2007/08/18
■マンガ版ノアの方舟計画
いわばマンガの「ノアの方舟」ですね。
各自残す条件は様々あるかと思いますが、フジモリの条件としては以下のとおり。
「三軒茶屋 別館」のフジモリさんが書かれた記事。前に私が書いた引っ越し時のマンガ選別ネタを元に、更に踏み込んだ考察をされています。
「このマンガの存在は今の自分の人格を構成する要素になっているか?」という自分が書いた漠然とした判断基準を、より明確な形で条文化してくれた、という印象です。こうして書かれてみると、自分の場合は「神格性」「常習性」「根本性」をより重視して本を選択しているように思えます。自分の好みが可視化された感じがして面白いですね。
話題として取り上げて下さり、ありがとうございました。
なお本の選別については、本屋で売ってるコミック以上に、これまで即売会で買った同人誌の選別作業の方が、遙かに心理的に厳しかったことを申し加えておきます(笑)。同人誌は希少性が高いので、こういう時はホント処分に困ります。
2007/08/12
■漫画ナツ100に参加します
本棚リストを元に、「酔拳の王 だんげの方」さんが開催している漫画ナツ100用の漫画推薦リストを作りました。
下記のリンク先が、漫画一覧を書いたテキストファイルになっています。5つ目のフィールドに入っている文字列は、対象の漫画のコミックス1巻のISBN(ISBNがないものはAmazonのASIN)です。
よろしくお願いします>だんげさん。
この中で微妙なのが掲載されている作品の大半が週刊少年ジャンプに掲載された「七つの海」、および週刊少年サンデーに掲載された「暁の歌」なのですが、これは全て読み切りの短編であり、定期的に「連載」されていた訳ではないので、一応ここに入れておきました。もし問題があるなら除外して下さい。
今回のレギュレーションだと、トップに来るのは「よつばと!」か「シグルイ」になりそうな予感。
■引っ越し後の本棚リストを公開したくなった(1980年代以前版)
本棚晒しエントリ最終回。1980年代以前の古い本です。
高橋留美子と藤子不二雄がホント好きだったんだなあ自分。
1980年代
- ラプラスの魔 (MEIMU, 1989年)
- 同名のゲームのコミカライズ版。ただしゲームとは趣が異なり、主人公のミーナ達が館を探検するうちに様々な物語の世界に入り込んでしまう、という形で物語が進んで行く。「ラプラスの魔」というネームバリューのある原作に対して大胆にアレンジを施したことが印象に残っているマンガ。この頃のMEIMU先生の個性的な絵柄も魅力。
- ロマンシア―浪漫境伝説 (寺田 憲史/円 英智, 1988年)
- これも同名のゲームのコミカライズ版。この頃はパソコンでゲームばっかりやってました(自分語り)。
ただ、ゲームの方はさらわれたお姫さまを助ける王子が主人公なのだが、マンガの方は主人公の女の子が王子を助けるために旅に出るという形になっている。内容も激しくアレンジされていて原作の跡形は微塵もないんだけど、これも原作の制約を外したことで逆に面白くなったタイプのマンガだと思う。あとマジシンがかわいい。褐色少年萌え。 - バオー来訪者 (荒木 飛呂彦, 1985年)
- 「
そいつに触れることは死を意味するッ!
」という特徴的なアオリが今も語り継がれる、荒木飛呂彦先生の初期の傑作。これが打ち切りを食らったマンガだとは思えない程の高い完成度を持つ。当時リアルタイムで読んで衝撃を受けた作品。 - るーみっくわーるど (高橋 留美子, 1984年)
- 高橋留美子先生の短編集。この時代までの高橋先生作品のエッセンスを結集したような本。中学生時代に愛読していた記念として保存してあります。
- めぞん一刻 (高橋 留美子, 1982年)
- 近代恋愛マンガの礎。これも中~高校生時代にリアルタイムで読んでいたので保存。
一つの連載を最初から最後まで追いかけ、リアルタイムで友達と盛り上がることの面白さを知ったマンガでした。 - つくろう!同人誌 (まんがカレッジ, 1983年)
- まんカレ謹製の同人誌作成マニュアル。同人誌と言っても二次創作同人とか面妖本とかそういうのではなく、純粋にオリジナルのマンガを書いて同人誌を作ろう! でもって小学館の同人誌グランプリに応募しよう! という趣向。そんなのあったんだ昔。
マンガ好きな男子が仲間を集めて同人誌を作る、という筋書きの本なのだが、その男子自身はマンガを描かないで編集に専念するというのが、この手の本としては珍しいような気がする。マンガや本を制作するにあたっての基本的な知識を教えてもらった本として個人的には思い出深い。 - ダストスパート! (高橋 留美子, 1980年)
- 「るーみっくわーるど」には掲載されていない「儲かり末世」が掲載されている貴重なコミックなので保存。残し方が微妙だ。
昔ブックオフで100円で買った記憶があります。ブックオフはたまにこういう本が流れているので油断できない。
1970年代
- オリンポスのポロン (吾妻 ひでお, 1979年)
- 子供の頃は、よく姉の部屋に忍び込んで姉が買ってた「月刊プリンセス」をこっそり読んでいたものですが、その中で一番好きだったのが「オリンポスのポロン」でした。小学生時代の思い出の作品として保存。姉ちゃんごめん。
- T・Pぼん (藤子 不二雄, 1979年)
- 潮出版社版を所有。藤子不二雄先生のSFマンガにハマっていた頃にこのマンガの存在を知り、「主人公がタイムパトロールになって歴史に埋もれて非業の死を遂げた人を救う」というロマン溢れる内容にすっかりメロメロに。あと、主人公の先輩格のリーム・ストリームにもメロメロに。
「のび太の恐竜リメイク版にリーム姉さんが出て来ないのは許せねえ!
」とか言ってる困った人は、みんな子供の頃にこれを読んでリーム姉さんに萌え萌えになってたオッサンです。人のこと言えませんが。 - エスパー魔美 (藤子 不二雄, 1978年)
- てんとう虫コミックス版を何巻か所有していたが、痛みが激しいため小学館コロコロ文庫版のみを保存。これなしではオレの厨時代は語れないぜ! みたいな位置付けにあるマンガ。
このマンガの最大の価値は、主人公の超能力者に適切な助言を与える「高畑さん」という概念を発明したことにあると思う。あと、そういうポジションにいるキャラをあえておっさん体型にしたのも凄いと思う。オレはあの頃、高畑さんになりたかったんだ…(厨っぽく) - 異色短編集 (藤子 不二雄, 1977年)
- 宇宙人 (藤子 不二雄, 1979年)
- 「異色短編集」は小学館から出ていた藤子不二雄先生のSF短編集。「ミノタウロスの皿」「劇画・オバQ」「ウルトラスーパーデラックスマン」「ノスタル爺」などが収録されている全6巻のコミックス。「宇宙人」は朝日ソノラマから出ていたSF短編集で、「宇宙人」「ぼくは神様」「みどりの守り神」などが収録。
この辺はもう自分の一部になっているので手放せません。大事に持っていたいと思います。
2007/08/10
■引っ越し後の本棚リストを公開したくなった(1990-1994年版)
お久しぶりです。前回の俺様本棚語りの続きです。
今回は1990年~1994年のコミックを羅列。そろそろこの辺から10代の方は置いてきぼり気味になります。
1994年
- Aquarium (須藤 真澄)
- 新声社版を所有。須藤真澄先生のマンガをちゃんと読んだのは多分これが初めてだったと思う。輪廻の概念と水族館を組み合わせたユニークな世界観と、ほのぼのな雰囲気ながらも「生命」について考えさせられる懐の深さも持った作品。
あと、これ読むと水族館に行きたくなること請け合い。当時はこのマンガに触発されて池袋のサンシャイン水族館へ行き、マンボウをずっと眺めていたモノでした。懐かしいなあ(自分語り開始)。 - 覚悟のススメ (山口貴由)
- もはや、自分にとってのバイブル的な存在のマンガの一つ。作者の熱意が絵や台詞から迸りまくっている、文句なしの傑作。当時は、山口貴由先生とはこのマンガを描くためにマンガ家になる運命を授けられた存在に違いない! と思い込んでいた程(迷惑)。
「シグルイ
」もそうですけど、山口先生のマンガは「山口貴由でなければこのマンガは絶対に作れない」と感じさせる強烈な個性を感じさせます。
1993年
- 海底人類アンチョビー (安永 航一郎)
- 基本的には(この時代における)いつもの安永航一郎先生のマンガなんだけど、最終巻ではいきなりハードSF的な展開を見せるところが侮れない。そんな中でも話のノリは相変わらずの安永節なところも凄い。何かこう安永先生のマンガ家としての地力を見たような気がする、という意味で印象的なマンガ。
- エンジェリックゲーム (柴堂 恭子)
- 柴堂恭子先生のマンガとしては珍しい、現代(1990年代)を舞台にしたサスペンスドラマ。物語後半では当時自衛隊が派遣されたことで話題になっていたカンボジアを舞台にするなどの意欲作ではあったものの、何かよく判らないけど諸般の事情で未完扱い。どうした小学館。
個人的にこのマンガが記憶に残っているのは、多分柴堂恭子作品としては(これも)珍しく男女の恋愛を真正面から扱っている話だったからと思う。 - ダンジョン・マスター (栗橋 伸祐)
- 同名のゲームのコミカライズ。原作のゲーム世界の設定を尊重した上で、パーティーのキャラクター達(全て原作のゲームに登場する)にこのマンガ特有の個性を付けることに成功している。ゲーム原作のマンガとして、とてもよくできている作品だと思う。
- コーリング (岡野 玲子)
- 潮出版社版を所有。ファンタジーの名作「妖女サイベルの呼び声」のコミック版。岡野玲子先生の卓越した表現力によって、作品世界を更に魅力的なものとして描いている。またストーリーの面でも、重要なシーンでは原作にない心理描写的な掘り下げがなされており、原作を事前に読んでいれば更に楽しめるようになっているのも素晴らしい。祖父江慎氏による「魔術書」っぽい装丁もステキ。本棚に常に飾っておきたい本。
- がらくた屋まん太 (能田 達規)
- 自分が初めて能田達規先生の存在を知ったマンガ。主人公が様々な発明品を作ってご町内を舞台に大暴れするという、後の「おまかせ!ピース電器店」の礎となる痛快ハチャメチャガジェットSF。終盤になるとシリアスな話が増えるものの、基本的にはウィットとSFマインドに富んだユーモア溢れるギャグマンガ。今読んでも面白いです。にしても中古価格が高いなあ。
1992年
- グリーンゲイトへようこそ (めるへんめーかー)
- 我々の世代にはファンタジー漫画の旗手としてなじみ深い、めるへんめーかー先生の作品集。イギリスの田園都市を舞台にした、全体的にほのぼのした雰囲気のコミック。青春時代の思い出として保存。こういうの好きなんですよ。
- マトゥルスの血族 (沢田 一)
- 最近になって完全版が出て個人的にビックリしている、沢田一先生の初期の作品。ドラゴンマガジンで連載。冒頭はこの時代のファンタジー作品に頻繁に見られる「乱暴な主人公男子と気の強い女子」の冒険行な話なのだが、「不死」を題材に徐々に物語のスケールがアップして行く展開の力強さが魅力。あと、最初に敵役として出てくるキーラ(属性・ツンデレブラコン女子)がモリモリ可愛くなっていく様が萌え。
- 七つの海 (岩泉 舞)
- 今も根強いファンを持つ、岩泉舞先生の現在唯一の作品集。気弱な少年の心の成長を描いた表題作の「七つの海」、世界から徐々に忘れられ消滅していく主人公の心情を描いた「ふろん」など、今もその内容を鮮明に思い出せるくらい強烈なイメージを自分に残しているマンガが掲載。これからも決してその存在を忘れないであろう本。
- GS美神極楽大作戦!! (椎名 高志)
- 結果的に、これと出会ったことで自分の運命が変わってしまったマンガ。当時は、本気で「美神令子みたいになりたい」と思ってました。いや別にワンレンボディコンの姉ちゃんになりたかった訳ではなく、自分の力だけで自信を持って好きなように人生を渡り歩いていけるくらい「強い」人間になりたい、という意味でです。ホントです。
一番好きな女性キャラは小鳩ちゃんです(聞いてない)。
1990-1991年
- 燃えよペン (島本 和彦)
- 竹書房版を所有。「燃える漫画家」島本和彦先生の、言わずと知れた名作。「
時間が人を左右するのではない! 人が時間を左右するのだ!
」等、魂を揺さぶられる至極の名言の宝庫でもある。漫画家志望に限らず、何らかの大望を志している人は読むべき。 - 巨乳ハンター (安永 航一郎)
- 安永航一郎先生の魅力が凝縮しているギャグマンガ。おっぱいとかが沢山出てくる不健全な内容にも関わらずどこまでも健康的な雰囲気、清々しいまでに徹底された馬鹿馬鹿しいストーリーの数々、B級的な意味でのパロディセンスの素晴らしさ。全てが上手く噛み合った作品だと思う。
- グラン・ローヴァ物語 (柴堂 恭子)
- 潮出版社版を所有。初期の柴堂恭子先生作品にして、柴堂作品の魅力が凝縮して込められているようなマンガ。読むと「世界」や世の生き物たちに対する考え方が変わるかも知れない――と言っても過言ではない、ファンタジーならではの壮大なスケール感を持った作品。
あとイリューシアかわいい。超かわいい。自分が人外萌えに目覚めた作品でもあります。 - 伝染(うつ)るんです。 (吉田 戦車)
- 言わずと知れた四コママンガの革命的存在。よって説明不要。これは持っとかないと。
- キャウ・キャット・キャン (道原 かつみ)
- SF的な世界観を持った作品が多い、道原かつみ先生のマンガ。猫を祖先に持ち「人類に奉仕する」ことを遺伝子に刷り込まれたヒューマノイド達が住む、人類から捨てられた辺境の惑星を舞台にした話。自由に生きたいが刷り込まれた宿命から逃れられないヒロインの葛藤が印象的。女性読者向けSFコミックの奥深さを知った作品。
2007/08/02
■引っ越し後の本棚リストを公開したくなった(1995-2000年版)
お久しぶりです。前回の本棚自慢の続きです。今回は1995年~2000年のコミックを羅列。
なお、今週のサンデーはこれから読みます><
2000年
- 阿弖流為2世 (高橋 克彦/原 哲夫)
- 「
アメリカの次はエイリアンにNOだ!
」「捨て おけ!
」
原哲夫先生のマンガは、描かれた時代の雰囲気を反映していて面白いですよね(穏便な表現)。 - がんばれ酢めし疑獄!! (施川 ユウキ)
- 現在は「サナギさん」を描いてる施川ユウキ先生の出世作。不条理ギャグと言うよりも哲学ギャグと表現した方がいいかも知れない。作者のセンスが妙に私の性に合います。
- あずまんが大王 (あずま きよひこ)
- 「女子高生が日常を緩やかに消費する」系マンガの金字塔的な作品にしてデファクトスタンダード。中毒的なまでの再読性の高さは今以て魅力的。
- MISTERジパング (椎名 高志)
- 現代椎名高志マンガの礎。このマンガが完全に消化できなかった「予知によって決められた未来への抵抗」というテーマを「絶チル」が受け継いでいるのではないかと思ってます。
1999年
- 愛人 AI-REN (田中ユタカ)
- 田中ユタカ先生が、エロマンガ家としてのキャリアを賭け、己の持てる全ての才能を注ぎ込んで造り上げた魂の結晶。読むと心を揺さぶられること間違いなしな名作。こんなしんどいマンガを最後まで描き切ることができた田中ユタカ先生の気力は、本当に素晴らしいと思う。
- 公権力横領捜査官・中坊林太郎 (原 哲夫)
- 「
親は関係ないだろ、親は!おー!?
」があまりにも(ネタとして)有名なマンガ。原哲夫先生の画風とベタかつ破天荒なストーリーがマッチしており、何度読んでも楽しめる。『大衆向け娯楽マンガ』の魅力を体現したかのような作品。 - チャッピーとゆかいな下僕ども (ながいけん)
- リンクは大都社から出ている大増補版。みんな大好き(決めつけ)ながいけん先生の、最初にしておそらく最期の作品集。独自路線を行くギャグマンガ家としての希有な才能を存分に堪能できるが、あとがきを読んでいるとその「才能」があったからこそサンデーというメジャー誌ではやっていけなかったのかな、とも思う。
昔サンデー増刊に載った「極道さんといっしょ」を読みたいので、「モテモテ王国」の未収録分と含めてコミックスを出して下さい。 - スタンダードブルー (宇河 弘樹)
- 「朝霧の巫女」の宇河弘樹先生の初期作品。近未来の海洋都市を舞台に、父親を海で失った主人公の女の子が様々な経験を経て成長していく、という筋書き。個人的に海洋冒険モノが好きというのもあるけど、最終話の「父」の存在と向き合った上で大人へと成長していく流れが個人的にツボ。
- 進め!!聖学電脳研究部 (平野 耕太)
- 新声社版を所有。基本的には作者が好き勝手やってる変なマンガなんだけど、それ故に「アレな感じのゲームをネタにして楽しむ」オタク気質や、「情報に流されず本当に自分が好きなゲームを好きと言ってプレイする」コアなゲーマー気質といった、作者の世代のゲームファン達が持っていた雰囲気を伝えていることができている気がします。
- 半分少女 (流星 ひかる)
- 思春期特有の、甘酸っぱくてちょっとエッチでかつ少し不思議なマンガを描かせると圧倒的なアドバンテージを発揮する、流星ひかる先生のマンガ。先生のコミックは何冊か持っていたけど、悩んだ末に一番最初に買ったこれを残した次第。
- ホアー!!小池さん (藤子 不二雄A)
- コンセントレーション!(挨拶) 藤子不二雄A先生でなければ到底許されないキャラクターやストーリーが跋扈する、色々な意味でAテイストに溢れたゴルフマンガの怪作。これが本当のAだ!(決めつけ)
- 羊のうた (冬目景)
- 持っているのはソニーマガジンズ版。自分が冬目景という漫画家の魅力を知ったマンガ。主人公の姉の千砂の美しさと純粋な意味でのエロティシズムが忘れられない。あと八重樫さんの健気さも忘れられない。今も自分の心に深く余韻が響いている作品。
1998年
- 魔術っ子!海堂くん!! (すがわら くにゆき)
- ポップな絵柄のキャラ達が軽快かつ大胆なオタクトークを全編に渡って炸裂させる、すがわらくにゆき先生の作品。「
ひょーっ!やっぱりエロ同人はいいのう!
」「死んじゃえばいいのに
」「ちんこが二本も三本もっ!
」「貴様こそアニメとマンガと声優以外の話題で会話してみやがれっ!
」等、素敵な台詞が飛び交うマンガ。
初めて読んだ時はカルチャーショックを覚えました。ある意味、自分のオタク人生に大きな影響を与えたといって良い一冊。 - 大同人物語 (平野 耕太)
- 同人オタク達をスタイリッシュに描いた異色作。
こんなマンガを描けるのは、おそらく平野先生しかいません。 - 神聖モテモテ王国 (ながいけん)
- ひるいなき孤高のギャグマンガ。90年代のサンデーに「黄金期」があったとしたら、それは「モテモテ王国」が連載されていた時期だと思います。
1995-1997年
- 電波オデッセイ (永野 のりこ)
- 電波系なギャグの中に「社会になじめない者達の苦悩」というテーマを込めてマンガを描いてきた永野のりこ先生の作品の中でも、メッセージ性が極めて強いマンガ。
当時このマンガに救われた人も、きっと多いはず。 - グルームパーティー (川島 よしお)
- 「昭和時代の辛気くさいネタ」と「かわいい女の子」のミスマッチが絶妙な雰囲気を醸している四コママンガ。「女囚さそり」をインスパイアした「さそりちゃん」シリーズがもの凄く好き。故に永久保存。
- モジャ公 (藤子不二雄)
- 小学館コロコロ文庫版を所有。1969年に描かれたマンガ。
基本的には「21エモン」と同系統の宇宙冒険モノなのだが、このマンガから感じる死のオーラの強さはもはや尋常ではない。ブラックユーモアが冴え渡った藤子スペースオペラの傑作だと思う。こんなハードなマンガを低学年を対象とした雑誌に連載した藤子F先生はやはり偉大だ。
2007/07/29
■引っ越し後の本棚リストを公開したくなった
お久しぶりです。
サイトの更新が止まっていた間、主に何をやっていたかというと、引っ越しをしてました。
引っ越しの時点で、家にはこれまでの人生で買い込んできたマンガが大量にあったのですが、さすがにそれを全て持って行くのは物理的に無理なので、かなりの量の本を引っ越し時に処分しなければならなくなりました。具体的に言うと、マンガ用の本棚代わりにしていた三段のカラーボックスが10個あったんですが、新居に置けるのは2個だけという状況。約80%の本を処分しないといけません。
仕方がないので、捨てるか残すかの基準を以下のように定めることにしました。
- コミックス20巻を超える長期連載マンガは、物理的に保存が難しいので基本的に処分
- 読み返す頻度が低く、かつ入手難易度が低いもの(本屋や古本屋で容易に見つけられるもの)は処分
- 捨てるか残すか迷ったら「
このマンガの存在は、今の自分の人格を構成する要素になっているか?
」と問いかけ、「Yes」と応えられるものは保存。自信がなければ思い切って処分 - 椎名高志先生のコミックは、上記の第3項に基づいて保存
そんな選考を生き抜いて一緒に引っ越して来たマンガのうち、既に連載が終了している作品に絞ったリストを作ったので公開してみます。絞ったとはいえかなり量があるので、今回はコミックスが2001年以降に発行されたものを。
これってちょっと去年マンガ感想サイトで話題になったナツ100っぽいですね。参加したかったなあ(去年の夏の自分に向かって)。
2004年
- 武装錬金 (和月 伸宏)
- 読むと無闇に元気になって、人類の存在を賛美したくなるマンガ。それが「武装錬金」。自分がマンガという媒体に求めている楽しさが集約された作品なのかも知れない。
- 暁の歌 (藤田 和日郎)
- 藤田先生の短編集。伝説の名作「美食王の到着」のために購入したけど、一見弱々しい爺さんが実は柔術の達人だった!という筋書きの「瞬撃の虚空」のあまりの凄さにやられた。何度読んでもグッと来る。藤田先生は本気で底が知れないマンガ家だと改めて認識させられた一冊。
- 無敵鉄姫スピンちゃん (大 亜門)
- みんな大好き大亜門先生の出世作にして、大亜門作品のエッセンスがぎっしり詰まった傑作。でもやっぱり明らかな問題作であることは間違いない。その辺ひっくるめて好きな一冊。
2003年
- G-onらいだーす (小野 敏洋) [Amazon]
- 一見すると「
何故これが上連雀三平名義じゃないの?
」と思ってしまうくらいの完膚無きまでなパンツ履いてないマンガなのだが、しかしその本質は「博愛」の精神の尊さと美しさを描ききった名作である! と断言していきたい。 - セツナカナイカナ (こがわ みさき)
- すこし不思議系少女マンガ。表題作「セツナカナイカナ」と「マチコの心のへそ」が印象に残っており、時々読み返してホエホエしたくなる本。
- 玄米ブレード (雷句 誠)
- 雷句先生の新人時代の読み切りマンガ集。原初の雷句美少女のステキさを感じられる「ユリネグレイト」、原初の雷句ヒーローの心意気を感じさせる「ヒーローババーン」。原初の雷句誠の魅力が詰まった一冊。
- Cotton (紺野 キタ)
- OLやってる普通の大人の女性が、自分よりも背が高くて自己主張の激しい女子高生に振り回されつつも惹かれていくという感じの話。最終話でこの二人が泣きながらケンカするシーンがなんかもの凄く好きだ。なんだこの感情。
- 椎名百貨店超GSホームズ極楽大作戦!! (椎名 高志)
- 「カナタ」と「絶チル」の間を結ぶミッシングリンク的な作品を収録。「絶チル」好きな人でまだ未読なら是非。
ホントはこの勢いで「パンドラ」(兵部じゃない方)もコミックス化して欲しいところなんだけど、「絶チル」アニメ化級のイベントが起きないとダメなんでしょうか。
2002年
- ひみつの階段 (紺野 キタ)
- 乙女は祈る―ひみつのドミトリー (紺野 キタ)
- いわゆる女子校寄宿舎モノのエッセンスが詰まった傑作。持っているのは復刻されたポプラ社版の方。「マリみて」ブームのおかげでこういう作品が手に入れやすくなったのはありがたいです。
- エマ (森 薫)
- 連載は終わってませんが一応ここに。
現代メイドブームの礎を築いたと言っても過言ではない作品。自分の好きなモノを好きとアピールし続ける姿勢の大切さを森薫先生から教えてもらった気がします。 - おにいさまへ… (池田 理代子)
- 持っているのは中央文庫のコミック版。全編に渡って理不尽なまでの愛憎怨怒が吹き荒れる、女子校ソロリティモノの傑作。出崎統監督のアニメ版はこれに輪をかけた大傑作なので、第一話だけでもいいからみんな見るべき。
なお自分の脳内設定では、「マリみて」の水野蓉子は中学生の頃に「おにいさまへ…」のアニメ版を鑑賞、その中で描かれたソロリティのリーダー・一の宮蕗子の末路を目の当たりにして『ああはなるまい…
』と心に誓い、リリアンではソロリティの改革開放路線を掲げるようになったことになっています。 - ブラック・ラグーン (広江 礼威)
- 連載はまだ終わってませんが、ロックが己の立ち位置を決める覚悟をした6巻を読んだところで自分の中では一区切り付いたので、続きの購入が止まっている状態です。そろそろ続き買いたい。
- 地球美紗樹 (岩原 裕二)
- 岩原裕二先生のコミックは「いばらの王」も「クーデルカ」も持っていたのですが、眼鏡っ子とショタっ子がいちゃいちゃする「地球美紗樹」が個人的には一番ツボに来ました。
- ネコの王 (小野 敏洋)
- 「
異なる思想や人種が同じ世界に共存するためには?
」という現代的なテーマを提示しつつも、エンターテイメントに徹して楽しく読むことができる、小野敏洋先生のテイストが感じられる良作。 - 一番湯のカナタ (椎名 高志)
- 欠点は多いが愛するべきところも多い、あらゆる意味で微妙な立ち位置にいる椎名マンガ。3巻のハチャメチャさはある意味ファンなら必読。
2001年
- EVE★少女のたまご★ (やぶうち 優)
- 「
人間に愛されるロボット
」となるべく、少女型ロボットのイヴが小学校に通いつつ成長していく話。子供向け少女マンガとして普通に面白いし、成長過程の表現の仕方に巧みさを感じる。あと何かエロい(最大の保存理由)。さすがやぶうち優先生。 - なつのロケット (あさり よしとお)
- 小学生達が集まって「本物」の宇宙ロケットを作るという、あさりよしとお先生らしいジュヴナイルにしてハードSFなマンガ。文句なしに傑作。男の子はみんなこれを読んで熱くなるが良いと思う。
- ゆめのかよいじ (大野 安之)
- 所有しているのは新バージョンの角川書店版の方。ノスタルジーを基調としつつも、『時と共に変化する世界を是とも非ともせず、ただ緩やかに変化を許容する』、みたいな雰囲気の作品と認識。少女同士のエロスを想起させる雰囲気も良い。
- こさめちゃん―小田扉作品集 (小田 扉)
- 「小田扉」の名を知らしめたであろうコミックス。個人的には、コミティアで氏の同人誌を読んで衝撃を受けた「放送塔」が忘れられない。後は「としごろとしこ」のとぼけた感じも大好き。そんなお年頃なんですよ。
- 紺野さんと遊ぼう (安田 弘之)
- フェティシズムマンガの傑作(多分)。このマンガに漂う、嘆美を通り越してシュールとしか表現しようのない異様な雰囲気が大好き。オレはこういうのが好きなのかと自覚させられた本。
- プラネテス (幸村 誠)
- 近未来宇宙SF不朽の名作。人は宇宙への情熱を失ってはいけないと思う。しかし、「
タナベは俺の嫁
」でググると1件しか出てこないのはどうしたことか(と言われても)。
2007/02/15
■2006マリみて感想サマリー
この前、新書「ミッション・スクール」に関してちょっと書きましたが、そういえばここで「マリア様がみてる」についてここ1年くらい何も書いていないなとふと思ったので、これまで溜まっていた分の単行本の感想みたいなものを書いてみます。
なお、相変わらず自分の中では「マリみて」と「シグルイ」は不可分なので、ちょっとシグルイも混じってます。ご了承下さい。
くもりガラスの向こう側
『ただ一つの誤算は この夜の小笠原清子が正気でも曖昧でもなく
』
敵であろうと味方であろうと 間合いに入ったもの全てを斬る魔神へと変貌をとげたこと
そんな感じで、普段は曖昧な清子小母さまが魔神と化し、小笠原家の屋敷で大はしゃぎして大暴れするエピソード。いやマジで。
『マリア様がみてる』の宣伝文句は「超お嬢さま達の大騒ぎ学園コメディー」なので基本的にはこういう話もアリなのですが、祐巳が瞳子にこっぴどくフラれて失意のどん底にあるこのタイミングで「大騒ぎコメディー」的な話を祐巳に強要するとは容赦がないなあと思いました。お嬢さまやるのも大変だ。
仮面のアクトレス
『危ない
』
不十分な「ツンデレ」はそれゆえに危ない
かつて『未来の白地図
』で、その研ぎ澄まされたツンデレの刃で見事一撃で祐巳を斬り捨てた瞳子。ツンの技の冴えはもはや留まるところを知らず、神妙の域にまで達しつつある彼女ではあったが、しかし本来ツンデレとは「ツン」と「デレ」が不可分の存在であり、一度ツンの刃を祐巳に向けたからには、いつかはその刃を収めてデレに移行しなければならない。
だが瞳子はあまりにツンが過ぎるあまり、祐巳に対して刃を収めるタイミングを逸してしまっていた! 今、鞘を見失った瞳子のツンデレの暴走が始まる!
みたいな感じで、行き所を失いつつあった瞳子が感情の収まりどころを探して生徒会選挙に立候補した話だと理解しているのですが、その辺どうでしょうか。
大きな扉 小さな鍵
『四名目として生徒会選挙に立候補したのは 紅薔薇さまの親戚である松平瞳子であり
』
その瞳子を制したのは やはり紅薔薇さまの妹である福沢祐巳
恐るべしは 同門と言えども命を賭して薔薇さまの座を競う紅薔薇流
市井の風評はそのような形に落ち着いた しかし
キーホルダー編:
読者の視点からは瞳子にフられてからどうにも煮え切らないでフラフラしているように見える祐巳ですが、でも彼女の周囲の人達はそんな祐巳の態度を余裕と貫禄の表れと解釈し、「あれだけされても瞳子を見捨てないで見守っているなんて、さすがは祐巳さま!
」と、その大物っぷりに感心する話だと解釈しました。
「彼女には何か自分には判らない事情があるようだから、しばらく時間を置こう」という祐巳の消極的とも言える選択が周囲の共感と協力を呼ぶこととなり、結果的に事態を好転させることになります。これも祐巳の人徳のなせる技か。さすがは将来リリアンを支配する運命にある女は違う!
ハートの鍵穴編:
今となっては瞳子の「お兄さま、おしっこ!
」しか記憶に残っていない方も多いと思いますが、全てに対して疑心暗鬼になっている瞳子が、「お兄さま」こと柏木との会話を通じて自分が如何に周囲が見えていない状況に陥っているかを自覚した、という意味においてかなり重要なエピソードであると言えます。
「お兄さま、おしっこ!」は、同じく自分のことで疑心暗鬼に陥って自分勝手に怒りに震え始めたお兄さまを制すると共に、自分もお兄さまと同様の状態にあることを彼女が自覚したことを暗示する言葉でもあるのです。
でも「おしっこ」はやりすぎだと思った。お兄さまおしっこ。ハァハァ(ダメ)。
クリスクロス
『リリアン女生徒による学園狩りが二度行われたが
』
成果はカード二通
ツンデレの刃を誤って振るっていたことを自覚し、行き詰まってしまった瞳子。彼女が内心で「救い」を求めている正にその時、これまで祐巳や瞳子の動きをあえて静観していた祥子さまが、ついに動いた! という話。瞳子が自らの意志でバレンタインイベントに参加し、祐巳に会って状況を打開できるように背中を押す(しかも祥子さまらしくひねくれた方法で)そのやり方は狡猾そのものであり、さすがは陰謀渦巻く女の園で支配者として君臨しているだけのことはあるよなあと思いました(まちがい)。
そして、祥子とは逆に一貫して瞳子に介入して来た乃梨子も、前巻で彼女が感じた祐巳さまの大物っぷりを瞳子に説くことで、ついに瞳子を動かすことに成功。さすがは祐巳さま亡き後に「マリみて」の主役を張る女と噂されるだけのことはありますね(ありますか?)。
ヒントは出しても決してカードを探し出せない場所に隠した志摩子さんは、本当に性格が悪いと思いました。
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そんな感じで、去年の「マリみて」は総じて『瞳子が祐巳の妹になるかどうか』というネタで散々引っ張ってきたイメージが強く、「祐巳と瞳子が姉妹になってイチャイチャしてるところを読みてえ!」と常日頃から妄想しているファンの方は切ない時を過ごされたのではないかと思われますが、「クリスクロス」で瞳子が動き出したことでようやく話が先に進みそうな雰囲気になって来ました。
今年こそは、祐巳と瞳子がイチャイチャしてるところを本編でも読めるようになれるといいですねー