2004/08/02

■サンデー35号感想がやっと書けた

  1. 帰ってきた夏目義徳先生(クロザクロ)
  2. 帰って来たジークフリート(史上最強の弟子ケンイチ)
  3. 百合奈×時音(結界師)
  4. 最後の4人(からくりサーカス)
  5. アム姉(暗号名はBF)

1. 帰ってきた夏目義徳先生(クロザクロ)

 かつてサンデーで連載していた「トガリ」が中途半端な形で終了してから早2年、何というかこうすっかり『不遇の作家』のイメージがつきまとう漫画家になってしまった感がある夏目義徳先生が、ついにサンデーに復活。本当に良かったです(真顔で)。

 肝心のマンガの内容も、(絵柄も含めて)如何にも夏目氏らしいダークな雰囲気が漂うものになっており、ファンの期待を裏切りません。
 今回の第一話は、分不相応な力を手に入れてしまった主人公の今後の運命、主人公が暴力に目覚めた時だけではなく幼なじみの女の子に殴られた時にも蕾を膨らませたザクロの木の正体など、読んでいて続きがたいへんに気になる内容であり、個人的には大満足でした。連載作品の第一話としては申し分ない出来なのではないのでしょうか。

 今後の路線としては、主人公の幹人が自分の過ぎた力を持てあまして理性と暴力衝動の間で葛藤する、アメリカンヒーロー的な苦悩を描く方向に行くのかな、と思いましたがどうだろう。映画「スパイダーマン」で言うところの With great power comes great responsibility(大いなる力には大きな責任が伴う)みたいな。気弱だけど善良な少年が偶然スーパーパワーを身につけてしまう、というところもソレっぽいですしね。

 とにかく個人的にも夏目氏は大好きな漫画家ですので(特にその生き様が)、「クロザクロ」には大いに期待させて頂きます。

2. 帰って来たジークフリート(史上最強の弟子ケンイチ)

 「ケンイチ」に初めてジークフリートが登場した号と、夏目氏の「大蛇」という読み切りマンガがサンデーに掲載された号が一緒であることはご存じですか?(挨拶)

 つうか何でジーク様がこんなところに! 見てくれは美形なのにいくら殴られてもへこたれないゾンビのような打たれ強さが特徴だったり、「やや弱く!」と叫びながら強烈なパンチを繰り出したりと、外見と行動のミスマッチっぷりがすさまじ過ぎてギャグキャラと化していたジーク様が! 一度退場した時は、もう二度と出てこないと信じていたジーク様が! 実は人気あったのか彼!
 なんか新島とも相性良さそうですし、もしかしたら今後思いも寄らない大活躍をするかも知れません。変態ジーク様が「ケンイチ」の今後の鍵を握る存在になるなんて、世の中は不思議でいっぱいです。

3. 百合奈×時音(結界師)

 この組み合わせは正直予想していませんでしたが、妙に面白く感じました。このコンビ、結構行けるかも。

 このマンガにおける時音の基本的な役割は「暴走しがちな良守の行動にツッコミを入れてコントロールするクールなお姉さん」だと思うのですが、 百合奈は明らかに時音の常識の想定外に位置するキャラなので、彼女のクールなスタイルはおそらく百合奈には通用しません。時音の想定外の角度から百合奈のボケが飛んで来た場合、時音はそれを良守の時と同様にクールに裁ききれるか? と申せば、これは絶対無理でしょう。
 ツッコミキャラの時音にとって、百合奈というボケキャラとの漫才は、時音にとって新しい芸風の獲得のチャンスであるのと同時に、彼女の芸人としての才能を百合奈に吸い取られかねない可能性も内包しているのではないかと思うのです。これは理屈じゃないです。私の芸人に対するカンがそう言ってるんです。

 つまり、時音はアドリブで突っ込まれると弱いタイプと見たね!(どんな結論だ)

4. 最後の4人(からくりサーカス)

 で、最後の4人では誰?(挨拶)

 個人的には、初登場なのに早くも「ええ、もう、おふくろの乗るロバのしっぽにかけて!」と意味不明なことを口走っている、全身白タイツ+頭に角を生やした奴が最高に気に入りました。たかが自分が退屈なことを表明する程度で「おふくろの乗るロバのしっぽ」という変なものを掛けちゃうユーモアのセンスは、早くも隅に置けないものを感じさせてくれます。
 格好はクラウン風なのに、肝心の「芸」の何たるかを理解していないオートマータが多い中、こいつは芸人としてかなりやりおりそうな予感。これは理屈じゃないです。私の芸人に対するカンがそう言ってるんです(またか)。

5. アム姉(暗号名はBF)

 掲載位置的に苦戦を強いられている「暗号名はBF」ですが、前回から始まった「国王陛下のBF」編は、とにかく「アム姉」ことアムネジアが素晴らしいです。
 このマンガに登場する大人の女性キャラは、「誘う目」の能力の影響があろうがなかろうがとにかく最初からやる気まんまんなムードを醸し出しているケースが多かったように思えるのですが(偏見)、今回のアムネジア姉さんは流石にひと味違います。

 何が良いって、先週のエピソードで団に向かって「形はどうあれ、あんたは東京を守った。その結果が大事なのさ」と、ちゃんと団の眼を見据えながら言ってたところが最高にグッと来ました。おそらく今の団少年に一番必要だったのは、彼女のように「君の行動は正しい」と自信を持たせる言葉を、彼の目を見据え、彼の言葉を聞きながら、優しく投げかけることだったんじゃないのでしょうか。彼女はそれを易々とやってのけ、団を立ち直らせただけでなく、団からの信頼をも得ることに成功したのです。
 この台詞が出た時点で、個人的にはアムネジアこそが全てを見通す「千耳千眼」を持つ人物(=国王陛下)でもおかしくなさそうだなー、と予想しました。

 そして今回のお話でも、敵の瞳のわずかな変化から必要な情報を取り出す能力(裁く目)を披露したり、後ろ蹴り一発で敵をKOしたり、団少年を押し倒したりと大活躍。アム姉大暴れです。闊達な女性を生き生きと描く作者の才能は、師匠の椎名氏譲りでしょうか?
 「まもなく連載が終了するのでは」と不遜な噂がネットで流れ始めている今日この頃ですが、個人的にはこの作品はマンガとしてものすげえ面白くなって来たと思っているので、まだまだ頑張って欲しいですね。

Posted at 00:00 | WriteBacks (2) in マンガ::週刊少年サンデー
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先読みの目

>この台詞が出た時点で、個人的にはアムネジアこそが全てを見通す「千耳千眼」を持つ人物(=国王陛下)でもおかしくなさそうだなー、と予想しました

1話目からそれっぽい雰囲気しか出てなかったと思ったが
漫画読みまくっている割に先見の目がない?

Posted by 通りすがり at 2004/08/06 (Fri) 11:55:14

ご指摘どうも

> 漫画読みまくっている割に先見の目がない?

 まあ、マンガを沢山読んでも先見の目はまったく鍛えられませんからねえ(笑)

Posted by fukazawa at 2004/08/07 (Sat) 21:53:01
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