遅くなりましたが、ヤンマガアッパーズに掲載された「蜘蛛巣姫」の感想:
ちょっと前まではワガママなイケイケクソ女が主人公のマンガを描いてた椎名高志氏が、「男運に恵まれない独身女の悲哀
」を描ける程までに漫画家としても人間としても成熟したんだなあ、と何だか妙に嬉しくなってしまいました(←感想か?)。
何というかこう、とにかくヤツメがやたら可愛く思えてしまって仕方ありません。これくらいの年頃の女性の「男からカワイク見られたい」(けど、本性はやっぱり隠せない)心理がほどよく出ているところが特に良いです。2004年椎名高志マンガにおける嫁にしたい女性キャラナンバーワンの座に輝く勢いなステキっぷりです。
もちろん、そのヤツメをメロメロにする魅力を持った八郎太も良いですし、テンポ良く進むストーリーや、「生まれ変わる」というキーワードに統一されたテーマ、あちこちに散りばめられた椎名マンガらしい小ネタの数々も良かったのですが、やはりこのマンガの最大の魅力はヤツメに尽きますね。
愛しい八郎太の腕をかいがいしく縫ってるところも、彼に女がいると知って怪気炎を吐いてるところも、スパイダーマンっぽく城に乗り込むところも、密姫に一方的に嫉妬してるところも、八郎太に泣いてる姿を見られないように捨て台詞を吐いて立ち去るところも、もう全部カワイイ。
こういう女性をカワイイと感じてしまうということは、やっぱりオレも相応に歳をとったということなのでしょうか。
ああ、でも「喫茶・蜘蛛之巣」という煩悩丸出しなネーミングはどうかと思った。さすが蜘蛛女。
「パンドラ」の第3話を描いてからの椎名氏は、それ以前とは描くマンガの性質が変わってきている――というのが自分の今の椎名高志評なのですけど(いつかこの辺はちゃんと書いてみたいと思ってはいます)、「蜘蛛巣姫」もまたそれに連なるマンガの一つ。「絶チル」は、作者が結婚とか子育てとか連載切られたりとかいった公私に渡って様々な経験をして来たからこそ作れたマンガだと思いますが、「蜘蛛巣姫」もまた作者が様々なキャリアを経たから作れたタイプの作品のように思えます。
あと、なんか(「Time Slipping Beauty」の頃とは違って)作品全体に作者の余裕のようなものが感じられるような気がするのですがどうか。
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それにしても、今回の「アッパーズ」はほとんど全ての作品が「終局」に向かって一斉に突っ走ってる感じがして、これはこれで妙に面白いですな(不謹慎)。袋とじ「G-taste」最終回なんか、最終ページのマスカレード男爵が格好良すぎてもう大変。こんなに「ご機嫌よう」の挨拶が似合う男だったとは!
ページの最後に「次回最終回」と書かれているマンガとそうじゃないマンガがあったんですけど、そういうマンガは後継雑誌かどこかに移転して続く可能性があると考えてよいのでしょうか。「RED」や「シュガー」の今後が気になります。「やまとの羽根」は終わっちゃうみたいで超残念。
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