2004/11/03

てれびくん12月号

 この前本棚を片づけていたら、「アニメック」の元編集長・小牧雅伸氏が岡田斗司夫山本弘両氏と対談した記事が載っている「ヨイコ」(音楽専科社)が出て来たので、久しぶりに読み返してしまいました。
 その中では、小牧氏が「当時(昭和48-49年頃)はアニメ専門誌がなく、『てれびくん』『テレビランド』を読んで勉強するしかなかった」という趣旨の発言をしていたのが印象に残りました。当時はビデオすらなかった時代だったので、ファン達は少ない情報を競い合って入手し、ファン同士が互いに交流することでアニメに関する様々な情報を交換していたとのこと。
 今でこそアニメや特撮の番組に関しては雑誌のみならず様々な情報媒体がありますが、黎明期のファン達はやっぱり色々苦労をして来たんだな、と思わされました。

 そういう過去を踏まえながら、椎名高志先生がマンガ描いてるからという理由で「てれびくん」を買った皆さんこんにちは。
 あの雑誌読んでると、なんか「ムシキング」がやたら面白そうに思えてたまらなくなりませんか?(と言われても)

 そしてついに「てれびくん」に掲載された「ウルトラマンネクサス」のコミカライズ版ですが、自分が読んた感じでは「思っていたよりも内容は子供っぽくなく、ちゃんと『読める』マンガになっている」という印象を受けました。少ないページ数の中で大量のキャラやメカを登場させなければいけないという制約の中で、よく頑張ってるなあと思います。
 今回のお話の元になっているのは原作の第1話~4話ですけど、マンガの方は基本的に「怪獣対TLT、そして謎の存在であるウルトラマンの登場」という、作品世界の基本構造の紹介に物語の焦点を絞り込んでいます。なので、TLT内部での人間関係や主人公が抱える過去のトラウマのことや恋人との微妙な関係のこと、そして副隊長の怪獣に対する異様な執念深さ、などといった大人な部分にはほとんど触れず、『怪獣出現!→TLT出動!→主人公ピンチ!→ウルトラマン登場!』という、もの凄く判りやすい話の流れにストーリーを(原作のシリアスな雰囲気を壊すことなく)集約しているのが印象的です。
 椎名先生言うところの「ほとんど俳句を作るのにも似た極限のネームづくり」の苦労が忍ばれます。

 そして肝心の絵の方も、ウルトラマンのスーツのがちゃんと描いてあったり、妙にエログロな格好した怪獣の細部がちゃんと描き込まれていたりと、こちらもかなり頑張ってる感じがします。特に、ラストシーンのネクサスの後ろ姿の格好良さっぷりは特筆に値します。
 今回は「一番湯のカナタ」に出てきたようなウルトラ宇宙人のパロディ版じゃなくて、円谷オフィシャルなホンモノを描くということで、作画にはかなり力が入ってますね。こんな絵を描く椎名高志には滅多にお目にかかれませんよ皆さん!(煽り)

 あと、4話の最後に出てきた記憶抹消装置がちゃんとマンガにも出てきたので、やっぱり「ネクサス」にとって記憶抹消装置は欠かせないアイテムなんだなあと思いました。
 やっぱりあのオモチャ出たら欲しいです。

 あと「てれびくん」の記事で個人的に面白かったのが「金色のガッシュベル!」。
 今月号ではデモルトに対してザグルゼムを放つガッシュの絵が掲載されていますが、そのガッシュをパティ(とピョンコ)が横から目を輝かせて見つめる構図になっているところが面白いです。あの絵を見ただけだと、まるでパティが「ガッシュ」のヒロイン役みたいに見えてくるのが不思議。
 いやまあ、根性曲がりの女性キャラが大好きな私とって、石版魔物編における彼女は間違いなくヒロイン格なんですけどね!

 ここでパティの絵が載ったということは、今月のアニメ版「ガッシュ」では、いよいよパティがショートカットにモデルチェンジしてブリブリ言わせる、彼女のラストバトルが観られるということに。根性がひねくれていた女性キャラが素直になるシチュエーションも大好きな私としては、HDDレコーダーの録画レートを最大にしてパティの雄志を永遠に保存して行きたいと思いました。

 あと「ムシキング」にも興味が出てきたのでオフィシャルサイトを覗いてみたのですが、このゲームのストーリーが『原住民と移植民が森の支配を巡って争う、民族間紛争を題材にしたゲーム』(と拡大解釈することが可能なもの)であることを知って驚愕。なんてシビアかつシリアスなゲームなんだ!
 最近の子供達は、随分と社会派なゲームで遊んでいるんだなと感心させられました(大まちがい)。

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2004/10/29

「あやや」という単語から竹本泉のマンガを連想する人?(サンデー48号感想)

  1. 「ここが…あの人の、生まれた家――」(結界師)
  2. 借金取り退場(ハヤテのごとく)
  3. 中山朔美15歳(いでじゅう!)
  4. 「自分で何とかシロ!」と言うザクロ(クロザクロ)
  5. 今週のこわしや我聞
  6. 定点観測:今週のモンキーターン

1. 「ここが…あの人の、生まれた家――」(結界師)

 前回は良守と激しい絡みを見せて戦慄デビューを果たした志々尾君ですが、今回は良守の兄であり「裏会」の大幹部でもある正守を『あの人』と呼んで慕う様子を随所に挿入して、「見た目は乱暴だけど、実は一途で可愛らしいところがある」という性格的なギャップをアピールする作戦に出ました。良守を「あの人」と呼んで一方的に憧れるその様は、まるで「カードキャプターさくら」で雪兎に憧れる小狼君のようでカワイイですよね(変な例え)。
 またその一方、子供っぽく啀み合ったことを良守と一緒に時音に咎められることで、結局頭の成長度合いは良守と同レベルであることも暴露。ますます可愛らしくなって来ました。

 後は、後半に出てきた変態博士もかなりの萌え対象。いい歳して生意気そうな顔してるのと、何だかいちいちムカつく喋り方が萌えポイントです(屈折)。繁守と過去に何らかの繋がりがあることが仄めかされている以上、いずれはこのキャラにも何らかの見せ場が回ってくるんじゃないかと思います。
 最近の「結界師」は萌えるキャラがモリモリ増えてどんどん面白くなってるなあ。良い傾向です。

2. 借金取り退場(ハヤテのごとく)

 今週でようやく「主人公がお嬢様の屋敷に居候する合法的理由を作る」という、連載を続けるために最低限必要な理由付けを読者に説明する段階はクリアできたので、これでついに晴れて堂々と美少女わんさかコメディーを延々と繰り広げることができるようになりましたね。おめでとうございます。
 畑先生のオタク向け漫画家としての実力は如何なるモノなのか、師匠である久米田康治氏の永遠のライバルだった赤松健先生を倒すことができる程の実力を秘めているのか否か、いよいよその実力が試される時が近付いています。
 頑張れ畑先生! でっかいオタクの星となれ!(いやだなあ)

3. 中山朔美15歳(いでじゅう!)

 なんてかわいそうな女の子なんだ!(感想)

 というか、彼女の報われなさは異常。恋心をなかなか表に出せない引っ込み思案な性格、彼女を幸せにしようとするおせっかいな友人達、鈍感だけど優しい憧れの先輩。彼女を巡るあらゆる要素が、結果的に彼女の「恋」を「悲恋」にさせる方に向かわせているように思えます。彼女の周りにいるのはいい人達ばかりで、誰も何も悪くはないのに、それでも彼女の恋は決して報われることはないのです。
 ああ、なんてかわいそうなんだ朔美ちゃん。このかわいそっぷりは「モンキーターン」の青島さんを遙かに超越してると思いました。

4. 「自分で何とかシロ!」と言うザクロ(クロザクロ)

 「クロザクロ」のザクロって、「リロ&スティッチ」のスティッチにちょっと似てると思いませんか?(挨拶)

 今週は「普段は頼りない兄が、ここ一番で妹を庇って格好いい姿を見せる」というフラグ立てイベントの王道を行く美しい展開でたいへんにグッと来たのですが、個人的にはそれよりも「自分で何とかシロ!」と言うザクロの可愛らしさに更にグッと来たので、あえてこちらを推薦させて頂きます。
 ザクロって、付き合ってみると案外いい子だったりしてな。つきあったら傀牙になって死んじゃうけど。

 そしてなんか幹人がついに傀牙に変身しちゃいそうな勢いですが、傀牙になって戦う兄の姿を見て妹の梢枝が「兄貴が変な姿に! キモい!」と兄を拒絶するか、それとも「キモい姿になっても中身は兄貴だ! ラブ!」と兄を受け入れるかによって、今後のこのマンガの路線が決定的に異なってくるのは必至でしょう。

 果たして今回のイベントで、妹にフラグが立ったか否か。
 幹人の運命はそこに賭けられている、と言えるのではないのでしょうか。

5. 今週のこわしや我聞

 「こわしや我聞」とは!
 「仙術」と呼ばれる特殊な格闘術を武器に正義のために戦う、「こわしや」こと工具楽我聞とその仲間達の活躍を描いた、痛快娯楽アクションコミックなのである!

 ――という建前を、今回は完全に放棄。もはや完璧なまでに普通の学園ラブコメディー路線を突き進む道を選んだようです。部活の仲間同士で夜の神社で肝試しだなんて、もうラブコメにおける王道中の王道ですよ! きっと来週は、我聞と陽菜が、キャーこわーい! おっぱいムニュ! 木の枝にズボンが引っかかっちゃったー! こここ國生さんのパンツ! みたいな、そりゃもうコッテコテなエロコメ的シチュエーションの数々を披露してくれるに違いありません
 つうか、少年マンガで「肝試し」なんてイベントを持ってくるからには、そういうシチュエーションにならなきゃウソだ! ウソなんですよ皆さん! いやもう、藤木先生は絶対やる気ですよやる気! このオレが建前をかなぐり捨て、萌え路線にチューンしたマンガを描いたらどうなるか見せてやるぜ! とか絶対思ってますよ先生! いいぞいいぞ藤木先生もっとやれ!

 いやまあ、今週のような話はあくまで脇道であるのはよく判っているんですけど、でも人気が出るのは得てしてこういうほのぼのした日常エピソードの方だったりするものなんですよねー(訳知り顔で)。

定点観測:今週のモンキーターン

 先週までとは打って変わって、妙に爽やかなトーンで会話をしている波多野と青島さんが印象的でした。ちゃんと二人の関係にケリを着けたことで、一山越えてお互いに成長した感じ。この辺の男女関係の後腐れのなさは、やっぱり少年マンガだなあと思います。
 更に波多野は澄に対して「オレはオマエのために走る。だから、賞金王、見ててくれ」と完璧に口説きモードに入りました。まだ突っぱねてる澄ですが、もはや籠絡は時間の問題でしょう。波多野に残された障害は、賞金王決定戦でライバルの洞口を倒して決着を付けることのみです。

 一方の洞口ですが、競艇の腕はともかく、同じ「付き合ってた青島さんと別れた」という行動を一つ取っても、別れた後で青島さんとの爽やかな友情が芽生えた波多野と比べると、洞口はいつまでたっても(以下略)。このままでは、洞口はいいところ無く波多野に破れてしまうことは必至です。
 「いま、波多野健二、最期の戦いが始まる!」とかハシラでラストバトルっぷりを煽っていることから推測するにそろそろこの作品の連載も幕が近いのかと思われる以上、洞口に残されたチャンスはもはや次の賞金王しかなさそうな予感。果たして彼の運命や如何に!(←もはや論点がおかしくなりっぱなしです)

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2004/10/28

JAPANESE HENTAI MANGA IS HERE(超増刊04年冬号感想)

 先っちょだけでも!(挨拶)

 そんな訳で、25日発売のサンデー超増刊を読みました。より具体的に言えば、原作:中山文十郎+漫画:井上和郎両氏による時代劇コメディ「音禰(おとね)のないしょ」を読みました。

 いやその、実は今本当ならこんなエントリ作ってる余裕がないくらいもの凄く眠いんですけど、でも今とりあえずこれだけは言っておかなければならない! と思ったので言います。

 井上和郎先生は最高の変態漫画家です!

 ええもう、勿論この場合の「変態」は褒め言葉ですよ!
 決まってるじゃないですか!

 このマンガ、「まほろまてぃっく」の中山文十郎氏と「美鳥の日々」の井上和郎氏のコラボレーションというだけでも実は結構凄いことですし、以前Webサンデーに掲載された藤田和日郎先生のコメントからしても「今度のマンガはよっぽど凄い内容になるんだろうな」と予想してはいたのですが、まさかこれほどまでとは思いませんでした。

  • 三十路で童貞のまま死んだ侍の霊が宿った刀を、全裸の女剣士が振り回す
  • 女剣士が刀を握ると、刀が感じちゃって刀身が固くなったり大きくなったりする

 なんていう、どう考えても気が狂っているとしか思えない筋書きのマンガを、破綻無くコメディとして読める作品として作り上げる、なんてことができるのは、間違いなく天才的な頭脳を持った変態だけだと思います。井上和郎先生は最高の変態漫画家です。

 更に、そんな話であるにも関わらず、ちゃんと最後は刀にも見せ場を作って音禰とのハートウォーミングな展開に持ち込む辺りは、もう見事としか言いようがありません。
 特にクライマックスの戦闘シーンに出てきた「女ってのは斬るモンじゃねえ! 抱いてやるモンなんだよ!」という侍の台詞は、「女」という存在を神聖化してしまいがちな未経験の男性特有の童貞ドリームが込められた、心温まる名言であると思います。私はこのシーンで本気で感動してしまいました。
 いつまでも童貞の心を忘れない井上和郎先生は、やっぱり最高の変態漫画家です。

 「音禰のないしょ」は、今年少年誌に掲載された読み切りマンガの中でも最高傑作クラスの名作、と評価されてもおかしくないくらいに面白く、かつ最高にバカバカしい作品なので、「美鳥」とか「」とかの変態マンガが大好きな野郎共はみんな読みやがれ! 読んでアンケートハガキの「少年サンデーで連載して欲しいマンガ」の設問に「音禰のないしょ」と書いて出しやがれ! と思いました。

 掲載誌であるサンデー超増刊がもの凄いマイナーな雑誌であるため、さすがに今から入手するのはかなり困難なんじゃないかとは思うのですが、でもこれは我々のような変態マンガ好きにとっては、その存在をアピールできる数少ない好機であると思うべきです!
 サンデー読者の実態はオレ達のような奴ばっかりで構成されているという現実を、今こそサンデー編集部に認めさせてやろうぜ!(←中山+井上両先生には迷惑この上ない煽り)

参考:今回の超増刊で面白かったものリスト(敬語略):
  • 今や立派な看板マンガに成長、主人公アヤカの友達の四位名さん(眼鏡っ娘)の怖がる顔が相変わらずいい感じな「あやかし堂のホウライ」(金田達也)
  • 中山文十郎=HENTAI原作者、井上和郎=HENTAI漫画家というイメージをあまねく天下に知らしめる傑作「音禰のないしょ」(井上和郎)
  • このマンガは今回の話みたいに「基本は子供、ピンチの時だけ大人に変身」という構成の方が良かったのかも、と思った「暗号名はBF MISSION BEGIN」(田中保左奈)
  • シンプルなストーリーながらも主人公・ヒロイン・敵役がよく描けていて好印象「虎神」(ネモト摂)
  • ジュヴナイル+サスペンスホラーって大好き「桐園アンダーグラウンド」(渡辺智美)
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2004/10/26

マンガ雑誌としてのてれびくん

 この前「ウルトラマンネクサス」を初めて観ました。聞きしに勝る暗くハードな雰囲気のドラマだなあという印象。確かにこれは、これまでのものとは違いますね。
今度のウルトラマンの売りは「ネクサスジェネックスはメタフィールドで戦うぞ! 敵をメタフィールドにとじこめて、いっきうちの戦いをいどむのだ!」(てれびくんより)ということなのですが、ドラマの雰囲気が全体的にシリアスな為か、味方もなくたった一人の力だけで異世界で敵と戦うウルトラマンの姿を、より「孤独の巨人」っぽく感じさせることに成功していると思います。

 あと個人的には、ウルトラマンや怪獣を見てしまった警官に対して、地球防衛隊な組織所属(TLT)の女性が「あなた達は何も見なかった! これが現実よ!」とか高飛車なこと言いながら携帯電話みたいな記憶抹消装置(メモレイサー)を光らせるシーンに、かなりグッと来てしまいました。
 やはり宇宙人モノには記憶抹消装置がお約束っていうか、やっぱりああいう「MIB」みたいなのをみんなやりたくてやりたくて仕方がないんだなと思いました。

 アレのおもちゃが欲しいです(真顔で)。

 そんな感じで、また今月も「てれびくん」を買ってしまいました。
 前回は「てれびくん」が如何に真のジャーナリズムを体現している優れた情報雑誌であるかについて書きましたが、今回はマンガ雑誌として「てれびくん」を読むことについて、ちょっと考えてみました。

 「てれびくん」11月号に載っている記事にはマンガ系のものが5~6本ありますが、我々のような年齢の人が普通に「マンガ」として読める部類に属するのは、このうちの2本(「仮面ライダーブレイド」と「マシンロボ」)だけです。
 残りは幼児向けにチューンされた内容のポケモン4コママンガや、マンガの中にパズルや迷路などが描かれて遊べるようになってるライダーとデカレンジャーのコラボレーションマンガ(ちょっと前のジャンプに載ってた「ボボボーボ・ボーボボ」みたいなノリを想像して下さい)とか、来月号の付録を紹介している妙にテンションが高い次号予告マンガとかそういう系統なので、これらはちょっと「マンガ」とは違うかなという感じ。

 また、載ってる「マンガ」の中身も、基本的にページ数が少なく(8~10P程度)、対象年齢も低い(この雑誌の読者のほとんどは6歳以下です)こともあってか、「マンガを読ませる」というよりは「キャラクターを格好良く見せる」方に徹底的にチューンされている印象を受けます。

 基本的に「てれびくん」は、それ単体で読んで楽しむタイプの雑誌ではなく、子供向けの特撮番組やアニメ番組の副読本としての位置付けにあると定義できます。つまり、「コレを読んでおけばもっとヒーロー番組が面白くなるよ! あとオモチャも買って遊んでね!」と番組を盛り上げるスタンスで雑誌全体が作られていると思われます。
 徹底的に贔屓の球団を応援しまくるスポーツ新聞と基本的な編集方針は一緒である、と書けば判りやすいでしょうか。

 「てれびくん」は基本的にそういう雑誌なので、そこに掲載されるマンガもまた存在意義は同様だと思われます。少ないページ数、極端に偏った読者層、原作付き作品である故の制約といった限定された状況の中で、子供達にその作品をより好きになって番組を楽しんでもらうために、原作の持つテクストを表現する必要があるのです。椎名氏は「ほとんど俳句を作るのにも似た極限のネームづくり」と表現してましたけど、おそらくこういう雑誌向けにマンガを作るというのは、少年向けや青年向けとは全く違う特有のセンスを要求されるんじゃないと思います。
 逆に言えば、そういう制約の中で、原作の持つテクストのどんな部分を抽出してマンガにするのか? という部分こそが、幼児向けマンガにおいて作家性を感じることができるポイントになるのかも知れません。

 例えば、椎名氏は「ネクサスの持つ神秘性」を表現するために「汗とか怒りマークとかの漫符を使わない」と述べてますが、「ネクサス」と入れ替わる形で連載が終了した「仮面ライダーブレイド」(坂井孝行氏作)では、ライダー達の感情を表現するために結構な頻度で漫符を使用していたりします。
 これはどっちが良いとかいうものではなく、読者である子供にその題材を楽しんでもらうためにはどうしたら良いのか、という表現方法の選択の問題であると言えましょう。

 そういう意味でも、椎名ネクサス目当てにこれから「てれびくん」を読もうとするホンモノな方々は、椎名氏が原作をどんな形で(パロディではない、本物のウルトラマンとして)マンガにするのかを楽しむ視点を得るためにも、まずは原作の「ウルトラマンネクサス」を見て内容を理解しておくことをお勧めしておきます。

 しかしこう、幼児向け雑誌を何度もマジメに読むと、独特のトリップ感が味わえてヤバいですな。
 帰って来られるでしょうか自分

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2004/10/24

アッパーズはヤンマガを併合したということにしよう

今更な話になりますけど、「アッパーズ」最終号を入手しました。
 椎名氏による「RED」のパロディも読みましたが、確かに妙にオモロいです。ちゃんと中身が「RED」になってるのが凄い。
 さすが月刊OUT出身だけあって、この手のアニパロをやらせたら上手だなあと思いました(←30代未満には古過ぎて判ってもらえない褒め方)。

 あと「アッパーズ」休刊に関しては、「本誌のヤングマガジンが不調なので合併させると言うのが本当の理由だそうです。」(あにめ18禁・てんちょう日記10/18)という何だか説得力のある話を見つけ、ちょっと微妙な気分に。形としてはヤンマガにアッパーズの作品を持って行く、ということになってますが、ここまでヤンマガに移籍する作品が多い(最後通牒10/19)と、むしろヤンマガがアッパーズに併合されたと言っても誇張にならないんじゃないかという気がしてきました。
 というか、ここまでしないといけない程、今のヤンマガはヤバい状況だというのにも驚きです。兄弟誌とはいえ上手く行ってるアッパーズを潰さなければならない英断を下すっていうのは、本誌の方はよっぽど(以下略)。週刊青年誌は全体的に厳しいみたいな話は聞きますけど、天下の講談社のヤンマガも例外ではなかったということなのでしょうか。

 にしても、結果的に村枝賢一氏の連載マンガがヤンマガに載ることになろうとは、サンデーで「俺フィー」描いてた時代には想像すらできませんでした。
 椎名氏とアッパーズ編集部の間には「戦友」と呼べる程の絆ができていることを考えると、事と場合によっては椎名高志氏のマンガがヤンマガに載る可能性すら出てきたということになるんでしょうか。これも「GS美神」とか描いてた時代からは想像することすらできない事態です。世の中何が起こるかわかりませんね。マンガ雑誌読みながら時代の変遷を感じる今日この頃。

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2004/10/22

サンデー47号に載った「ジンの怪」が半年以内に連載化されると思う人の数→

  1. P22の6コマ目の時音(結界師)
  2. マリアに執着するナギ(ハヤテのごとく!)
  3. 鋼牙(犬夜叉)
  4. 今週の林田君(いでじゅう!)
  5. フラレナオン青島さん(モンキーターン)
  6. 番外:今週のワイルドライフ

1. P22の6コマ目の時音(結界師)

 夜未とか良守兄とかを代表とする「結界師」界屈指のダメ人間達が集う謎の組織・裏会から、志々尾限と名乗るやんちゃな新キャラが参上。
 いきなり良守の式神を捻り潰したり、良守を左回し蹴り一発でKOしたり、良守の結界を『ARMS』のジャバヴォックっぽい爪で引き裂いたりと、初回から激しいコンタクトを良守に対して展開。その上で「こんな奴のお守りしなくちゃならないとはよ…」と良守の保護者っぷりを強調と、何かこう最初から徹底的に「良守とこの子でカップリング妄想して下さい」と読者にアピールしてるなあと思いました(まちがい)。

 それはともかく、今週はP22の6コマ目の、顔のパーツが線1本と点2つと丸1つだけで構成されてる超シンプルな時音姉さんにグッと来ました。「シュレック」に出てきたクッキーマン並に単純な描写なのに、ちゃんとこれが時音姉さんだと読者が認識できるのが素晴らしいです。
 私が思うに、1本の線で表現されてる眉毛がポイントですね。これのおかげで、このキャラはクッキーマンじゃなくて時音姉さんとして認識できるようになっていると思います。前々から「彼女は眉毛が細いなあ」とは思ってましたが、彼女の細い眉毛はこのようなデフォルメ表記の時に記号として機能するんですね! このテクは、ぜひまんカレ通信で紹介するべきです! 結界師の時音姉さんから細い眉毛の魅力を学べ!

2. マリアに執着するナギ(ハヤテのごとく!)

 「マリアに手を出したら…殺す程度ではすまさんぞ…

 このマンガ、てっきり「メイドが館からわんさか出てきてハヤテがモテまくる」系に話を振るんじゃないかと思っていたのですが、どうやらそうではなかった模様。このナギの台詞から推測するに、このマンガでモテまくるのは、ハヤテではなくてマリアです。マリア。きっとナギは、マリアに対して侍従のメイドに対する敬意の感情以上の何かを持っていると見ました(勝手に)。
 まあ、そういう関係性が一つくらいはないと、「マリみて」台頭以降の現代美少女わんさかコメディー界は渡っていけませんからね。作者の畑先生は、その辺をちゃんとわきまえていてくれているようで安心しました(勝手に)。

 ストーリーの方はなんかまたハヤテがヤクザ殿にとっ捕まってますが、例の超人的な身体技能を駆使して脱出し、早いところ執事の立場に復帰してナギと一緒にマリアを巡るドタバタコメディを演じて欲しいものです。
 あと最近のサンデーは最低でも17週は連載を続けるので、10週で終わる心配はしなくても大丈夫ですよお嬢様。

3. 鋼牙(犬夜叉)

 四魂の玉を巡る奈落と桔梗の争いが佳境に入って来たこのマンガの中で、いまいち目立てない不遇なポジションにいるのが鋼牙。「四魂のかけらを埋め込んでいるので脚が早い」というだけではさすがにキャラが立たなくなって来たのか、ここでようやくパワーアップを遂げることとなりました。
 とは言え、「四魂のかけらの意志からお前を守れるのは一度きり」という伏線をわざわざ張られてしまう(=そのうち四魂の玉に宿った翠子とかからヒドイことされるのは確実)ところからしても、相変わらず不遇な立場にあるのは変わらないようです。そこが彼の萌えポイントなのか。

4. 今週の林田君(いでじゅう!)

 何というか、彼の自分自身に対する自信の無さは「高校生だから」で済まされるレベルなのかどうか微妙なレベルに差し掛かっているんじゃないかと思いました。ていうか境界症例?
 思い返してみれば、自分が高校生だった頃は自分が好きなことに打ち込むのに夢中で、自分の容姿とか髪型とかは全然気にしてませんでした。だからモテなかった訳ですが。

5. フラレナオン青島さん(モンキーターン)

 「波多野くんを追いかけて、もっと強い私になる

 これでこそ青島さんです! フラれた方がカワイイよ青島さん!
 「いでじゅう!」の皮村と並ぶ二大フラレキャラに成長した青島さんを、これからも応援していきたい。そんな心境です。

 これで残るは澄が斯様な結論を下した波多野を許すかどうかにかかって来ましたが、「波痛同盟」(略称)所属の私としてはもう一波乱欲しいところ。彼女に興味を示す素振りを見せている洞口の行動に注目か?

番外:今週のワイルドライフ

 「この漫画の担当編集の親が死亡した際も、某国立病院の医師は謝礼金をちゃんと受け取った。

 そういう不正行為をマジメに訴えたいなら、マンガの中じゃなくて別のメディアで大っぴらにやってくれよ! と思いました。
 以前マンガの中でいきなり食肉の安全講座を実施しちゃった時にも感じたんですけど、本来なら起承転結を持った一本のストーリーに加工して「マンガ」として表現するべき題材を、いきなりこんな形でストレートに表現してしまうのは、「ワイルドライフ」というマンガの悪い癖だと思います。

 サンデーCM劇場で流れている「ワイルドライフ」は、あんなに面白そうなのになあ。

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2004/10/20

短縮版サンデー46号感想

  1. メイドのマリア(ハヤテのごとく)
  2. 百合奈(結界師)
  3. 姫葉さん(クロザクロ)
  4. 青島さん(モンキーターン)
  5. 法安さん(からくりサーカス)
  6. 番外:うえきの法則最終回

 まず現在のサンデーにおける問題作「ハヤテのごとく」ですが、今回のようなレベルのお話をコンスタントに提供することができるのであれば全然問題ありません。やればできるじゃん!(エラそう)
 というか、本来ならこの話を先週の段階で持ってくるべきだったんじゃないの? と思いました。

 それはともかく、どうやらこのマンガ、人間関係的にハヤテとナギの間に位置するメイドのマリアさんを活かせるかどうかが生命線になりそう。そして我々読者としても、このマンガを楽しく読むためにはマリアさんで萌えられるかどうかが勝利への鍵になることは必至の有様。
 これはきっと、我々のようなダメな読者に対するサンデーからの挑戦状ですよ! やってやろうぜみんな!

 「結界師」は、良守の成長を実感しつつ静かに見守る時音姉さんも勿論良かったですが、それ以上にユリこと百合奈が良いです。良守のことがちょっと気になっちゃってるところも、友人女子から良守のことでからかわれて慌てるところも、転校生のただならない殺気を関知してビビるところも全部萌え。
 更に、こんな感じでマンガの中では結構重要な位置にいるキャラにも関わらず、欄外の登場人物紹介に顔が出てこないという不遇な扱いを受けてるところも萌え。時音だけじゃなく、ユリのような地味目なキャラに萌えてこそ一流なのです。なのです(暗示)。

 「クロザクロ」は何といっても姫葉に萌え。客観的に見れば彼女の行動は「ヒドイよ姫葉さん!」と非難されて当然なのですが、でも彼女は基本的に「傀牙はブッ殺す」「九蓋さんラブ」という二つのことしか考えてない素直な娘(曲解表現)なので、彼女にとっては「傀牙の幹人を九蓋さんがブッ殺す」ことこそが正しい行動なのです。この偏狭っぷりも、また彼女の萌えポイントの一つなのです。
 「クールな眼鏡女子」と「極端に偏った思想」が合体すると彼女のような立派な萌えキャラになってしまうのが現代キャラクター学の奥深いところなのだと、私は思うのです。思うのです(暗示)。

 そして「モンキーターン」は、勿論青島さんの薄幸っぷりが萌え。波多野と会って努めて明るく振る舞う彼女からは、何というかこう「これが彼との最後のデート!」と覚悟を完了させ、これから己に降りかかる運命を待つフラレナオン特有のオーラが漂っているように思えてなりません。なんてかわいそうな娘なんだ青島さん。
 庭に咲くひまわりにも笑われそうなくらいネガティブな青島さんは最高の萌え対象です。

 そしてその一方、「じいちゃんも『よし』じゃ!」とやたらポジティブシンキングな「からくりサーカス」の法安さんにも萌えました。この歳なのにも関わらず、「あんたらサーカス団が世界を救っちゃうじゃないかと思ってる」と言われて思わず武者震いしちゃうところが萌え要素。例え体は老いても、自分が何らかの力になれると知って戦う意志を固めた法安さんは輝いてます。
 そう言えば藤田和日郎先生は、かつて「見た目はじょぼくれじいさんだけど、実はもの凄い実力を秘めた達人なのであった!」という設定の老人が主人公の格闘マンガ「瞬撃の虚空」を描いた実績を持つ、じじい描写のエキスパートであることを思い出しました。先生の描写力なら、必ずや萌える老人を描いてくれるに違いありません。

 あと萌えとは関係ないですが、「うえきの法則」は本当に終わってしまいましたね。もの凄い勢いでキャラクター達のその後の様子を紹介する様からは、作者の福地先生のキャラクターに対する愛情と、「本当はこの辺もちゃんと描きたかったんだろうなあ」という無念さを感じ取りました(勝手に)。
 そんな感じでしたが、話的には割とキレイにまとまった最終回だったと思います。次回作にも期待ということで。

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