『人か魔か牛股権左右衛門
』
獣かそれ以下か 鬼かそれ以上か
ここで「シグルイ」の感想書くのも久しぶりなような気がします。
で、前巻のシグルイ8巻は、「剣術」という戦闘技術の究極に行き着いた藤木源之助・伊良子清玄両名の技の応酬を理論整然と描いた、非常に繊細な話だったという印象だったのですが、この9巻では源之助の片腕が落ちたと同時にそんな繊細さはもはや微塵もなくなり、魔神モードに入った牛股権左右衛門が内蔵をまき散らしながら大暴れする姿を読んで呆気にとられるしかない、という話に早変わり。
8巻の頃から牛股がずっと我慢してきた「ここにいる全ての輩を片端から斬り殺してしまいたいという衝動
」が、ここに来て大爆発してしまったのでしょうか。
また自分の記憶だと、原作における牛股が虎眼流を継げない理由は「既に結婚して奥さんがいるから」だったと認識していたのですが、この「シグルイ」だとなんか許嫁を殺害した上に自分の睾丸を(以下略)、みたいな話になっていてちょっとビックリしました。でもこれは「シグルイ」であり、「シグルイ」である以上はこれくらいのことは当たり前なのです。
この巻を読んで、シグルイ4巻で虎眼先生が鯉を生でボリボリ囓っているのを目撃した牛股師範が「ごゆるりと…
」と呟いて静かに退散した時の心境が理解できた気がしました。今の山口貴之先生は、緩慢な時の虎眼先生くらいに絶好調だと思います。よく判らない表現ですが誉めてます。
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