2005/02/09

■てれびくん3月号

 イケメン俳優目当てに「仮面ライダー剣」を見ていた職場の同僚の女性が、「仮面ライダー響鬼」の主人公のあまりのオッサンっぷりを目の当たりにしてガッカリしてる様を横目で見ながら内心でほくそ笑んでるイケてない男性の皆さん、こんにちはー!(挨拶)

 個人的には、今度の「響鬼」は超オッケーです。口から炎を吹いて敵を焼き殺したり、敵の怪物に馬乗りになってドンドコ太鼓を叩くと敵がバラバラになったりする、従来のライダーの概念ではありえない戦い方に惚れました。主人公の普段の飄々とした態度も、むしろ「大人の余裕」が感じられてちょっと素敵。真のヒーローの格好良さとは、顔じゃなく態度に現れるものなのさ! みたいな清々しさがあります。

 正直、ここ最近の仮面ライダーには個人的についていけない雰囲気があったんですけど、雰囲気をガラリと変えた「響鬼」なら好きになれそうな予感。しばらくはがんばって朝起きて観てみようかと思いました。

 そんな訳で、今回は「てれびくん」3月号掲載の漫画版「ウルトラマンネクサス」の話題なのですが(いきなり)。

 今回のエピソード(原作13話~16話)は、主人公の狐門が色々とヒドい目に遭い、「誰かを守るために戦う難しさと辛さ」に直面して悶々と悩むところがメインテーマなお話。コミカライズ担当の椎名先生が『宇宙船』のインタビュー記事で「重いテーマがいつもの5割増しくらいで困りました」と言ってた程に展開がハードなのが特徴です。

 特にドラマの前半(13~14話)は、幼い兄妹がビーストに操られた両親から「食事」と称して薪を食べさせられるなどの虐待を受けたり、妹の方がビーストの体の中に取り込まれちゃってピンク色の肉壁の中で泣き叫んだり、恋人を失った憎しみに燃える狐門がそうとも知らずにそのビーストを撃破しちゃったり(女の子は当然瀕死の重傷に)、狐門が妹の兄から「どうして撃ったんだよ!」と罵られて落ち込んだりと、そりゃもうたいへんにイヤな展開の連続。
 親が怪物に殺されて操られるだけでも子供にとっては恐ろしいってのに、その上怪獣の中に閉じこめられて正義の味方に撃たれちゃうお話を本当にやってしまうところが、今回の「ネクサス」の恐ろしいところです。やはり、「ネクサス」はあくまで本気です。本気で新しい伝説を創ろうとしています。
 何はともあれ、もし「ウルトラマンネクサス」という番組の目的が『子供を怖がらせること』にあるんだったら、ンもうこの番組は大成功ですよ! と誰彼かまわず豪語したくなるくらい、本当に凄惨なエピソードでした。

 ――ただ、この辺のキツい展開は、ドラマ後半(15~16話)になって主人公の狐門が「これ以上不幸な人を増やさないため、受けた憎しみも悲しみも全て背負って戦う」決意をするために必要な試練でもあるのもまた事実。
 今回の一件は、「大切なものを守れなかった憎しみだけで戦っても何も解決しない」「未来を創るためには様々な憎しみや苦しみを受け入れた上で乗り越え、光を信じて先へ進まなければならない」――ということを彼が自覚するために必要なプロセスなのです。「ネクサス」を語る上では、この部分を欠かすことはできません。

 果たして椎名版「ネクサス」では、このキツい部分をどう表現するのか? 椎名キャラデザのロリロリな女の子がビーストの肉壁の中で恐怖のあまり泣き叫ぶ、萌え萌えなシーンは観られるのか? と、邪な気持ちでマンガ版を読んでみたのですが、

 さすがに、子供がヒドイ目に遭うシーンはカットされてました。
 まあ当然ですよね…(←最初から期待するなや)

 今回のマンガの方では、主人公が挫折から立ち上がるドラマ後半(15~16話)の方の展開をクローズアップする形で構成されています。
 主人公が凹む描写は、前回死んだ狐門の恋人・イコ(の幻影)を再びネグリジェ姿で登場させ、彼女に「いっしょに(闇の世界へ)行きましょう…」と誘惑されて狐門が悶絶する形で表現されています。このイコの姿が必要以上にエロいため、オレの脳の中の幼稚園児要素が性に目覚めちゃいそうで大変でした(バカ)。

 そんな感じで狐門を更に精神的に追い込み、闇の世界へと追いやろうとする溝呂木(ダークファウスト)と、彼を闇から救い出そうとする姫矢(ネクサス)による戦いを経て、最後は狐門とネクサスが再び目と目で通じ合って(←最重要)協力することでビーストを撃破! 狐門が「これ以上誰かを不幸にしないため、僕も戦う! もう迷わない!」と再び戦う決意をしてエンド! というドラマ後半の一連のシークエンスを端的に再現することで、今回の「ノスフェル編」のテーマ性を提示する手法を取っています。

 要するに今回のドラマの主眼は狐門の成長にあった訳なのですが、それを「恋人の死を乗り越える」という典型的で判りやすいヒーロー的展開に収斂させたところが、今回の椎名ネクサスの見所だったのではないかと思いました。この展開に行きつくまでに、相当悩んだんじゃないんでしょうか椎名先生。お疲れさまでした。
 こんなキツい脚本をあと半年近くも作り続けるなんて大変だなあ(笑)。

 あと、今月発売の「宇宙船」には、この漫画版「ネクサス」に関する椎名先生へのインタビュー記事が掲載されています。
 内容は、主に漫画版の制作過程の説明や漫画を作る上で留意している点など、(Webでも既に一部語られている)漫画の設計や作画に関する話題がメインだったのですが、今回の仕事を持ってきてくれたのがかつて「GS美神」の担当だった方であることや、その担当の方が「てれびくん」に異動してからは先生のお子さんのために時々グッズを届けてくれていたこと(羨ましい!)、などの裏話も載ってます。
 椎名先生の情報には飢えているけど流石に「てれびくん」を買う踏ん切りまではつかない、微妙な心理状態で毎日を悶々と過ごしている椎名ファンな方々にとってはかなり貴重な記事だと思われますので、見かけたらぜひご一読を。「ネクサス」マンガも1ページだけ掲載されてます。ウルトラマンスーツの皺までリアルに描き込まれている点に全員注目のこと。

 今回「宇宙船」(というか、この手の特撮情報専門雑誌)を久しぶりに読んだんですけど、TV番組の情報量そのものは、実は「てれびくん」とそんなに変わらないんじゃないか、と思いました。
 基本的な情報ソースは一緒なはずなのに、対象としている読者の違いによって表現の仕方がこんなにも変わるものなのか、とちょっとビックリ。雑誌って凄い。

Posted at 00:00 | WriteBacks (1) in マンガ::てれびくん
WriteBacks

Posted by at 2006/09/07 (Thu) 06:25:23
TrackBack ping me at
http://whatsnew.c-www.net/comic/tvkun/tvkun0503.trackback
Post a comment

writeback message: このサイトのコメント受付は終了しました。

powered by blosxom  track feed