測している。
江戸時代末期、仲間を求めて江戸にやって来た人狼族の藪月と、彼に関わることになった岡っ引きの清次を主人公とした物語。「一番湯のカナタ」打ち切りの興奮も冷めやらぬ時期に掲載されたものの、逆に椎名高志氏の地力の強さを証明することになった、クオリティの高い作品。
今でも2ちゃんねるの801板サンデースレッドでたまに話題に出てくる程の根強い人気を持つ(←そういう評価の仕方はどうか)。
大学受験に失敗し、彼女にもフられ、絶望の底にいた主人公の海老名君の元に、「パンドラ」と名乗る明らかに人間じゃない女性が突然空から降ってやって来た! という導入で始まるラブコメディー。
特筆すべきはやはり最終回の第3話で、主人公達が「空から降ってきた人間じゃない女のコ、最高ッ!!
」と叫び出すシーンが特に印象に残る(→当時の自分の感想)。人間じゃない女の子を出したばっかりに大変なことになったアシュ編のルシオラ騒動以降引きずっていた作者の中の「何か」が、完全に吹っ切れたことを象徴するエピソードだった。
現在の「絶チル」に続く椎名高志の復活劇はここから始まった! と言っても決して過言ではない、ある意味ターニングポイントとして記録されるべき作品(かも知れない)。ちなみにコミックス未収録。
サンデー超増刊に三ヶ月連続して掲載された読み切りシリーズ。「この中で一番評判が良かったお話を、次期連載の候補作品として編集部に持ち込む」みたいな決意が作者にあったようで、どのマンガもこのまま連載化されてもおかしくないくらいの深みを持っていた。「パンドラ」で何か大切なものを吹っ切っちゃった椎名氏の当時の勢いを感じる。
結果的に「絶対可憐チルドレン」が後の連載化作品として生き残ったのはご存じの通り。
タイムスリップ能力を持った少女・コヨミが、能力を駆使して人命を救うために戦う様子を描いた、極めてシリアスな雰囲気のアクションドラマ。
長年に渡って小学館の雑誌でキャリアを積んできた椎名高志氏が、講談社の青年コミック誌でマンガを描いた、という意味で重要な意味を持つ作品。コミックス未収録。いずれは小学館から出るコミックスに収録される(らしい)。
超増刊での高評価を受け、改めて週刊連載用にリメイクしたバージョン。少女達の指揮を執る水元の名前が皆本になったこと、超増刊版には存在していた彼の「アンチアンチエスパー」能力がなくなって普通の人間になったこと、そしてこの物語の最終的な目的が「三人娘の健全な育成」にあり、育て方を間違えたら世界が彼女たちの手によって破滅する未来が待っている点が明示されたこと、などの変更点がある。
特にSFが大好きな人たちの感じるツボを刺激したのか、2005年星雲賞コミック部門にノミネートされる程の高い評価を得た。
戦国時代、クモの物の怪・蜘蛛巣姫が、落ち武者となった八郎太に恋をした、という感じのライトなコメディー。
「男運に恵まれない独身女の悲哀」を描ける程までに漫画家としても人間としても成熟した、作者の大人の余裕を感じる一品だ(おおげさ)。コミックス未収録。
CBC/TBS系列で放送された「ウルトラマンネクサス」のコミカライズ版。椎名高志が原作付きの作品を幼年誌である「てれびくん」で描いた意外性や、「ウチのネクサスはしゃべらない」という作者の言葉に象徴される従来のウルトラマンコミックとは路線が異なる制作ポリシーなどが、「てれびくん」を読んでいる特撮ファンなど一部の人達の間では評判に。
『ネクサス対ビースト』という子供にも判りやすい構図を中心にしながら、原作の持つシリアスなテイストも失うことなくマンガ化することに成功。この経験は、椎名氏にとって子供向けマンガを作ることに対する自信に繋がったのではないのだろうか。
大さっぱなあらすじはサンデーGX公式ページを参照。いわゆる「大空白期」を題材にした作品。こちらは前作とは趣が異なり、(「GS美神」の外伝というより)「椎名流ホームズ」的な雰囲気が色濃いのが特徴。
また、「絶チル」の習作(描かれたのは短期連載版「絶チル」よりも前)という位置付けということもあってか、吸血鬼少女のエリスがやたらかわいい。ちゃんと正当派のツンデレが描けるんだと思った。
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あと、これを書くために久しぶりに「MISTERジパング」を読み直してみたのですが、今改めて読んでみるとこのマンガすげえ面白いんですけど。どうしよう。
このマンガ、「武田は滅びる」と予言して信玄の元から逃げたヒカゲが日吉と遭遇するところから物語が始まることに象徴されるように、「己に定められた運命と戦う」ことが物語の大きなテーマになっていたんですね。ヒカゲを取り戻して滅亡の歴史を書き換えようとした信玄、ヒカゲ(やヒナタ)や仲間達と共に新しい歴史を作ろうとした日吉、そしてそんなことはお構いなしで自分の天下を作ろうとした信長と、「定められた運命」に対するアプローチの仕方がそれぞれ異なるところがこの物語の肝だったように思えます。
「己に定められた運命と戦う」というテーマは、そのまま「絶対可憐チルドレン」にも通じるものがあります。このテーマこそが、椎名先生がマンガを通じて訴えたいことなのかも知れませんね。
とか、ファンサイトっぽいことを書きながら今回はおわり。
来週から始まる「絶対可憐チルドレン」も、「GS美神」と一緒に椎名先生が事件に巻き込まれた時に、新聞記事に名前と一緒に併記されるくらいの代表作になって欲しいと願っています。ファンとしては(←ファンはそんな例えしません)。
『GS美神』を読んだことはないけれど『ミスタージパング』で椎名ファンな者です。はじめまして。
というか、そんな分際でファンを名乗っても良いのかしらん、と不安です。
39巻もあるのか!と驚きましたが漫画喫茶なんかで徐々に読んでみようカナ。
『絶対可憐~』が星雲賞にノミネートされるほどとは、驚きましたー。
え~と・・・私は?
マックス2話、エレキング登場。ビルのセットの出来が時々一昔前のフジのやたら金をかけた特撮パロディのそれに見えてしまう。ライティングとかは頑張ってるんだけど。必殺マクシウムカノン前の集光
子供向け雑誌の『てれびくん』でウルトラマンの漫画書いてましたよ?
・http://cwww.pos.to/whatsnew/blosxom.cgi/comic/zettai/history.htm 「GS美神極楽大作戦!!」の作者として知られる椎名高志さん(やっぱりついこう言ってしまう(笑))の、これまでの歴史を振り返る企画。 個人的には、「一番湯のカナタ」大好きだったんだ俺!なんで人気がないのか、打ち切られたのか当時は理解に苦しんだよ…それはともかく、「MISTERジパング」とか、たまにしか読んでなかったんだけど面白そうですねえ。 あ、でも…えーと、「ウルトラマンネ ...
>おきのんさん
はじめまして。今後ともよろしく。
何か心の琴線に触れたモノがあるんだったら、堂々とファンを名乗って下さい。
「美神」は全部一気に読もうとすると大変なので、とりあえず最初の9巻まで読んでみることをオススメします。
自分の場合、4巻の愛子のスライディングで琴線を掴まれました。
>ウルトラマンネクサスさん
椎名ネクサスはしゃべらない!
というか、これ書く時に失念してました。すみません。ネクサスに関する記事を追加しておきました。
るーさん、および他の皆様、ご指摘下さりありがとうございます。
まだ他にもここで書いていないマンガはいくつかあるのですが(アッパーズ休刊号に掲載された「RED」のパロディとか、DVD-BOX版「GS美神」のおまけマンガとか)、これらに関しては今回の記事の趣旨からしてまあ書かないでもいいやー、と判断したので外してあります。
まあ、DVD-BOX版のおまけマンガは読んだことないので何も書けないんですけどねー
ブログでサンデー感想を書くに当たってこちらのサイトにリンクさせて頂きました。
いつもこちらのサイトは見ているだけだったのですが。。。
いつも感想がナイスなトコをついていて大好きですw
今後何かある際は宜しくお願いします。
椎名先生も作品も面白いけど、作者はもっと面白いタイプのセンセですが、結構今回は連載開始前から短編での前評判がやたら高いのにも関わらず、かなり慎重というか、泣きが入ったコメントも多いようなんですが、まあでもそのぐらいの心理状況で書いてた方が面白そうな気がしています。(C-WWW)(情報元:テレビ探偵☆ツンドラタイガー) amazon:『有・椎名百貨店』『GS美神極楽大作戦!!』『MISTERジパング』『椎名百貨店超GSホームズ極楽大作戦!!』(椎名隆志/小学館)
椎名高志先生から贈り物「絶対可憐チルドレンス」スペシャル壁紙プレゼント!椎名ファンの間では待ち望まれていた「絶対可憐チルドレン」が週刊少年サンデー33号から連載開始。第1話をあえて評価するならば普通。なぜかって読み切りのときの設定と世界観への導入だったか
元ヲタクのはしくれ、マンガは大好きです。そもそもヲタクの道に入ったのは友人に借りたマンガから。そのマンガとは「GS美神 極楽大作戦」でした。 TV版GS美神 DVD-BOX 確か友人の部屋で週刊少年サンデーを読んでいたらちょっと面白くて「これ面白いな」なんて話をしたら..
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