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こんな台詞を一度でいいから言ってみたかったよ! 彼は戦うために生まれてきた男!
うわーい恰好いいなぁ道士郎!(単純)
このマンガ、やっぱりやってることは性格の悪いヤンキーがわんさか出てくるいつもの西森作品と基本的に一緒だと思うのですが、そのヤンキー達と相対する主人公の行動理念がとてもマンガチックで判りやすく、かつ一本筋が通っていて妙に清々しいものであるためか、歪んだキャラが沢山出てくる割には爽やかな読後感が得られるマンガだと思いました。
「スッキリしているというか、殺伐としたモノがまったくない
」という健助君の台詞が説明台詞になっておらず、この意見に読者が素直に共感できる表現ができているところは、西森氏の漫画家としての実力の高さを感じさせます。安心して楽しめる作品になりそうな予感。
戦いには敗れたものの、散々シェリーを悔しがらせる台詞を吐いていい気になってたゾフィスでしたが、ブラゴに「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったりできなくしてやる!
」(要約)と脅されただけで、途端にガクブル状態に。この小心っぷりは、まさに小心者な小悪党のソレです。この姿こそが、ゾフィスの本性を如実に表していると思いました。
最後の最後まで期待通りにみじめで哀れな姿を晒してくれたゾフィスに乾杯。彼のガクブルっぷりをアニメ版で鑑賞するのが、今から楽しみです。DVDレコーダーを買っておいて良かった!(バカ)
しかし今回、シェリーが「ココが元の姿に戻るまで本は燃やさず、ゾフィスに自分の言うことを無理やり聞かせる」という行動に出たのは意外でした。これって、下手したらゾフィスがココと一緒に本を持って逃げ出す最悪の展開になりかねない危険な行為だと思うのですが、でもココにラブラブなシェリーにとっては、ゾフィスを手元に置くリスクを度外視してでもココを元に戻すことが最優先事項なので致し方がないところでしょうか。
ココとのストロベリーな妄想を現実のものとするためなら、もはや手段を選ばなくなったシェリー。彼女はホントいい女に成長したと思います。こんな女性と結婚したい。というか、むしろオレがココになりたい。なってシェリーに愛されたい。
ヤンキー少女が、路地裏で捨て猫に餌を!
かつて「サラダデイズ」が『小雨の降る中、捨て猫に餌をやる少年を目撃してときめいちゃう少女
』なんて筋書きのマンガを出して来た時に「今時、こんなベッタベタなシナリオのラブコメが読めるだなんてスゲエ! 萌え!」と大喜びした私としては、今回の「ケンイチ」の展開にも激しく感動。オレはベタな展開が大好きだ! と久しぶりに自覚させられました。
少年マンガに登場する全ての女性キャラは、一度は捨て猫に餌をやるべき!(主張)
まぁ、こういうベタな話を持ってきても違和感がまったくないのは、それだけ「ケンイチ」がマンガとして王道の展開を歩いている証拠だと言うこともできます。
仮に「かってに改蔵」の羽美ちゃんが捨て猫を拾っても、ギャグ(あるいはホラー)にしかなりそうにないのとは対照的です。
黒いサングラス、派手な髪型、不敵な笑顔をみせる態度、そして線の太い『濃い』系統の絵柄。
何となく、このコマはもの凄い藤子不二雄Aっぽい絵柄だなと思ってしまったのですがどうか。なんかこのキャラ、人差し指を伸ばして「ビー!
」と叫んで超能力を使いそう。ソーマを射たれた時に「ギャース!
」とか叫びそう。「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ
」とかメラメラしそう。判って頂けるでしょうか(無理)。
Aはともかく、本編の方はすごく内容が濃くて面白かったです。まるで、長期連載マンガの最終回直前並のクオリティの様です。この濃さが、「もうすぐ連載が終わるから今のうちに(以下略)!
」という『武装錬金』と似たような理由から来ていないことを祈るばかりであります。
つうか、『武装錬金』は今期の打ち切りを回避できたって噂は本当なんですか?(ここはサンデー感想エントリです)
個人的に、今週のサンデーで一番面白かったというか、知的な興奮を味わえたのが「かってに改蔵」でした。
『被害者』をやたらクローズアップして視聴者の感情を煽ろうとする報道がマスメディアで飛び交う最近の風潮をスマートに揶揄した上で、キッチリとギャグマンガとして成立させているセンスは流石だと思います。
こういう話題をマンガの中で扱えるフォーマットを持っているのは、週刊少年マンガ誌の中では「改蔵」だけだと思いますし、そしてこんなネタでも嫌みを感じさせずにギャグとして成立させるだけの話を作れるバランス感覚を持ち合わせているのも、やっぱり週刊少年マンガ誌の中では久米田先生だけなんじゃないかと思います。
普段作ってるエピソードがちょっとアレがナニなので誤解されがちですけど、久米田先生は本当に才能がある人なんだなぁと、今回再認識させて頂きました。
勿論、こんなマンガが「金色のガッシュ!」や「犬夜叉」よりも売れるようになったら日本はおしまいなので、久米田先生は永遠に傍流に位置する宿命なんですけどね。
『自分には何のとりえもないと思っていた人が、かけがえのない人と出会ったり、自分の中にも他人を幸せにできるかけがえのない力があることに気付いたりして、将来への夢や希望を持てるようになるお話』。こう表現してみれば、今週の読みきりで掲載された「天国の本屋」も、先週完結を果たした「美鳥の日々」の高見沢シナリオも、物語としての本質は一緒であるということが判って頂けるかと思います。
「天国の本屋」の方は『日本中が感動した! 涙のベストセラー!』と世間的に大絶賛な評価を受けているのに、その一方で「美鳥の日々」を絶賛している我々がちょっと世間的に引け目を感じてしまっているというのは、いったい何が原因なのでしょうか。我々は、どこかで何かを間違ってしまったのでしょうか。
という嫌がらせな解釈はさておき、今回作画を担当した桐幡歩氏は、以前超増刊で「魔法の卵使い」を発表した人ですね。独特の雰囲気がある絵柄を描く人なのでピンと来ました(通っぽく)。
当時は「問題がある」と指摘されていた画面の処理も、さすがに今回はかなり改善されていると思います。絵柄も題材とマッチしており、個人的には好印象。この調子でがんばって頂きたい。
>小雨の降る中、捨て猫に餌をやる少年を目撃してときめいちゃう少女
これで思い出すのは、(最近読んだからだけど)「天使なんかじゃない」とか。
たかが13年前に、俺たちはそんな素朴だったのかな……なんてことを思いました。
>ギャグとして成立させるだけの話を作れるバランス感覚
弟子が例の「ときメモファンド」で騒がれたときに思ったのですが、あれって久米田センセならば「メ→●」に替えるだけで片付いちゃう話だったんじゃないかなと。果たして「メ」を「●」に替えるだけくらいの違いが久米田センセのバランス感覚というかセンスを生み出してるのか、その周辺にもっと色んな技量を隠し持っているのかは、実はよく分からなかったりしますが。
BFは「次はアマルガン編だっ!」みたいな展開にはならないんでしょうね……
打ち切り、か
「捨て猫に餌をやる」行動は、あまりに素朴過ぎる故に今ではベタ過ぎてギャグと見なされてしまう傾向がありますが、今回の「ケンイチ」はそれを「バルキリーというキャラクターは内面がベタなまでに『女の子』している」という演出目的で使ったのが上手いなと思いました。確かにあの娘ならやりそう。
「ときメモファンド」の件は、バランス感覚以前に、単なる作者のリサーチミスが原因だと思います。そもそも久米田先生ならそんなヘマはしません。先生はホンモノです。
そしてBFは、正直ネットで言われるほど不人気だとは思えないのですが、その辺どうなんだろう。
今の展開をきっかけに、良い方向にストーリーが開き直ってくれれば! と思ってます。「カナタ」3巻並の開き直りっぷりを期待(不吉)。
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