2005/04/20
■ブックレビュー:お嬢さまことば速修講座
「覚悟」とは苦痛を回避しようとする生物の本能すらも凌駕する魂の事であるが、
「お嬢さま」とは己の気品と尊厳を以て世界と戦う意志を秘めた、気高き魂の有り様の事である!
そんな感じで、週末に出かけた先の本屋にあった「お嬢さまことば速修講座」(ディスカヴァー・トゥエンティワン、監修:加藤ゑみ子)を買ってしまいました。本の存在は知っていて前からちょっと気にはなってはいたのですが、書店で本物を見た途端に私の中の乙女要素が疼いてしまってつい。
ごきげんよう(挨拶)。
それでこの本、タイトルに「速修講座」と銘打ってあるだけあって、いわゆる「お嬢さまことば」を使って会話をするためのコツが、要点を押さえた形で簡潔にまとめられているのが特徴です。文体が「ベテランの礼儀作法の先生がお嬢さまに心得を説く
」ような形になっているので、読んでいるうちに自然と自分が「お嬢さま修行中」みたいなマインドセットになること請け合い。
内容も、実際に「お嬢さまことば」を使う人の喋り方をリサーチして作成されたと言うだけあって、極めて実用的で判りやすく作られています。
曰く、
- お嬢さまなので、「どうも」の代わりに「
恐れ入ります
」を使う。
「どうも」と言ってしまうとお里が知れる。 - お嬢さまなので、語尾に「こと」「の」「て」を付ける、いわゆる「
ことのて結び
」を使って雰囲気を醸し出す。「ですね」→「ですこと
」、「そうですか」→「そうですの
」、「いいの?」→「よろしくって?
」等々。
これらをマスターしないうちにお嬢さまを気取ろうとしても、お里が知れるだけである。 - お嬢さまなので、何か質問されたら必ず「
さようでございますか
」と相槌を打つ。否定的な回答をする場合も、返答の言葉は同様。肯定・否定を曖昧に表現するのがお嬢さまである。
相槌に「ええ」「はい」を使う時は、決して二回以上重ねて「ええ、ええ」とは言ってはならない。使うとお里が知れる。 - お嬢さまなので、困った事態になったら沈黙を守る。あなたが本当のお嬢さまであるならば、慌てずにっこり微笑んでいるだけで、周囲の人々があなたのために事態を収拾してくれるはずである。
慌てて取り繕うようではお里が知れる。 - お嬢さまことばを使う時は、恥ずかしがらずに最後まで、ゆっくりした口調ながらも明瞭に喋ること。「
ごきげんよう
」の挨拶も元気よく。
語尾を省略したりすると、普段使い慣れない言葉を使っているのがバレてお里が知れる。
万事がこんな調子で、お嬢さまを演じきるために必要な心得や技術が一通り書かれてます。
この本を読む必要があるのはお嬢さまでも何でもない普通の人々ばかりなので、お里が知れて俗物扱いされてしまっては元も子もないのであります。
でもまあもっとも、実践編の最後の方にはちゃんと「どうせ相手も『お嬢さま』ではない可能性が高いので、とにかく照れずに自信を持ってお嬢さまことばを使え
」みたいなことが書かれているんですけどね。現実社会にはもはやリアルなお嬢さまはほとんど存在していないということは、本を作る側もちゃんと認識しているのです。
以前ここで紹介した「ヴァーチャル日本語 役割語の謎」にも書かれていたことですが、現代社会における「お嬢さまことば」とは、『この言葉を使う人はステレオタイプなお嬢さまである』ことを表現するために存在している、限りなくフィクションに近いものに過ぎないのです。実際にお嬢さま言葉を使っているのを耳にしたことがあるのは、アニメ版「マリア様がみてる」の小笠原祥子さまの台詞だけ! なんて方も多いのではないのでしょうか。
では、何故今あえて「お嬢さまことば」を使うのか。この本では、それを「気品」という言葉で説明しています。
お嬢さまことばを使う効能として、この言語体系で喋ろうとすると、自然と語り口が謙虚で慎み深く丁寧な、いわゆる「お嬢さま」っぽいものになることが挙げられます。お嬢さまことばを操るためには知性が必要なので、喋りながらも「短縮せず、ゆっくり、最後まで」を心がけながら常に頭を働かせることで、自然と慎み深く丁寧な、気品を帯びた口調になるのです。
即ち、お嬢さまことばには独特の「気品」が宿っており、それ故に使う者の言動や考え方を律する効能があると考えられます。言葉が自分に馴染んで行くに連れ、「お嬢さまことばを使う自分」を自己肯定的に捉えるようになり、やがてその人は自然とその言葉を発するに相応しい気品と人格を宿すことになるでしょう。
そして会話の相手に対しても、「丁寧に喋るお嬢さまと会話をすることで、自分の社会的な立場を高められた感覚」を与えることができ、その相手もまた自分をそれ相応の人物として尊重して接するようになる――と、この本は説きます。相手と自分が相互に高め合う関係になることができれば、自分の「お嬢さま」としての立場は相手が作ってくれるのです。これこそが、お嬢さまことばの本当の力であると言えます。言葉には魂が宿ると申しますが、お嬢さまことばには文字通り「世界を変える力」があるのです。
「マリみて」にも、祥子さまにお嬢さま口調で話しかけられた書店員が、彼女の気品っぷりに圧されて突然丁寧な口調になって返答するなんてシーンがありましたけど、これは現代でもお嬢さまことばの力が十分通用することを端的に象徴したエピソードであると言えましょう。
現代社会でお嬢さまことばを使うということは、相当にしんどいことです。ヘマすれば簡単にお里が知られてしまい、高貴なお嬢さまから「は、はわわわ~
」なドジッ娘に地位が逆戻りしてしまいかねませんし、更にはせっかく習得したお嬢さまことばを他人の悪口を言うことに費やす、お嬢さまの暗黒面に目覚めてしまう可能性があるのもまた事実。
しかし、お嬢さまことばが世界を変える力を持つ言葉である以上、使う者にもそれ相応の心構えが必要になるのです。例えば、「マリみて」の小笠原祥子さまはほとんどの局面においてお嬢さまことばを使いますが、これは単に「彼女は生粋のお嬢さまである」という作品内の記号的な意味合い以上に、「彼女はお嬢さまことばを常に使うことで、己の気品を保とうとしているのだ」と知ることが重要なのです。彼女は親しい人相手にもあえてお嬢さまことばを使うことで、彼女の世界を彼女自身が「お嬢さま」として気高く振る舞うに相応しい場所にするため、あえて日々世界と戦って学園の品位を上げようとしているのです。
祥子さまはただの根性曲がりじゃないんですよ! クィーンオブ根性曲がりなんですよ!(うるさいよ)
なお、「お嬢さまことばで罵声を浴びせられたい!
」と懇願したいどうしようもないマゾヒストな貴方には、この本の巻末にちゃんと「お嬢さまらしいけなしことばリスト」が掲載されているので、「ふくよかでいらっしゃる!
」(デブに対する言い回し)「お派手な趣味でいらして!
」(悪趣味な人に対する言い回し)などの、なまじ政治的に正しいためにかえって怖い言葉の数々を祥子さまヴォイスで脳内再生し、存分に悦に浸って頂きたい。
またbk1にトラックバックできないような書評を書いてしまいました(書評?)。
2005/04/19
■2005/04/19のメモ
http://websunday.net/gx/number/jigou.html
サンデーGXのサイトにおいて、5/19発売のサンデーGX6月号に『GSホームズ極楽大作戦!! 〜血を吸う探偵〜
』が掲載されると告知されました。とりあえず速報 [関連URL]
2005/04/18
■2005/04/18のメモ
http://blogs.dion.ne.jp/forth_place/archives/939342.html
改装工事中の古いビルの天井から、昭和39年に描かれたマンガ太郎さんのセクシー女性のイラストが出てきた! という話。こんなこともあるんですね
http://d.hatena.ne.jp/oroshi/20050418/p1
仕方ないと言ってしまえばそれまでですが、残念です。
反省会やりたい気分
2005/04/17
■2005/04/17のメモ
http://d.hatena.ne.jp/oroshi/20050417/p1
4/27発売の22+23合併号から新連載「クロス×ゲーム」が開始。サンデー春の10週攻勢の締めを飾るのは、「絶対可憐チルドレン」ではなくあだち充先生の新連載だったみたいです。
主人公には幼なじみの四姉妹がいる模様。あだち版美少女わんさかコメディーの予感! [関連URL]
■サイト改装中
ヤングガンガンが売ってねえ!(挨拶)
ヤングガンガンに載ってる久米田先生の新作「いいがかり姉さん」がまだ読めてなくて悔しい深沢です。こんにちは。
以下、近況報告。
- 好きなWebページのメモをサーバ上にクリッピングできる「MM/Memo」というサービスで作った自分のメモを、このブログに取り込む仕掛けを追加しました。4/16にある「2005/04/16のメモ」がそれです。仕組みとしては、自作のMMTodayプラグイン(の修正版)を使用しています。
少年漫画関連のニュースや「絶対可憐チルドレン」の感想や情報などを発見したら逐次メモしてここで紹介、みたいな形でしばらく使ってみようと思ってます。 - あと、せっかくなので、現在このサイトの内部的な構造(blosxomのプラグインの構成とか、ページ生成の方法とか)を見直しています。現在も多少変わってます(ページ下にあるページ移動リンクの部分とか)。
もしかしたら一時的にこのページが見られなっちゃう可能性もありますので、その辺はご了承下さい。 - ここで使ってるbk1プラグインですが、bk1のリニューアルに伴い、現在は使えない状態になっているようです(商品によっては「bk1ストラップ」が表示される。しかも売り切れ)。
bk1の河野さんが公開されているMT版ブラグインの修正版がまもなく公開されると思うので、その時に対応します。 -
「絶対可憐ブロギング」や感想掲示板も、本当はもうちょっと手を加えたいところ。あと、連載時の情報をストックする、Wikiっぽいものも今のうちに作ろうかと思ってます。
連載開始が延びてて助かります(笑)。
2005/04/16
■2005/04/16のメモ
http://www1.odn.ne.jp/cjt24200/yamada/log/13/index.html#09
「かってに改蔵」終了で物議を醸した久米田康治先生がついにヤングガンガンで復活、さっそく大暴れな模様。
さすがです先生
2005/04/15
■山本のりこさんは柔道部じゃなく漫研に行けばモテるのにと思ったサンデー20号感想
- 「私に本気で襲いかかられてもちゃんと対処できまして?」(史上最強の弟子ケンイチ)
- 笑う桂鉱次郎(見上げてごらん)
- 裸の佐藤寿也(MAJOR)
- ゴーストスィーパー鷺ノ宮伊澄(ハヤテのごとく!)
- 「それが武士というものだ」と道士郎に言われた時のエリカの表情(道士郎でござる)
- 番外:絶体絶命デンジャラスじーさん
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1. 「私に本気で襲いかかられてもちゃんと対処できまして?」(史上最強の弟子ケンイチ)
もし私が美羽に本気で襲いかかられたら、両手両膝を着いて「ふつつか者ですけど、よろしくお願いします!
」と懇願すると思います(挨拶)。
わざわざレオタード姿でケンイチに武道家の心構えを説こうと勝負を仕掛ける美羽は、少年マンガにおける正真正銘のヒロインの鑑ですよ。こうした正統派ヒロインとしてのこまめな努力が、読者が「風林寺美羽 18禁」という文字列を検索サイトに入力する行動に駆り立てる訳ですよ。みんなホント好きなのな!(ドクロ)
あと、話の中に出てきた宮本武蔵が風呂に入らない理由ですが、「敵に隙を見せるのを嫌った
」というよりも、むしろ「修行に熱中するあまり風呂に入るのを忘れていた
」からであると思ってました。どっち?(と言われても)
2. 笑う桂鉱次郎(見上げてごらん)
普段はクールで根が暗そうに見える「見上げてごらん」の鉱次郎ですが、了のことで笑う時はこんなやんちゃないたずらっ子みたいな表情をするんだ! も、萌えー! と、もし自分が女子だったら叫んでいたに違いないです。
自分は、来世ではカップリング大好きな同人女子に生まれ変わる予定なので、来世になった時に読みたいマンガだなあと思いました。
あと今週のサンデーでは、「クロザクロ」に出てきた「童顔+眼鏡+黒スーツ+日本刀」という最強レベルの萌え要素を組み合わせた黒棘の萩を一目見た時も、「もしオレがメガネが大好きな女子だったら…!
」と思わずにはいられませんでした。「クロザクロ」も、また来世になったら(以下略)。
3. 裸の佐藤寿也(MAJOR)
「童顔+眼鏡+黒スーツ+日本刀」は相当な萌え要素であることは先程説明した通りなのですが、今週の「MAJOR」における佐藤寿也の「童顔+筋骨隆々な逞しい体+海パン」のコンボは、その点どうでしょうか。
個人的には、パチンコの「海物語」シリーズに出てくる童顔マッチョなビキニパンツ男にちょっとだけ雰囲気が似てるかな、と思います(湾曲表現)。
あと、吾郎と恋人同士になったにも関わらずほとんど吾郎から気にされていない清水の報われなさレベルは、もはや「いでじゅう!」の朔美ちゃんに匹敵する領域に近付いているのではないかと危惧します。
果たして来週以降、彼女の出番はあるのでしょうか?
4. ゴーストスィーパー鷺ノ宮伊澄(ハヤテのごとく!)
ここで一つお詫びと訂正を。
以前「ハヤテのごとく」に伊澄が登場した際、彼女が破魔札を使って物の怪を撃破する活躍を見せたエピソードがありましたが、当サイトは仮にも「GS美神」のイラストをトップページに頂く椎名高志ファンサイトを標榜しているにも関わらず、彼女のゴーストスィーパーな行動に対して突っ込みを入れるのを忘れていました。
謹んでお詫びし、再発防止に努めていきたい所存です。
そして今週の伊澄は、キッス一つで呪われたアイテムを解呪してしまうという、もしこれが美神令子だったら(というか、椎名高志のマンガだったら)死んでも真似できないような、清楚かつお上品な除霊方法を披露。ゴーストスィーパー鷺ノ宮伊澄の評価は、業界で急上昇したに違いありません(業界?)。
あと、彼女のキャラ紹介には「その言動で周りの者を不幸にするという得意体質
」と書かれてますけど、今週になってついにその才能が発揮された感があります。「GS美神」のお嬢様キャラ・六道冥子の場合は悪意のないまま無邪気にあらゆるものを物理的に破壊する能力を備えていましたが、伊澄が壊すのは物体ではなく人間関係です。人間関係。自分がハヤテに対して「好き」と言うことが何を意味しているのか、おそらく人間関係に無頓着であろう彼女には全く理解できていないはずです。
つまり彼女は、無邪気に周囲に好意を振りまき、狭い範囲の男女間の人間関係をメチャクチャにしてしまうタイプと見ました。サークルとかにいるとありがた迷惑なタイプ。これは確かに、冥子よりも遙かに怖ろしい才能です。この破壊力には業界も震撼するに違いありません(業界?)。
参考:マンガの中に出てきたスレが本当に2ちゃんに立った挙げ句、スレストを喰らって名スレに昇華してしまった
『【中二病】青春の思ヒデwwゲキワロスww』スレッド
5. 「それが武士というものだ」と道士郎に言われた時のエリカの表情(道士郎でござる)
具体的には、P.366 2コマ目のエリたん。「道士郎に対しては何を言っても無駄だ」ということを理解した彼女の、悟ったんだか諦めたんだかよく判らない、何とも言えない深い表情が印象的です。
あと、健助のクラスメート達の「ここはオレに任せて殿は先に!」的展開への憧れっぷりは異常。こいつらホントにバカばっかだなあ(誉めてます)。
番外:絶体絶命デンジャラスじーさん
前回載った時は正直言って何処が面白いのか全く判りませんでしたが、今回は面白さが理解できたような気がする!
また一歩、コロコロコミックに近付いた!(頭の中が)