SFとラブコメとパンツに満ちあふれた、みんな大好き「成恵の世界」の最新刊。
SFマインドはこの巻でも相変わらず健在。この巻の表題作「時台屋の女房」で周囲の世界が徐々に過去に退行していくシーンがジャック・フィニィの「ゲイルズバーグの春を愛す」を彷彿とさせ、個人的にちょっとグッと来た。あと「SHOOTING STAR」は物言わぬ機械と人間が心を通わせる話、というだけで超グッと来る。何を考えているのか判らない機械は常に萌え対象だ。
またラブコメ的な部分も、「時台屋の女房」の超時空レベルの恋愛劇の他、香奈花の微妙な乙女心の変化を描いた「お熱いのはお好き?」、中学生レベルのほのぼのしたエロティシズムに溢れた「トラぱら」と、どれも心に来る良作。
そして勿論「成恵」と言えばパンツだが、この巻では特にバチスカーフのパンツと野球部マネージャーのパンツが印象的だ。SFとラブコメとパンツが高いレベルで融合した面白さがここに。
ここ最近の「成恵」の中でも、かなり完成度が高い巻なのではないかと思った。中学生以上のオタク男子なら必読レベルのクオリティを絶賛キープ中。
四コママンガが衰退傾向にある週刊少年誌界において、「グルームパーティー」「O-HA-YO」「がんばれ酢めし疑獄!」と四コママンガの良作をリリースし続けている週刊少年チャンピオンで現在連載中の四コママンガがコレ。
作者は「酢めし疑獄」の施川ユウキ氏。
表紙や帯はサザエさん系の「ほのぼの四コママンガ」を連想させるように作ってあるが、実際の中身は作者独特の黒みがかったユニークなユーモアセンスに満ちあふれているのが特徴。主人公のサナギさんの笑い声の擬音で一番多いのがよりによって「ゲラゲラ
」であるところが、このマンガのギャグの傾向を端的に表していると思われる。
サナギさんと友達のマフユちゃんの間のどこか歪んだ会話を中心に、常にネガティブな妄想を抱いているサダハル君と彼に強烈な突っ込みを入れる短気なタカシ君、常に物事に対してケチを付けなければ気が済まないリサさん、事ある毎に何かを踏まなければ気が済まないマナミさんといったおかしなキャラクターが、何とも言えない変な味わいを醸し出すマンガが満載。何度読んでも飽きが来ない、優れた「世界」を持つ作品と言える。
ネタ的に何でもありだった「酢めし疑獄」から、「中学一年生の日常会話」に焦点を絞った「サナギさん」に連載が移行したことで、作者のユーモアセンスがより一層際だって来たような印象を受ける。
最近では朝日新聞で紹介されたことで一気にブレイクしたらしく、現在ではかなりの品薄状態になっている模様。まだ入手できる環境に居る方は、今のうちにぜひ。施川氏の出世作「がんばれ酢めし疑獄!!」も面白いのでぜひ。
この巻を読んでいると、なんかこう無性にバイクで走り出したくなって困るよ!(感想?)
あと、この巻は「時間の流れ」を印象付けるようなイメージが強かった印象。一番最後に掲載されている「月の輪」に出てくる『もうふたまわりもでかくなったら また一人が好きになんかもしんねえし
』というおじさんの台詞には、アルファがこれまで経験してきた時間と、彼女が更にこれから経験するであろう長い長い時間を連想させる、深いものを感じさせる。
この巻に掲載されているそれまでの話が、登場人物が時間を経て変化したり成長したりする様子を(地味ながら)描いている話が多かったので、「月の輪」は尚更アルファというキャラクターが置かれている立場のせつなさを象徴するエピソードであったと思う。
このマンガも、長い間に色々と変化しているんだなと感じた。
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