2004/04/20

■ルシオラがまだ死んでないワイド版17巻

 ワイド版最新巻の表紙はルシオラでしたね!

 とか、微妙に時期を外したことを言いながらこんにちは。
 本来ブログというメディアは速報性が売りなはずなのですが、今のところ「更新が楽になるツール」としか使ってないのでアレです。深沢です(挨拶)。

 で、ワイド版17巻の見所は、勿論そのルシオラを軸として物語がラブにコメって行くところにあります。ルシオラというキャラを横島に惚れさせる方向に話の舵を切る路線変更が大当たりし、読者も(おそらく作者も)ノリにノッていたのがこの頃。この辺がアシュ編で一番面白いところだと思います。
 そんな中で物議を醸してこのサイトでも大騒ぎになったのが、「甘い生活!!」(その4)のエピソード。横島がルシオラと初めてキスをした思い出の場面を、よりによって「美神令子とのキス」に差し替える夢を見ていた! というシーンが登場、横島×ルシオラ路線を支持していた多くの読者から反感を買う結果となりました。当時のログはここから読めます

 もっとも、今ワイド版でまとめて読んでみれば、ちゃんと前の方で横島と美神の結びつきの強さを読者に再認識させるエピソードを提示しているのが判りますし(「GSの一番長い日!!」のその6・9など)、それより何よりコミックス二十数巻分に渡って積み重ねてきた二人の関係を考慮すれば、やっぱり「心の底では横島は美神のことを想っている」ことは読者も納得できるだろう――と、作者は考えていたんじゃないかと思われます。

 が、結果的にはこれが逆に「作者はどうあってもルシオラを不幸な目に遭わせるつもりではないか」と、疑心暗鬼を抱かせるきっかけになってしまったような気がします。
 この時既に熱心なファン達は、この作品の基本形態であるところの美神・横島コンビの関係よりも横島とルシオラの心の絆の方がより強い、横島はルシオラと結ばれるのが相応しい――と、真剣に想い始めるようになっていたのではないでしょうか。それだけの魅力が、ルシオラというキャラにはあったのです。

 この辺のエピソードの中には、「彼女のいる横島なんか横島じゃないとかと手紙でぬかすかーッ!」なんて暗に読者の意見を作者が揶揄するような台詞が出てきますけど、実際作者もファンからの声の強さに戸惑っていたのかも知れません。

 あと話は変わりますが、改めて読んでみてつくづく思ったことがあります。ベスパはいい娘です。

 この巻で彼女は主人であり創造主であるアシュタロスに対する想いを露わにし、ルシオラ達と戦う覚悟を決めるのですが、でも彼女の思い人であるアシュ様は、今考えてみれば分の悪いギャンブルに全てを賭けちゃう破滅型の性格が災いして負け犬人生まっしぐらで将来性皆無ダメ人間だと思うんですけど、そんなダメな男に甲斐甲斐しく尽くすベスパの姿は、哀れを通り越してもはや感動の域に達しています。

 直情的に行動して一時の幸福を手にしたけど結果的に身を滅ぼしたルシオラの生き方と、結局幸福にはなれなかったけど最後まで恋人に尽くして彼の最期を看取ったベスパの生き方。コミックの方ではいずれ己の愛と信念を賭けて戦うことになる二人ですが、どちらも自分の恋に対して正直な態度を取ったという意味では、結局似たもの同士だったのかも知れません。惚れた男がダメ人間なところも似ていますしね。
 ルシオラの悲劇性ばかりが取りざたされ気味なアシュ編ですが、ベスパもルシオラと同じくらいの悲しみを背負っていたのだということを忘れてはいけないと思いました。

 連載から約5年、この歳になってようやく判る、本当の女の魅力。
 私も、ベスパみたいにおっぱいが大きい女性が素敵だと思えるようになりましたよ(おっぱい?)。

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