2005/07/26

■てれびくん7月号感想

 「みんなも、さいごまでネクサスを応えんしてね!

 と書かれた「てれびくん」のネクサス記事に哀愁を感じる今日この頃です。こんにちは(挨拶)。
 まだ仕事の方が収束していないのでこの日記も完全復調という訳には行かないのですが、椎名センセのサイトてれびくん版「ネクサス」最終話の話題が出ていたので、今更ながらですが7月号(と、最近のネクサス)の感想を少し。

 で、勿論てれびくんに言われるまでもなく、ここ最近の「ネクサス」は毎週楽しく観てます。特に、先週~今週にかけてのネクサスとビーストとの戦闘シーンなんかは、「ウルトラマンと怪獣が市街地ミニチュアのセットを破壊しながら戦う」という、これまでのネクサスには(ウルトラマンでありながら)滅多に出てこなかったシチュエーションだった上、ネクサスがナイトレイダーと共闘しながらプロレス技を駆使してビーストを退治するという燃え燃えな展開を見せてくれたので、個人的にはもう大満足。
 アメフラシ型ビースト(メガフラシ)が怪光線でビルを破壊した時なんか、思わず「やった! ついにセットを壊した!」と奇声を上げて大喜びしてました(バカ)。

 そんな感じで戦闘が盛り上がる一方、ストーリーの方も毎回が怒濤の急展開の連続。これまで散々焦らしてきた伏線の数々が、次々とそれこそものすごい勢いで明らかになっていく様は、ある意味壮観です。
 ここ最近の「ネクサス」をこのサイト的に表現するとすれば、リョウが子供になってからの「一番湯のカナタ」や、連載に片を付けるためだけに10週限定で連載を再開、読者が思わず引いてしまうくらいの鬱展開を続けまくった「きみのカケラ」と類似したノリを感じます。例え作品の評価がどうなろうとも表現したかったことを時間が許す限り描き続け、それが伝わる者に全てを託そうとする作者の強い意志が、そこにあるように思えるのです。

 「死ぬ気で戦うのと、死んでもいいと思って戦うのは違う!
  明日がなくとも、生きるために戦いなさい!

 11日に放送されたエピソードに出てきた凪副隊長のこの台詞、そしてそれに対して「俺は俺の光を走りきる!」と応えて最期の戦いに挑む憐の姿からは、例えあと放送回数が2回しかなくても最後まで前に歩むことを諦めない、この番組の今の姿を連想させます――と言ったら、さすがに誉めすぎでしょうか(過ぎてる気がする)。

 原作がそんな感じで急展開を見せているため、ページ数がより少ない「てれびくん」掲載の椎名コミックス版も凄いことになってました。
 今回の話は、原作では30~35話で明かされる憐や吉良沢の出生の秘密、そして上記の「俺は俺の光を走りきる!」という台詞に象徴される憐(ジュネッスブルー)の心理の変遷にスポットを当てているのですが、何しろページが少ないため、原作ドラマ後半で憐と深く関わって彼の変化に対して大きな役割を果たすことになる瑞生全く登場しません。彼女が憐に対して果たしたドラマ上の役割、およびナイトレイダーのメンバーとウルトラマンとの間に築かれた信頼関係の表現などは、コミック版では全て孤門一人で担当しています。

 その結果、「孤門×憐」的な雰囲気が何だか濃厚に。憐の体の心配をするあまり胸ぐらを掴んで激高しながら「どんなことがあっても必ず生きて戻れ!」と言ったり、街の人々を守るためにウルトラマンに変身した憐を助けるために真顔でCICに援護を要請したり、憐について調べたことについて一人で悶々と思い返したり、絶妙の連携で憐と一緒にビースト倒したりと、今回は孤門が原作以上に大活躍しています。

 ただ、原作が30~35話で表現したかったであろうテーマは基本的にコミック版の中で一通り触れられているので、これはこれで問題ないでしょう。むしろ、「よくここまであの話を要約したものだ」と、逆に感心させられました。
 既に孤門は物語のキー要素を背負って表現できるだけのキャラになっていることを、今回のコミック版ネクサスは端的に表現していたような気がします。

 あと今月の「てれびくん」には、「ウルトラマンマックス・最強!バトルカードゲーム」という名前の限定ジャンケンゲームがオマケについてましたが、タロウとかエースとかセブンとかバルタン星人とかエレキングとかキングジョーとかいった往年のウルトラキャラの写真がわんさか印刷されてて、なんか妙に懐かしくなってしまいました。自分が小学生だった頃、「小学X年生」(X=1~4のどれか)か何かで彼らのグラビアを見た記憶があります。数十年ぶりの再会!
 「ネクサス」で新しいことをやろうとしたウルトラマンですが、結局行き着いた先は昔と変わらないこの場所だったということなのか?(←深く考えすぎです)

 あと、このカードゲームに出てくるダークザギって誰?(←ググれ

2005/07/22

■葵が急速に一般人化しつつある状況に警笛を鳴らしたいサンデー34号感想

  1. 「王族に生まれし雷…雷帝ゼオン!」(金色のガッシュ!!)
  2. 「死んでしまえこの変態共ォ!」(あいこら)
  3. 変な執事参上(ハヤテのごとく)
  4. 「登場! これが白帝の最強軍団…」(ブリザードアクセル)
  5. 今週のこわしや我聞
  6. 定点観測:今週の絶対可憐チルドレン

1. 「王族に生まれし雷…雷帝ゼオン!」(金色のガッシュ)

 最近あまりに登場していなかったので、すっかりゼオンの存在を忘れていました(挨拶)。

 真のヒーローは遅れて登場するのがこの手のマンガのセオリーですが、そのパターンに当てはめると今回のファウード編の本当の主人公はこのゼオンということになります。しかもリオウから「雷帝」とか呼ばれちゃってますよ彼。「王族に生まれし雷」という二つ名を持っているってことは、ゼオンは現魔界の王のご子息様か何かなのでしょう。
 ということは、ゼオンと同じ電撃技を使うガッシュも、必然的に王族の血を引く者であるということに。ああ見えて実はお坊っちゃまだったんですかガッシュ。アニメや映画の方では既出の設定?

 あと今週は、早くも清麿の心臓が蘇ってしまいました。数多くの魔物を倒してきたガッシュのパンチの前では、さすがに瀕死の清麿の心臓も動かずにはいられなかった、ということでしょうか。
 同時に「ファウードの回復液に漬かればダメージは回復できる」というソリューションも提示されたので、そう遠からず清麿は戦列に復帰することができるでしょう。このネタでもうちょっと引っ張ると思っていたので残念です(残念?)。

2.「死んでしまえこの変態共ォ!」(あいこら)

 気の強い女の子が泣きながら癇癪を起こす姿が大変に萌え萌えなので第二位(バカ)。

 今週登場した新たな変態メガネ渋沢龍之介君ですけど、如何にも井上先生のマンガに出てきそうな、見ていて安心感がある心温まる変態君だなあと思いました。
 「美鳥の日々」に登場した変態メガネの高見沢君は、最終的に立派な造形師として真っ当な人生を歩むことに成功しましたが、「あいこら」の変態メガネ君の方はどう考えても既に引き返せそうにありません(人道に)。勿論、主人公のハチベエ君も、決して悪い人間ではないのですが、でもやっぱり引き返せそうにありません(人道に)。

 ちょっと道を外れた人達が幸せになるストーリーを描くことを得意とする井上先生ですが、今回は己の作品に課すハードルを更に高く設定してしまった模様。果たして先生は、パーフェクトパーツフェティシストな彼等に幸せを与えることはできるのか?

3. 変な執事参上(ハヤテのごとく)

 執事でありながら、「ご主人様」であるはずの少年を雑用にこき使う主従逆転な関係性が大変に萌え萌えなので第三位(バカ)。

 この二人の異常な関係といい、涼しい顔していきなりハヤテを脱がしにかかったりする性格といい、畑先生はソッチの方もちゃんと判っていらっしゃると思いました。「美形の男性キャラを描くのは苦手」と言いながらも、こうしてちゃんとマンガにして表現できるんだから大したものです。
 今週の「ハヤテ」を読んで、畑先生の漫画家としての力量はやはり侮れないものがあるなあ、という思いを強くした次第です。

 そして、マリアさんの究極超人っぷりが証明されたのも、今週の目玉の一つでした。学院の歴史を塗り替える程の実績を修めたのであれば、フィクサーとして暗躍できる程の影響力を持てるのも納得です。
 あと、若くして飛び級を繰り返していたということは、それだけ精神面でも成熟するのが早かったのではないかと思われるので、今の彼女が年の割に老けて見えるのも納得できます。コミックス2巻のおまけマンガで「17歳です ピチピチです」と微笑む彼女に激しく無理を感じたのも仕方ありません。やっぱり貴女は、年の割に苦労してやつれている姿こそがよく似合うタイプの女性なんですよ。
 そんなマリアさんが、私は大好きです(フォロー)。

4.「登場! これが白帝の最強軍団…」(ブリザードアクセル)

 さすが最強軍団!
 梧桐君以外は、誰一人として中学生には見えません!(まちがい)

 あと今週の話では、初登場の時は自信満々だった五反田君が、白帝の超人達に囲まれた今ではすっかりヘタレキャラになってるところにグッと来ました。「白帝の最強軍団」な扉絵の中に五反田がいないということは、彼は早々にリタイアすることが確定なんでしょうか?
 今の情けない彼を見ていると、なんというかこう私の中の落ちぶれキャラ萌え属性が疼いて来ます。この調子でもっと落ちぶれて下さい。

5. 今週のこわしや我聞

 今週の「こわしや我聞」の密度の濃さは異常。1コマたりとも無駄なコマがなく、かつどのページにも必ず、ニヤリとさせられたり、ゲラゲラ笑えるギャグが入っていたり、桃子ちゃんの古典的な生意気お嬢様っぷりに萌え萌えになったりといった仕掛けが満載。更に、連載マンガとしての次週への引きも十分。完璧です。完璧すぎます今週の我聞。
 ここ最近は巻末付近をウロウロしていることが多い「こわしや我聞」なのに、こんなに面白くていいのでしょうか(失礼)。

 やっぱり、桃子とこのマンガのレギュラーキャラクター達との相性が極めて良い点が、今週のノリの良さに繋がっているのでしょう。今回の話のようなドタバタ学園コメディーができるマンガは、「いでじゅう!」亡き後の今のサンデーでは極めて貴重かつ不可欠な存在なので、「我聞」にはぜひこの調子で今後も頑張って頂きたいと思いました。

定点観測:今週の絶対可憐チルドレン

 「同い年の子って『チルドレン』しか知らないもんね。
  フツーの子って何、考えてるのか透視るのが楽しみ

 この年頃の子供は基本的にテレビとかマンガとかゲームとかうんことかの事しか考えていない(参照:サナギさん1巻)ので、あまり透視はしない方が賢明なのではないかと思われます。

 それより紫穂の場合、カラーページに出てきた未来予想図で、短期連載版では薫よりも大きかったはずのおっぱいが、現在は薫よりも小さくなっていることを懸念するべきだと思います。先週のアレで薫の方が先に大人への階段を昇ってしまった影響が、早くもこんなところに現れているということなのでしょうか?
 たったあれだけの接触でここまで未来(のおっぱい)が変わってしまうことを示した今週のカラーページは、この作品世界におけるバタフライ効果の影響力の強さと、それに伴う未来予知の難しさを、端的に表していると言えましょう。
 ウソですが(だいなし)。

 そして今週は早くも小学校編に突入。エスパーの置かれた社会的な立場を端的に表現するエピソードになるのかな? とも思ったのですが、クラスメート女子の発言からするとエスパー少女の花井さんをいじめているのはどうやら東野君だけみたいなので、今回は単に「好きな女の子をいじめちゃう不器用な男の子」的な平和な展開で落ち着きそうな感じ。
 「一番湯のカナタ」の連載末期にやった小学校のエピソードがかなり評判が良かったことを考えると、今後出てくるであろう小学校を舞台にした物語も、質的な面で期待して良さそうです(今回の騒動で退学にならなければ)。今度はちゃんとクラスメートの小学生に溶け込んで少年探偵団を結成できるといいですね! と思いました。

 あと、冒頭で薫がスポーツブラを丸出しにして涼んでいるシーンが作者が意図した今回のサービスカットだったと思われますが、個人的にはそれよりもむしろ「怪訝そうな顔をして自分の脱いだ臭う靴下を摘んでいる紫穂」の方にグッと来ました。
 というか、おそらくスポーツブラマニアよりは靴下マニアの方が遙かに数が多いはずなので、私と同じ感想を持った方もきっと多いのではないか? と思われますがどうだろう。どうだろう(連呼)。

豆知識:

 今回登場したクラスメートの「花井ちさと」「東野将」のキャラクター名の元ネタは、どちらも薫達と同じく源氏物語から。

  • 花井ちさと→花散里
  • 東野将→頭中将

参考:源氏物語の登場人物一覧(Wikipedia)、「絶対可憐チルドレン感想掲示板」の夕さんの書き込み

2005/07/15

■やっぱり紫穂が一番性格悪いと思ったサンデー33号感想

  1. 「人類の未来を賭けた皆本の育成は、まだ始まったばかりだ!」(絶対可憐チルドレン)
  2. 清麿死亡(金色のガッシュ!!)
  3. 「伊賀忍者の末裔で、秋水流忍法の使い手や」(あいこら)
  4. 「私の推薦状を足しておいたので…その分が加算され…合格ということにさせてもらいました」(ハヤテのごとく!)
  5. 「では行こうか。最後の旅へ」(結界師)
  6. 番外:桃子・A・ラインフォードの萌えっぷりを語る(こわしや我聞)

1.「人類の未来を賭けた皆本の育成は、まだ始まったばかりだ!」(絶対可憐チルドレン)

 最後のページのハシラに書かれていた言葉がコレなのですが、これではまるで育成されるのが子供達じゃなくて皆本みたいに読めます。子供達に皆本が調教されるマンガになる伏線?
 あるいは、今週で打ち切られるマンガみたいですね。ご愛読ありがとうございました(ドクロ)。

 そんな感じでようやく始まった「絶対可憐チルドレン」ですけど、上記のアオリ文句から推測できるように、このマンガの実質的な主人公(=読者にとっての視点キャラ)はやはり皆本です。貴重なカラーページのうち、見開きのタイトル2ページ以外はほとんど皆本が占めていることからも、このマンガにおける彼の重要性を推し量ることができます。
 生意気な子供達の面倒をみるハメになって毎回苦労する、暗い過去を背負ったメガネ兄さんキャラが主人公。確かに、これは少年マンガとしてはちょっと例を見ないパターンですね。もし自分が独身男性ではなく子持ちの主婦だったら、今頃はもう皆本にメロメロになってるに違いありません。自分が子持ちの主婦に生まれてこなかったことが悔やまれます。

 あと、短期連載版と比較して今回顕著に変わったところとしては、予知能力の扱いを大きくして、「子供達は将来、人類にとっての天使にも悪魔にもなり得る」ことをグラフの形でビジュアル化した点が上げられるでしょう。
 「予知」を物語の前面に持って来たことにより、以前の版のような「事件が起こってからチルドレンが出動する」事後対処型だけではなく、「あらかじめ事件が起こりそうなところにチルドレンが出動する」事前対応型のエピソードが作れるようになった点は、連載マンガとしては結構大きなプラスなのではないかと思います。作れるシナリオのバリエーションが増えることは、そのまま作品の幅を広げる意味がありますからね。

 その一方、(短期連載版に出てきた超度7の伊-九号中尉とは違って)予知能力そのものは極めて不安定であり、その能力者達がかなり厳しい扱いを受けているのが提示されているのも、地味な点ではありますが見逃せないところ。今後、予知絡みで何らかの事件が起こることが予想されます。

 他には、年齢不詳の秘書官・柏木朧の髪型が変わったのが気になります。いつの間にか、「ガラスの仮面」の月影先生のように片眼を隠した、ちょっと不自然というかおかしい髪型に変更されていますよこの人。この1年の間に、いったい彼女に何があったのでしょうか。何故彼女は、片眼を隠さなければならなくなったのか? 目からビームを出す能力でも身に付けてしまったのか? 謎が謎を呼びます。

 というか、ここまで書いておいて肝心の子供達について全く触れていないことに今になって気付きましたが、まあその辺に関しては後日ゆっくり書くということで一つ。
 これからの彼女たちの活躍が楽しみですネ!(ごまかす)

2. 清麿死亡(金色のガッシュ!!)

 先々週は「クロスゲーム」のヒロインが死亡、先週は「結界師」の松戸平介氏が死亡と、最近やたらと死人づいてる週刊少年サンデーではありますが、今週はついにサンデーを代表する正当派少年マンガ・「金色のガッシュ!!」の主人公である清麿君まで死んでしまいました。まだ死亡が決定した訳ではなさそうですが、既に心臓が停止している以上、このままでは確実に死んでしまいます。
 魔本も魔物も健在で、かつパートナーが「死亡」してしまった場合の例外処理がどうなるのか? というところが不明瞭なのが今のところは逆に一縷の望みになっていますが、でも仮に彼の命が助かったとしても、さすがにこのまま素直に清麿が戦列に復活できるとは思えません。

 「魔本。それは受け継がれる絆」とかウルトラマンネクサスの最終回みたいなことを言い出して、ガッシュのパートナーが清麿から他のキャラ(鈴芽とか)に変わってしまったりしたら、それはそれで凄いです。もし本当にやったら雷句先生は。本を受け継ぐのが鈴芽じゃなくてナオミちゃんだったら更に
 現人神雷句の登場なるか! 待て次号!(何そのアオリ)

3. 「伊賀忍者の末裔で、秋水流忍法の使い手や」(あいこら)

 雨柳先生が、魅惑のハスキーボイス担当・鳳桐乃を紹介した時の台詞がコレなのですが、「伊賀忍者の末裔で、秋水流忍法の使い手」と常識的に考えたら到底ありえない上に理解してもらえない文面でいきなり紹介してしまう先生も、されてしまう桐乃も、それを全く気にかけないハチベエも、冷静になって考えるとみんなどっかおかしいです。具体的に言えば頭がおかしいです。
 このマンガを読む時は、これくらいの非常識な展開でも深いことを考えずに軽くスルーできるメディアリテラシーが必要なんだなあと思いました。

 あとおかしいと言えば、ハチベエに散々パワー&セクシャルハラスメントを仕掛けた挙げ句に「そんな破廉恥な」とフラレたにも関わらず、全く懲りない上に生徒達にいきなりツイスターゲームを強要して再びハラスメントを仕掛ける雨柳先生も、やっぱりどこかどっかおかしいです。具体的に言えば頭がおかしいです。
 この調子で、どんどん読者のメディアリテラシーの限界に挑戦するストーリーを繰り出して欲しいですね。メディアリテラシーという単語の使い方を間違えている気もしますが。

4. 「私の推薦状を足しておいたので…その分が加算され…合格ということにさせてもらいました」(ハヤテのごとく!)

 「私の推薦状を足しておいたので」ってことは、それだけマリアは白皇学院に対して顔が利くということを意味しているという解釈でいいんですよね。畑先生もサンデーのBACKSTAGEで「マリアの力の一端が垣間見える月夜の誓い」と彼女の『力』を仄めかすようなこと言ってますし、どうやら彼女にはまだ我々があずかり知らない闇の部分があるようです。

 最初に今回の話を読んだ時は「コミックス2巻の巻末で読者の女の子から『マリアさんは意地悪そう』と言われて泣きそうだったマリアの優しいところをアピールするつもりなのかな」と好意的に解釈したのですが、でも名門学院の入学試験の結果を改竄して身内の人間を学園にねじ込める程に権謀術数に長けている彼女は、やっぱりどう考えても意地が悪い性格であるとしか思えません。
 やっぱり貴女は、そういうキャラである方が魅力的なんですよ。子供に好かれるのはもう諦めて下さいマリアさん。

5. 「では行こうか。最後の旅へ」(結界師)

 私の人生の真の目標たる人物・松戸平介氏が生きていました! しかものうのうと女連れで!
 キャーうらやましい!(間違った喜び方)

 結果的に黒芒楼も繁守も(あとは読者も)騙して逃げおおせることに成功したんですから、今回は彼の大勝利と言って良いでしょう。「人の皮」をこんな風に使ってくるとは予想外の展開でしたし、また今回は彼が文字通り「悪魔に魂を売り払っていた」ことも明らかになりましたが、どちらも「松戸平介ならそれくらいやりかねない!」と素直に納得できる展開であることもまた事実。キャラの作り方や活かし方が相変わらず上手いマンガだなあ、とつくづく感心させられます。
 あらゆる束縛から解き放たれた松戸氏は、これから何をやらかそうとしているのか。今後の展開に期待。

番外:桃子・A・ラインフォードの萌えっぷりを語る(こわしや我聞)

 「絶対可憐チルドレン」は主人公達が10歳の女の子とは言えどもいわゆる「萌え」路線に沿ったものではありませんし、「あいこら」は見た目は典型的な美少女わんさかラブコメディーであるにも関わらず楽しむためには独特のリテラシーを要求され、「ハヤテ」もなんだかんだで「萌え」というよりは普通に面白いコメディー路線を目指しているっぽいしと、今のサンデーには秋葉系マンガが大好きな読者が素直に「萌えー! 萌えー!」と叫べるタイプのマンガがありそうでない状況なのですが、そんな中で正当派の「萌え」を追求しているのが、実は「こわしや我聞」なのです。

 ヒロイン役の國生さん、我聞の妹の果歩ちゃん、高瀬「さすがです若様!」千紘ちゃん、果ては森永優や辻原蛍司に至るまで、直球ど真ん中の正当派萌えキャラをずらりと並べたラインナップが定評あるこのマンガに、今回新たにベッタベタなワガママお嬢さまキャラである桃子・A・ラインフォード嬢が仲間入りを果たしました。わがままで生意気で我が強く人の言うことを聞かず周りの人間を小馬鹿にして友達がおらず、その上ドジっ娘。完璧なお嬢さまです。
 そして、そんな完璧なお嬢さまがピンチなところで、夕日を背に受けながら颯爽と登場する我聞。これもまたシチュエーションとして完璧です。これで桃子が我聞に惚れないはずがありません。何故なら、桃子はベッタベタなお嬢さまキャラであるからです。他に理由は要りません。判って頂けるでしょうか

 個人的にはベッタベタな展開やキャラは大好きなので、今週の「我聞」はもう大喜びで読ませて頂きました。わがままで生意気で我が強く人の言うことを聞かず周りの人間を小馬鹿にして友達がおらずドジっ娘なお嬢さまさいこう!
 っていうか、マンガの世界における本当の「子供らしい子供」ってのは、こういうことを言うんですよ! 今週のサンデーにおける、真の意味での「絶対可憐チルドレン」は桃子で決定! フツーの少女に憧れてる「絶チル」の薫は、ぜひ桃子ちゃんのアレっぷりを見習って欲しいですネ!(おわり)

2005/07/13

■「絶対可憐チルドレン」新連載開始記念 バーチャル読者アンケート

(サンデー33号に掲載された読者アンケートと同じ設問です)
 今号に掲載された椎名高志先生の新連載「絶対可憐チルドレン」についておききします。

■この作品は面白かったですか?

とても面白かった
面白かった
普通
あまり面白くなかった
面白くなかった
読んでない、分からない

■この作品を読んだ感想を、以下の中から選んでお答え下さい(いくつでも)

絵が魅力的だ
絵が魅力的でない
ストーリーが魅力的だ
ストーリーが魅力的でない
キャラクターが魅力的だ
キャラクターが魅力的でない
設定が魅力的だ
設定が魅力的でない
続きを読んでみたい
続きは読みたくない
椎名高志先生の別の作品が読みたい
読んでない、分からない
その他(具体的に) 
 [ 結果を見る ]

 そして今週のサンデーの読者アンケートにも、「A: 週刊少年サンデー第33号の中で一番面白かった記事、漫画を一つ選んで、番号で記入して下さい」の回答に「」と記入した上でちゃんと投函してあげてください。
 薫達が天使になるのか悪魔になるのかを決めるのは、皆本主任の教育的指導ではなく、全ては今週のアンケートの結果次第! 結果次第なのです!(煽り)

2005/07/11

■絶チルへの歩みをまとめてみました

 来週のサンデーから待望の「絶対可憐チルドレン」が始まりますが(いきなり)、ネットでざっと反応を読んだ限りでは、やっぱり「椎名高志といえばGS美神の人」みたいな印象が強いみたいで、それ以外のマンガ、特に週刊少年サンデーに掲載された以外のマンガに関しては、さすがに「美神」程には知られていないみたいです。

 確かに椎名高志先生は「GS美神極楽大作戦!!」が不動の代表作であり、もし先生が何か事件に巻き込まれた時には新聞記事に『「GS美神極楽大作戦!!」の作者として知られる椎名高志さん(40)が、バールのようなものを持った…』とか書かれちゃうのは間違いないんですけど、でも椎名高志は「GS美神」だけの漫画家ではない! 「美神」から「絶チル」に至るまでには、途中で色々なことがあったんですよ! という認識を広めることを目的に、「美神」終了から「絶チル」に至るまでの歩みを簡単にまとめてみることにしました。
 ファンサイトとして。(←ファンはそんな例えしません)

GS美神極楽大作戦!! アシュタロス編終了 (1998年49号)

 「GS美神」史上最長のエピソード、別名ルシオラ編が終了。「とりあえず…これでハッピーエンドってことにしない?」という美神の台詞に象徴されるオチの付け方に対して、ルシオラに入れ込んだコアなファン達が大騒ぎに(→当時のログの総集編)。
 その影響か、これ以後「極楽大作戦」の中ではラブコメめいたストーリーをほとんど扱わなくなる。相対的に、作品のパワーも低下傾向になったことは否めない。

GS美神極楽大作戦!!終了 (1999年41号)

 コミックス39巻で終了。当時のサンデー最長連載記録を樹立。

MISTERジパング (2000年14号~2001年46号)

 1550年代の戦国時代を舞台に、若き日の織田信長と、後の豊臣秀吉となる(はずだった)日吉との間で繰り広げられるドラマを描いた、歴史モノ作品。物語後半では「時間移動」や「並列世界」の概念が出てくるなど、SF要素が強くなって来るところが椎名高志のマンガらしいところではあるが、前半の「椎名流解釈に基づいた純粋な歴史マンガ」的なノリを支持する読者も数多い。
 また、作者はそういう人気を全く狙っていなかったにも関わらず、女性ファンが付いたことでも有名。最終的には「男性陣が風呂に入っているところに女刺客が一人で忍び込む」という、少年マンガ的に間違ってるシーンも登場。読者をビビらせた。

 ただ、「GS美神」的なノリを望んでいた古来のファンからは、今ひとつ支持を得られなかった印象がある。比較的短期で連載が終わったのも、その辺の人気の伸び悩みが一因だったのかも知れない。

GSホームズ極楽大作戦!!(サンデーGX 2002年1月号)

 19世紀のロンドンで、シャーロック・ホームズと「GS美神」のドクターカオスとマリアが接触していた! という設定の、「極楽大作戦」の外伝的作品。ホームズの二次創作としても、「美神」におけるカオス初登場に繋がるエピソードとしても完成度が高い。
 歴史的な人物を自己流にアレンジしてパロディ化する手法は「MISTERジパング」と同様であり、「パロディに強い椎名高志」を改めて印象づけた。ホームズは歴史上の人物じゃないけど。

一番湯のカナタ (2002年21・22号~2003年2号)

 都内で銭湯を営む親子のところに、クーデターを起こされて自分の星から亡命してきた王子が空から降ってきた! というところから始まるご町内SFコメディー。
 「SFコメディーの椎名高志」を全面にアピールする作戦で勝負に出たが、結果的に惨敗。コミックス3巻で打ち切りという厳しい結果に。「GS美神」終了以降の方向性の限界というか、行き詰まりを象徴する作品だったと言える。
 作者が「絶チル」に対して今もって自信が持てないのは、得意のフィールドであったはずのSFコメディーで勝負して勝てなかった「カナタ」の時のトラウマがあるためではないか、と勝手に推測している。

江戸浪狼伝 (サンデー超増刊 2003年3月号)

 江戸時代末期、仲間を求めて江戸にやって来た人狼族の藪月と、彼に関わることになった岡っ引きの清次を主人公とした物語。「一番湯のカナタ」打ち切りの興奮も冷めやらぬ時期に掲載されたものの、逆に椎名高志氏の地力の強さを証明することになった、クオリティの高い作品。
 今でも2ちゃんねるの801板サンデースレッドでたまに話題に出てくる程の根強い人気を持つ(←そういう評価の仕方はどうか)。

パンドラ (サンデーGX 2003年4月号~6月号)

 大学受験に失敗し、彼女にもフられ、絶望の底にいた主人公の海老名君の元に、「パンドラ」と名乗る明らかに人間じゃない女性が突然空から降ってやって来た! という導入で始まるラブコメディー。
 特筆すべきはやはり最終回の第3話で、主人公達が「空から降ってきた人間じゃない女のコ、最高ッ!!」と叫び出すシーンが特に印象に残る(→当時の自分の感想)。人間じゃない女の子を出したばっかりに大変なことになったアシュ編のルシオラ騒動以降引きずっていた作者の中の「何か」が、完全に吹っ切れたことを象徴するエピソードだった。
 現在の「絶チル」に続く椎名高志の復活劇はここから始まった! と言っても決して過言ではない、ある意味ターニングポイントとして記録されるべき作品(かも知れない)。ちなみにコミックス未収録。

絶対可憐チルドレン (サンデー超増刊2003年7月号)
零式といっしょ。 (サンデー超増刊2003年8月号)
破壊僧ジョドー (サンデー超増刊2003年9月号)

 サンデー超増刊に三ヶ月連続して掲載された読み切りシリーズ。「この中で一番評判が良かったお話を、次期連載の候補作品として編集部に持ち込む」みたいな決意が作者にあったようで、どのマンガもこのまま連載化されてもおかしくないくらいの深みを持っていた。「パンドラ」で何か大切なものを吹っ切っちゃった椎名氏の当時の勢いを感じる。
 結果的に「絶対可憐チルドレン」が後の連載化作品として生き残ったのはご存じの通り。

Time Slipping Beauty(ヤングマガジンアッパーズ2003年21~22号)

 タイムスリップ能力を持った少女・コヨミが、能力を駆使して人命を救うために戦う様子を描いた、極めてシリアスな雰囲気のアクションドラマ。
 長年に渡って小学館の雑誌でキャリアを積んできた椎名高志氏が、講談社の青年コミック誌でマンガを描いた、という意味で重要な意味を持つ作品。コミックス未収録。いずれは小学館から出るコミックスに収録される(らしい)。

絶対可憐チルドレン(2004年39号~42号)

 超増刊での高評価を受け、改めて週刊連載用にリメイクしたバージョン。少女達の指揮を執る水元の名前が皆本になったこと、超増刊版には存在していた彼の「アンチアンチエスパー」能力がなくなって普通の人間になったこと、そしてこの物語の最終的な目的が「三人娘の健全な育成」にあり、育て方を間違えたら世界が彼女たちの手によって破滅する未来が待っている点が明示されたこと、などの変更点がある。
 特にSFが大好きな人たちの感じるツボを刺激したのか、2005年星雲賞コミック部門にノミネートされる程の高い評価を得た。

蜘蛛巣姫(ヤングマガジンアッパーズ2004年20号)

 戦国時代、クモの物の怪・蜘蛛巣姫が、落ち武者となった八郎太に恋をした、という感じのライトなコメディー。
 「男運に恵まれない独身女の悲哀」を描ける程までに漫画家としても人間としても成熟した、作者の大人の余裕を感じる一品だ(おおげさ)。コミックス未収録。

ウルトラマンネクサス (てれびくん2004年12月号~2005年8月号)

 CBC/TBS系列で放送された「ウルトラマンネクサス」のコミカライズ版。椎名高志が原作付きの作品を幼年誌である「てれびくん」で描いた意外性や、「ウチのネクサスはしゃべらない」という作者の言葉に象徴される従来のウルトラマンコミックとは路線が異なる制作ポリシーなどが、「てれびくん」を読んでいる特撮ファンなど一部の人達の間では評判に。
 『ネクサス対ビースト』という子供にも判りやすい構図を中心にしながら、原作の持つシリアスなテイストも失うことなくマンガ化することに成功。この経験は、椎名氏にとって子供向けマンガを作ることに対する自信に繋がったのではないのだろうか。

GSホームズ極楽大作戦・血を吸う探偵 (サンデーGX 2005年6月号)

 大さっぱなあらすじはサンデーGX公式ページを参照。いわゆる「大空白期」を題材にした作品。こちらは前作とは趣が異なり、(「GS美神」の外伝というより)「椎名流ホームズ」的な雰囲気が色濃いのが特徴。
 また、「絶チル」の習作(描かれたのは短期連載版「絶チル」よりも前)という位置付けということもあってか、吸血鬼少女のエリスがやたらかわいい。ちゃんと正当派のツンデレが描けるんだと思った。

 あと、これを書くために久しぶりに「MISTERジパング」を読み直してみたのですが、今改めて読んでみるとこのマンガすげえ面白いんですけど。どうしよう

 このマンガ、「武田は滅びる」と予言して信玄の元から逃げたヒカゲが日吉と遭遇するところから物語が始まることに象徴されるように、「己に定められた運命と戦う」ことが物語の大きなテーマになっていたんですね。ヒカゲを取り戻して滅亡の歴史を書き換えようとした信玄、ヒカゲ(やヒナタ)や仲間達と共に新しい歴史を作ろうとした日吉、そしてそんなことはお構いなしで自分の天下を作ろうとした信長と、「定められた運命」に対するアプローチの仕方がそれぞれ異なるところがこの物語の肝だったように思えます。
 「己に定められた運命と戦う」というテーマは、そのまま「絶対可憐チルドレン」にも通じるものがあります。このテーマこそが、椎名先生がマンガを通じて訴えたいことなのかも知れませんね。

 とか、ファンサイトっぽいことを書きながら今回はおわり。
 来週から始まる「絶対可憐チルドレン」も、「GS美神」と一緒に椎名先生が事件に巻き込まれた時に、新聞記事に名前と一緒に併記されるくらいの代表作になって欲しいと願っています。ファンとしては(←ファンはそんな例えしません)。

2005/07/08

■来週は破滅の女王がやって来るサンデー32号感想

  1. ポジティブな変態前田ハチベエ(あいこら)
  2. 松戸平介(結界師)
  3. 「この俺が正義のアイテムを!」(道士郎でござる)
  4. 星南高校のショート(最強! 都立あおい坂高校野球部)
  5. 今週のからくりサーカス

1. ポジティブな変態前田ハチベエ(あいこら)

 38歳のショタ親父が萌えフェロモンを息子にまき散らして大変なことになる「葵DESTRUCTION!」、モテない男の右腕に美少女が宿っちゃって大変なことになる「美鳥の日々」、三十路で童貞のまま死んだ侍の魂が宿った刀を持って戦う女剣士が大変なことになる「音禰のないしょ」と次々とおかしな(頭が)マンガを繰り出し、今や変態漫画家の名を欲しいままにしている井上和郎先生が、ついに週刊少年サンデー誌上に復活。

 今回の新連載「あいこら」ですが、主人公がひょんなことから高校の女子寮に転がり込むことになったり、そこに住む女性達がお姉さん・ロリ・メガネ・ツンデレと基本を押さえたラインナップであったりするところは、特に奇をてらっていない、安心して読める極めてスタンダードな少年向けラブコメディーだなと思いました。主人公が開始わずか4ページ目で「女はパーツだろ!」と高らかに宣言し、女の子ではなく女の子のパーツに惚れ込んでしまうところ以外は、至って普通のラブコメしてると思います。
 主人公以外は全て正しいラブコメマンガ。そんな感想です。

 とはいえ、お姉さん担当の雨柳つばめのあのサリーちゃん脚だけは、正しいというよりはおかしいですけどね。あの脚で日常生活が送れるのかどうか、二次元キャラのことながら心配になってきます。
 足の関節が自然にあの形になることはちょっと考えられないので、あれはきっとサニーちゃんマニアな整形外科医か何かに改造されたに違いないと思いますがどうか(と言われても)。

 あと、ツンデレ担当の天幕桜子が表では目を隠すように深く帽子を被っていたところから推測するに、変態主人公が惚れ込んでる「パーツ」は、当の本人達にとっては逆にコンプレックスになっているのではないのでしょうか。その辺の女性キャラ達の心理状態の変化が、恋愛マンガとしてのこのマンガの見所になるのかも知れません。
 変態が考えたとしか思えない異常な設定に目が眩みがちですが、井上先生は基本がしっかりしたハートフルなストーリーが描ける方であるということも、このマンガを語る上では忘れてはならないのです。

 と、一応フォローしてみた。多分手遅れですが。

2. 松戸平介(結界師)

 最後のコマの曰くありげな倒れ方と、床に広がった黒っぽい染みと、傍らに転がったピストルはいったい何!
 もしかして松戸さん死んじゃったんですか! 結界師で一番好きなキャラだったのに! 彼の変人っぷりは時音姉さんよりも萌えだったのに!(本気です)

 繁守に対する感謝の証を表現するのに「君も立派な変人だ」という言い回しを使うセンス、使い魔をかつて恋していた女性の姿に変化させてはべらせる俗っぽさ、そしてあらゆる物事を面白がり自分のオモチャのようにいじくり回さないと気が済まない、マッドサイエンチィスト的な価値観。何から何までグッと来るステキキャラでした。オレも歳を取ったら、こういうイヤな人間になりたいです。
 もしここで本当に倒れたとしても、彼のことなのでタダでは死なないのではないかと思われます。繁守や黒芒楼の連中に対して、彼独特の歪んだユーモアセンスに溢れた「置きみやげ」を用意してあったりして欲しいですね。勿論、本当は彼が生き残っていて欲しいのですが。

 あと今回は、過去にその平介と何かあったらしい婿養子の修史さんの凛々しい(でもやっぱり頼りない)結界師姿が拝めたのもポイント高いです。「こわしや我聞」の辻原がメガネを捨ててしまった今、サンデー最強のメガネ兄さんの座はやはり彼で確定でしょうか。
 そして、来週から始まる「絶対可憐チルドレン」の皆本は、果たして彼にどこまで(メガネ兄さんキャラとして)迫れるのか? がんばれ修史。負けるな皆本。何の話しているのか判らなくなったので次。

3. 「この俺が正義のアイテムを!」(道士郎でござる)

 たかだか町内会の夜の見回り当番程度の腕章を「正義のアイテム」と大げさに呼称する池内クン(特徴:ボール状のカステラ菓子みたいな頭)が、相変わらず面白すぎます。彼こそ、無根拠な妄想を誇大に表現する、真のヤンキー的精神が宿ったナイスガイです。悪だけど。頭悪いけど。
 というか、まさか今回のエピソードで池内クンまで顔を出してくれるとは思いませんでした。ひょっとして人気あるんでしょうか彼。

4. 星南高校のショート(最強! 都立あおい坂高校野球部)

 超人同士が極限の中で競い合い、さながら「アストロ球団」みたいな雰囲気になって来た「あお高」ですが(誇張)、そんな中で今週は星南高校のショートの選手がいい味出してました。
 緊張感溢れるシーンに似つかわしくない「あい~」「ああ~」という気の抜けた台詞を発し、フライをキャッチしようとジャンプすると「びよーん」という間の抜けた効果音を出し、着地に失敗して「すてーん」と転ぶ。良い味です。妙に細長い四肢や、緊張感とは無縁そうな面構えも、また良い味出してます。癒し系です。癒し系選手の登場です。
 星南でレギュラーのショートということは彼も相当の超人戦士であるはずなのですが、にも関わらずこのほのぼのっぷり。きっと只者ではありません(決めつけ)。

 スポーツ記者の真木さんも、右京に萌え萌えになってる場合じゃなくて新しいスターを積極的に探すべきだと思った。
 いや、このショート君はスターかと言うと、絶対そうじゃない気がしますが(だいなし)。

5. 今週のからくりサーカス

 「コワイよ、死ぬのはコワイ
 「老いるのも傷つくのもコワイ…
 「命ひとつだけはコワイよオォ!!

 「老いた本当の自分」と対面させられ、「自分は永遠に生きられる」という虚構を打ち砕かれたしろがね-O達の錯乱っぷりが、心底恐ろしい回でした。書き文字で書かれたコロンビーヌの「知ってたコトじゃない」という台詞が、なにげに重く感じられます。
 やっぱり、どうせ老いるなら「結界師」の松戸平介みたいな優雅な歳の取り方をしたいものですよね!(今回の結論)

2005/06/30

■「二次元にしか興味ないんだ」に突っ込んだら負けかなと思っているサンデー31号感想

  1. 『愛する者の危機が、この男をも動かした!』(ワイルドライフ)
  2. 若葉死亡(クロスゲーム)
  3. 杉本ペロ先生新連載(ネコなび)
  4. バント瀬川(最強! 都立あおい坂高校野球部)
  5. 退職届の隣に置かれた眼鏡(こわしや我聞)
  6. 番外:ミノル小林最終回

1.『愛する者の危機が、この男をも動かした!』(ワイルドライフ)

 これまでは役立たずで見栄っ張りなヘタレの小悪党みたいな描かれ方しかされて来なかった平波学部長だけど、なんかこのアオリが入ってるコマだけは妙に格好良くなってるよ!
 なんか、死ぬ前にいい奴になる悪の組織の幹部みたいだ!(ひどい感想)

 仮にこの人が鉄生の仲間になった場合、「学部長」という肩書きはかなり政治的にプラスになるはずなのですが、でもこの人はどう好意的に解釈しても権力闘争に強くなさそうというか、上層部からいいようにコキ使われたあげくに失敗の責任を取らされて捨て駒にされるタイプにしか見えないので、すぐ安座間学長辺りに首切られるか、あるいは死領に「シシシシ」とか笑われながら物理的に首を切られそうな気がしてなりません。

 次週、生き残ることができるか!(犬ではなく学部長が)

2. 若葉死亡(クロスゲーム)

 あだち充先生の連載マンガというと、個人的にはどっかしらで一度「これまでの物語をひっくり返す事件が起こって、ストーリーをドラマチックに盛り上げる」展開を入れるものというイメージがあるのですが(前作「KATSU!」におけるライバルの突然の怪我とか)、今度の「クロスゲーム」では連載9話目にして早くもヒロインと見られていた美少女キャラ・若葉ちゃん11歳がいきなり死亡するという驚愕の展開に突入。
 こんなデッドリーな鬱展開は誰も予想していなかったというか、そもそもここまでハードかつスパルタンな展開を今のあだちマンガに対して誰も求めていないような気がしてならないのですが、それでもあえてこんな死臭漂うストーリーを描かずにはいられないあだち先生の本気っぷりには身が震えるばかりであります。
 さすがですあだち先生!(「こわしや我聞」の千紘ちゃんっぽく)

 しかし、ヒロインが死んでも(表面上は)ドライな雰囲気で淡々とストーリーが進むのも、また『さすがですあだち先生!』的なところではあります。このマンガが今後どう転ぶのか読めなくなってきました。相変わらずあだちマンガは油断できません。

3. 杉本ペロ先生新連載(ネコなび)

 サンデーで4コママンガを描くということは、15年前の椎名高志に挑むのと同義であることを忘れるな!(挨拶)

 実際、サンデーにおける4コママンガ連載は「Dr.椎名の教育的指導!」が最後の成功例なんじゃないかと思うのですが、その辺どうだろう。「漢魂!!!(メンソウル)」は世間的に見て成功例に入るんでしょうか。個人的には入れたいんだけど。

 で、現代四コママンガ界においては、「あずまんが大王」や「トリコロ」などの成功に起因すると思しき萌え系な絵柄の四コママンガがまだ主流っぽい雰囲気なんですけど、そんな中で萌えから遠く離れた絵柄と芸風が特徴の杉本ペロ先生をあえて持って来るサンデーのセンスはすごいなあと思いました。
 あと、なんか今回はネコ以上に担当編集の近藤さんが目立っていたんですけど、そういえば以前ペロ先生が「ワイルドアームズ」のゲームレビューを描いていた時も、ゲームに出てくる美少女キャラはまったく描かずに担当編集の近藤さんばっかり延々と描き続けていた記憶がします。もしかして、ペロ先生は近藤さんに萌えているのか。

4. バント瀬川(最強! 都立あおい坂高校野球部)

 送りバント一つで、ここまで緊張感のあるストーリーを描けるものなのか! と感心してしまうくらい、今週の「あお高」の瀬川のバントシーンには興奮させて頂きました。超人達が超人バトルを繰り広げる中、凡人が生き残るために必死で奮闘する姿には燃えるものがあります。
 こういうエピソードと、右京×比呂彦のハイレベルな超人同士の凌ぎ合いのエピソードを同じ回に見せ場として突っ込めるところが、このマンガの設定面での強みなのかなと思います。

5. 退職届の隣に置かれた眼鏡(こわしや我聞)

 私はかねがね「こわしや我聞」における辻原の眼鏡の重要性について語ってきましたが、ついにその眼鏡が重要なパーツとして使われる時がやって来ましたよ! 眼鏡好きの血が騒ぎますよ! ワフー!(興奮)

 かつて自分が伝授したパンチの奥義を会得し、更に強くなった我聞を見て「ヒナ鳥は巣立った。親鳥は必要ない」と呟き、我聞の机の上に辞職届と一緒に眼鏡を置いて静かに立ち去る辻原。「辞表と一緒に眼鏡を置く」ところがこのシーンのポイントです。
 自分の眼鏡を会社に残すことで、彼にとって眼鏡が「工具楽屋の一員として、我聞の成長を見守る」人格の象徴であったことを明らかにしたと同時に、『今の自分には、「もう一つの人格」のペルソナとしての眼鏡は必要ない! これからは、己の真の目的のために一人で戦うのだ!』という彼の新たな決意を、間接的に表現することに成功しています。眼鏡一つが、彼の心の有り様を全て物語っているのです。
 今回の「辻原眼鏡外して辞職」エピソードは、「眼鏡」を極めて効果的に使ったという意味において眼鏡ファンも納得な回だったと言えるのではないのでしょうか。

 そして、いつか辻原が我聞と再会した時、我聞が「工具楽屋の仲間として、もう一度一緒にやって欲しい」と言いながら辻原にこの時の眼鏡を自ら手渡すシチュエーションなんかが出てきたら、ンもう超シビレますよね! 妄想が止まりません!

 ――でも工具楽屋って、そもそも営業の辻原さん抜きで会社として運営できるの?(だいなし)

番外:ミノル小林最終回

 なんて豪快な最終回なんだ!
 さすがです水口先生!(千紘ちゃんっぽく)

 「アクの強いオッサンとヤンキーを描く人」という印象が強い水口尚樹先生にとって、アクの強い子供を主人公にした「思春期刑事ミノル小林」は、先生にとっても一種のチャレンジだったんじゃないかと思います。
 次回作ではどんなアクの強いイヤなキャラが出てくるのか期待してます。ホントです

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