2005/04/23

■ワイド版GS美神20巻

 お久しぶりです。深沢です。
 世間的には「かってに改蔵」のやっちまった最終回で大騒ぎになっているんじゃないかと思うのですが、今回は先週発売されたワイド版「GS美神」の最終巻の話です。
 ここは一応そういうサイトなので。

 それで「GS美神」の最終巻ですが、やっぱり「GS美神 '78!!」が何度読んでも秀逸。こんな勢いのあるラブコメ、今のサンデーじゃ滅多に読めません。
 前にも書きましたけど、とにかく唐巣神父が男として格好良過ぎます。「失恋した美智恵に負けない力を身に付けるために修行の旅に出る」という最終話における彼の行動が、もう男らしすぎて辛抱たまりません。この時の彼は、理由は自分でも何だか判らないけど、とにかく「美智恵と吾妻がくっついた」現実に対して反逆したかったんでしょう。その気持ちよく判るぜ神父!

 という訳で「GS美神'78」はたいへんに面白いのですが、それ以降の話になると、さすがに「連載末期」という言葉の響きがよく似合うグデグデした雰囲気が、どことなく漂って来るようになります。
 特に「呪い好きサンダーロード!!」や「もし星が神ならば!!」を初めて読んだ時なんかは、「この程度のボリュームなら1話でコンパクトにまとめた方が面白そうなのに、どうしてわざわざ2話構成にするのか? 作者や編集部に何かあったのか?」とか好き勝手に思っていました。やっかいですね(オレが)。

 またこの時期は、絵柄の面でもちょっと荒れ気味というか、キャラクターが不自然なまでにオーバーな表情をする記号的な表現(笑い目+涙+鼻水のアレです)の多用っぷりが目に付くような気がします。実際、「GS美神'78」までと「呪い好きサンダーロード」以降では、作風そのものが微妙に変わっているように見えてしまう時もありました。やっぱり、この時期に作者に何かがあったのか? とか勘ぐってしまうのがファン心理のやっかいなところですよね(自己肯定)。

 更に、当時は「もし星が神ならば!!」に対して「織姫が化けるのは、美神じゃなくてルシオラであるべきだ!」なんてツッコミがあったり、「マジカル・ミステリー・ツアー!!」に対しては「せっかくおキヌちゃんと横島のツーショットなのに、ラブ度が足りねえ!」なんて意見が結構このサイトに寄せられたのも記憶に残っています。やっぱり、みんな色々と引きずっているものがあったんでしょう。
 作者が提供するものとそういう読者が望むものの間の溝は、この時期になっても埋まることはなかったのです。

 その後、サンデーで「ここより永遠に!!」が掲載された頃にGS美神の連載終了が正式に作者からアナウンスされ(サンデーファン感謝イベントのトークショーで椎名氏自ら「今最終回の原稿を描いている」と暴露して観客をビビらせたそうな)、この作品は終局に向かいます。

 最終回「ネバーセイ・ネバーアゲイン!!」は、今読み返せば「GS美神」という作品の本来のテーマを端的に表現しているよくできたお話になっていると思うのですが、でもやっぱり当時は多くの読者の中にまだ色々と引きずっているものがあったためか、人間関係にケリをつけないままうやむやのうちに終わってしまったことに対しては、(それが作者の狙いであるのが判っていても)やっぱり釈然としないものを覚えた方も多かったのではないのでしょうか。

 連載終了後に読んだ、とある「GS美神」の同人誌の中にあった「『GS美神』は最高のマンガだったが、最終回は最高ではなかった」という言葉が、その釈然としない感覚を上手く表現しているなあと思いました。
 アシュ編終了後の「GS美神」は、既にそういうコアなファンの期待に沿えるマンガではなくなっていたのかも知れません。

GS美神極楽大作戦!! 20 (少年サンデーコミックスワイド版) GS美神極楽大作戦!! 20 (少年サンデーコミックスワイド版)
椎名 高志
小学館 / (2004-07-15)
 
発送可能時間:

※ワイド版感想の締めとして、この機会に「GS美神」に対する個人的な想いを書いてみるつもりでしたが、ちょっと時間がなくてまとまらなくなっちゃったので、その辺はまた後日。

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