2004/06/04

■「で、どっちがブラック?」(表紙を見ながら) サンデー27号感想

  1. 帰ってきたビクトリーム様(金色のガッシュ!)
  2. 帰ってきた春日夜未(結界師)
  3. 卓球で仙術に目覚めた我門(こわしや我門)
  4. 失恋した耕太(美鳥の日々)
  5. ジャージ姿の神崎さん(かってに改蔵)
  6. 番外:「絶対に!あんたをアマルガンに行かせない!」と叫ぶ団(暗号名はBF)

1. 帰ってきたビクトリーム様(金色のガッシュ!)

 泣いたり! 笑ったり! 照れたり! 吐いたり!
 わずか6ページで様々な表情を見せてくれた我らがビクトリーム様ですが、個人的に一番グッと来たビクトリーム様は、岐阜県在住のたかし君に騙された時のビクトリーム様でした。

 「たかしめ、だましやがったなー!

 騙し上手よりも騙され上手の方が人から愛される、って言うじゃないですか! ビクトリーム様!
 ビクトリーム様はみんなから愛されているなぁ!

2. 帰ってきた春日夜未(結界師)

 構成員全ての性根が歪んでいることで有名な「裏会」に属し、澄んだ瞳の奥に歪んだ性格と物の怪に対する歪んだ愛情を宿す春日夜未さん(ちょっとドジっ娘)が、何の因果か再び物語の表舞台に帰って来ました。
 私は根性が歪んだ女性キャラが大好きなので、勿論彼女も大好きです。時音が「結界師」における表のヒロインとするならば、夜未は裏のヒロインなのです。それくらい好きです。名前がちょっとあずまんが大王っぽいところも好きです。

 しかも今回は、組織内で強い政治的権力を握っている良守の実兄と思われる人物の命令を受けて行動することになるということで、ますます彼女の立場は歪んだものになりそう。
 おそらく、彼女はもう内心では「裏会」に属しているのが嫌になって来ているんじゃないかと思うのですが、でもこの世界においては彼女のような半端な能力者は「裏会」と関わらなければ生きていけない訳で、その辺の矛盾が彼女の立場をより不確かなものにしています。それが今後の彼女の行動にどんな影響を及ぼすのか?

 彼女は、ポジション的に「犬夜叉」の神楽と似た位置に属するキャラなのかも、とか思ってます。主人公側とは敵対する立場におり、保身のために自分に与えられた役割を振る舞う分別は持っているんだけど、心の底から性悪にはなりきれず、今の自分を何とかしたいと思っているタイプ。そんな感じがします。
 更に、また肝心なところでドジッ娘っぷりを発揮して全てを台無しにしてくれれば、もう言うことはありません。

 あと、良守の弟の利守君はカワイイですよね(何が言いたい)。

3. 卓球で仙術に目覚めた我門(こわしや我門)

 「最高の技ほど、体得した時は最も自然に感じるもの」ってのは拳法マンガにおけるお約束ですが、よりによってそれに目覚めるのが部活動の卓球でスマッシュを撃つ時だった! ってのは、さすがに本邦初の試みなんじゃないかと思うのですがどうか。っていうか前代未聞?
 そして、我門が奥義を会得したのを気配だけで察した辻原さんは、やっぱり凄いです。というか、彼は常に完璧過ぎてて怖いです。個人的に、このマンガのラスボスは彼に違いないと決めつけてます。

 あと、我門の妹の果歩ちゃんはカワイイですよね(何が言いたい)。

4. 失恋した耕太(美鳥の日々)

 耕太君が性別の壁を突破してセイジに挑んだ最大最期の戦いは、セイジの最愛の人である美鳥に正体を見破られ、耕太が敗北を喫する結果となってしまいました。
 でも、今回の彼の最大の敗因がパンツを女物にしなかった=女装が徹底していなかった点にあるっていうところは、如何にも耕太君らしくて微笑ましいなと思います。彼のセコンド役を勤めた猫部嬢も、さすがに耕太君のパンツを脱がして女物に取り替えるところまでは踏み込めなかったのでしょうか。それとも、パンツを男物のままにしたのは、「女装はしているけど、あくまで男としてセイジに愛されたいんだ!」という耕太君からの秘められたメッセージだったのか。
 今となっては、パンツの真意はもう判りません。

 でも、今回は「自分がセイジに恋していたことを耕太が自覚した」ことこそが、彼にとっては一番大きな出来事であり、収穫だったのはないのでしょうか。
 ジェンダーの壁を突き破り、人を愛することができる自分に気付いた耕太君。そして、人から自然と愛され、「耕太君のためになるなら何でもしてあげたい!」と思わせることができる、人としての器の大きさの鱗片を伺わせた(ヤンキー女子相手に)耕太君。
 結局セイジにはフられてしまいましたが、今回の一件は彼を人間として一回り成長させたに違いありません。彼が本当に幸せになるための新しい道が、今開かれたのです!

 耕太君の今後のバイセクシャルな人生に幸あれ!(そっち方向で決定なの?)

5. ジャージ姿の神崎さん(かってに改蔵)

 あの神崎さんが、王子でテニスな恰好を!
 そんな! 神崎さんはシードアスカガな人だったんじゃなかったのかよう!
 よりによっていきなり王子テニスにジャンル換えするだなんて、あんまりですよ神崎さん!

 いやその、なんかちょっと神崎さんが転んだのが悔しかったからつい!(うるさいよ)

 で、今回の「かってに改蔵」のサブタイトルは「日向小次郎気取りかよ。」なのですが、この言葉は今回の神崎さんの恰好を当てこすったものであることは間違いありません。
 今でこそジャージ姿の男子は「テニスの王子様」の代名詞ですが、しかしジャンプにおける元祖ジャージ男と言えば、「キャプテン翼」の日向小次郎と20年前から決まっているのです。21世紀になった今でもジャージ姿でイタ飯を食べる男!(日刊オードリーさんの4/8参照)

 ジャージ男の世界に飛び込むなら、神崎さんもゆめゆめ「キャプ翼」をあなどるなかれ! オレが昔初めて地元の同人誌即売会に行った時なんか、そりゃあもうそこらじゅうに「キャプ翼」のへぼんな同人誌が(辛い過去なので略)

番外:「絶対に!あんたをアマルガンに行かせない!」と叫ぶ団(暗号名はBF)

 理屈ではどうにもできない、師匠への変わらない信頼と愛情を訴える団少年の姿は、控えめに申し上げてもあまりに可愛すぎます。もし私が女子だったら、絶対にこのカットの団を見てクラクラ来ていたと思いました。
 あぶない! あぶない!(←違う意味でもう手遅れ)

 あと、「とらのあな」発表のコミックス発売予定表によれば、「BF」のコミックス2巻が早くも7月に発売になるそうです。1巻は今月18日に発売されるので、結果的に「BF」は二ヶ月続けてコミックスが発売されるということに。サンデーの新人作家の作品がこういう売られ方をするのは珍しい気がするんですけど、一体どんな事情があるのでしょうか。
 ……アニメ化?(何で?)

2004/05/28

■石版魔物編終結記念・サンデー26号感想

  1. 「その2mのパット、OKだ!」(ダンドーネクストジェネレーション)
  2. 今週の「俺様は?」
  3. 「これを眼鏡好きにしたい相手にやらせてください」(うえきの法則)
  4. 「そうか! その手があったんだ!」(美鳥の日々)
  5. シルベストリ戦決着(からくりサーカス)
  6. 番外:援竜(D-LIVE!)

1. 「その2mのパット、OKだ!」(ダンドーネクストジェネレーション)

 最初に読んだときは何がOKなのか全然判りませんでしたが、拓さんがOKと言っているからにはとにかくOKなのだろう! 拓さんはすごいなぁ! と一方的に納得させられるだけの説得力が、このコマにはありました。ダンドーがメロメロになるのも納得の迫力です。
 指を「グワシ!」の形で突きだし、ニヤリと笑いながら「OKだ!」。私も拓さんを見習い、人生の重要な局面でこのポーズと台詞をぜひ使っていきたい。いつか私もダンドーのような少年をメロメロにしたい。OKだ(何が)。

 あと、なにげにムクムク王子がダンドーに愛を告白しているのもポイント高いです。
 ようやく面白くなって来た感じですよBJ先生! さすがはアニメ化のお金でフェラーリを買ったBJ先生は違う!(嫌がらせか)

2. 今週の「俺様は?」

 もう一般的なマンガ作法のセオリーから遠く離れたところに行ってしまったこのマンガですが、でも個人的にはここ最近の「俺様は?」が面白くてたまりません。このマンガの現在の面白さはもはや理屈じゃ説明できないですが、ギャグマンガとしてはこの作品の今の形は圧倒的に正しいと思います。
 今の大進撃の原動力となったのは、どうやら「ダイナマ伊藤!」のような小学生が出てきてからっぽいです。やっぱり、作者が動かし慣れてる(+読者も読み慣れてる)キャラだから?

3. 「これを眼鏡好きにしたい相手にやらせてください」(うえきの法則)

 「うえきの法則」の根幹を形成している能力システムは、基本的に「能力者は『~を~に変える力(才)』を持つ」「その能力を発動させるためにクリアしなければならない限定条件が存在する」の二つで成り立っていますが、森さんの能力はそのシステムの有効性を極限までギャグの方向に突き詰めたものであると言うことができます。
 「相手を眼鏡好きにする」能力もギャグなら、相手にブリッ子ポーズを取らせる発動条件もギャグ。今回は対戦相手がクールな理系眼鏡君なだけに、キーである「眼鏡」を巡る攻防が非常に熱いです。先週までの佐野君の熱血バトルが台無しになるくらいの面白さです。しかも、ちゃんとこのマンガの能力システムの枠の中でギャグを成立させているというのも素晴らしいところ。
 森さんの「相手を眼鏡好きにする」能力が最初に出てきた時はどうなることかと思いましたが、ちゃんと活用方法を考えていたんですね先生!(エラそう)

 残された問題は、当の森さんが眼鏡に対する愛情を持っていないということでしょうか。彼女も広義の「眼鏡っ娘」に当てはまるはずなのに、肝心の眼鏡を脅迫の道具にするだなんて、あんまりだとは思いませんか! 眼鏡キャラにとって眼鏡とは単なる視力矯正装置ではなく、そのキャラクターの性格を表現している体の一部である、ということを忘れてしまっては困ります! 眼鏡は道具じゃない! なんだ!
 今回の対戦相手のようなクールな理系眼鏡君にとって、眼鏡を自ら外すこととは、いったい何を意味しているのか。眼鏡君にとって、眼鏡とはいったい何なのか。それを理解しなければ、森さんの真の勝利はおぼつきません(断定)。彼女はまず「私の…メガネ君」辺りを読んで、眼鏡に対する愛を知って頂きたい。

4. 「そうか! その手があったんだ!」(美鳥の日々)

 ついに耕太が自分のかわいらしさを自覚してしまったー!(挨拶)

 皆さんご存じの通り、最近のこのマンガはいわゆる「まとめ」に入っています。美鳥と関わった登場人物達がそれぞれ自分が幸せになる道を見つけ、その道を歩み始めるきっかけを描いているのが、最近の「美鳥の日々」の特徴であると言えます。「美鳥の日々」における耕太シナリオも、いよいよ佳境に差し掛かったと判断して良いのではないのでしょうか。
 今の耕太君における「幸せになる道」とは、美鳥が元の人間の体に戻って普通の幸せを取り戻すことであると定義できますが、でもその「普通の幸せ」を取り戻すために彼が選択した手段が、よりによって「自分が女装して沢村を籠絡する」というアブノーマル極まりないものであるってのが、何だか彼にとっては気の毒というか何というか。

 ここ最近のストーリーの流れからすれば、今回のエピソードが耕太君にとって美鳥(とセイジ)を取り戻すための最後のチャンスになる可能性が極めて高いです。ある意味で「美鳥の日々」という作品の面白さを支えた立役者である耕太君が文字通り体を張って挑む最期の戦いを、我々はただ静かに見守るのみであります。がんばれ耕太! 負けるな美鳥!

 でもまぁ、実際耕太君は連載当初と比べると本当に強くなりました。その気にさえなれば、今の彼には数多くの人生の選択肢が存在しているということに、彼自身が気付いてくれれば良いのですが。

5. シルベストリ戦決着(からくりサーカス)

 このサイトでは「黒賀三姉妹フラグ立て編」と茶化して紹介してきた「からくりサーカス」ですが、ついにここに来てよりテーマらしいものを出してきた感じがします。
 今回のエピソードにおいてシルベストリが提示した「人は何故、他の人達と手を繋ごうとするのか?」という命題は、ある意味人類がこれまで築いてきた文化の存在意義を問いかける究極の質問であると思うのですが、マサルはそれに対する回答を「戦い」の場の中で態度で示し、見事シルベストリを撃破することに成功しました。
 少年マンガという制約が多い表現媒体の中で、これほどまでに明確でまっすぐなメッセージを作品の中で読者に伝えることができる、藤田和日郎先生の漫画家としての力量を感じさせるエピソードでした。

 ――そんな感じで「からくり」で感動した後、今月のサンデーGXに掲載されていた「吼えろペン」を読みました。藤田和日郎先生ではなく富士鷹ジュビロ大先生が大暴れしているアレです。

 『世界中の子供たちに愛と勇気をね!
  与えてあげる前提で――まず怖がらせるだけ怖がらせてあげちゃうよーん!
  一生残る恐怖と衝撃で、一生残る愛と勇気をね!

 一生残る恐怖と衝撃! 先生! それはトラウマと言いませんか!
 まっすぐなメッセージを伝えるのはあくまで手段! 先生の本当の目的は、あくまで読者にトラウマを植え付けることなのか!
 富士鷹先生はおっかねぇなぁ!(注:富士鷹先生と藤田先生は別人物です)

番外:援竜(D-LIVE!)

 この前のボスザルのベン君も大概でしたが、今度はよりによって援竜ですよ援竜!
 援竜みたいなロボはロボットアニメに慣れ親しんだ日本でないとまず開発されないメカだと思いますが、そんなロボが戦乱渦巻く中東に投入された、という設定そのものが超燃えです。ぶっちゃけ、自衛隊を派遣するよりも援竜を派遣した方が、「日本が国際貢献をしている」という印象を世界に与えられると思います。日本はアニメの国ですからね!

 更に今回の「D-LIVE!」では、援竜たった一体で中東で乱暴狼藉を働く英米に対抗するという展開になりそうであり、それはそれで激しく燃えです。自衛隊のイラク派遣の意義が取りざたされている今、今日本という国が中東でするべき本当の「貢献」とは何なのかを、「D-LIVE!」は我々に問いかけているのではないか。そんな気がするのであります。

 私が思うに、日本はイラクで「アニメイト」や「ゲーマーズ」の支店を開店するべきだと思います。日本はアニメの国ですからね!(しつこい)

2004/05/22

■「ココロノ ヤサシイ オタクノ サイトデス」 サンデー25号感想

  1. 「残念ながら、拙者は戦うしか能のない男だ」(道士郎でござる)
  2. ガクガクするゾフィス(金色のガッシュ!!)
  3. 路地裏で捨て猫に餌をやるバルキリー(史上最強の弟子ケンイチ)
  4. 最後のコマの獅堂クルト(暗号名はBF)
  5. 今週のかってに改蔵
  6. 番外:天国の本屋

1. 「残念ながら、拙者は戦うしか能のない男だ」(道士郎でござる)

 こんな台詞を一度でいいから言ってみたかったよ! 彼は戦うために生まれてきた男!
 うわーい恰好いいなぁ道士郎!(単純)

 このマンガ、やっぱりやってることは性格の悪いヤンキーがわんさか出てくるいつもの西森作品と基本的に一緒だと思うのですが、そのヤンキー達と相対する主人公の行動理念がとてもマンガチックで判りやすく、かつ一本筋が通っていて妙に清々しいものであるためか、歪んだキャラが沢山出てくる割には爽やかな読後感が得られるマンガだと思いました。
 「スッキリしているというか、殺伐としたモノがまったくない」という健助君の台詞が説明台詞になっておらず、この意見に読者が素直に共感できる表現ができているところは、西森氏の漫画家としての実力の高さを感じさせます。安心して楽しめる作品になりそうな予感。

2. ガクガクするゾフィス(金色のガッシュ!!)

 戦いには敗れたものの、散々シェリーを悔しがらせる台詞を吐いていい気になってたゾフィスでしたが、ブラゴに「じっくりかわいがってやる! 泣いたり笑ったりできなくしてやる!」(要約)と脅されただけで、途端にガクブル状態に。この小心っぷりは、まさに小心者な小悪党のソレです。この姿こそが、ゾフィスの本性を如実に表していると思いました。
 最後の最後まで期待通りにみじめで哀れな姿を晒してくれたゾフィスに乾杯。彼のガクブルっぷりをアニメ版で鑑賞するのが、今から楽しみです。DVDレコーダーを買っておいて良かった!(バカ)

 しかし今回、シェリーが「ココが元の姿に戻るまで本は燃やさず、ゾフィスに自分の言うことを無理やり聞かせる」という行動に出たのは意外でした。これって、下手したらゾフィスがココと一緒に本を持って逃げ出す最悪の展開になりかねない危険な行為だと思うのですが、でもココにラブラブなシェリーにとっては、ゾフィスを手元に置くリスクを度外視してでもココを元に戻すことが最優先事項なので致し方がないところでしょうか。
 ココとのストロベリーな妄想を現実のものとするためなら、もはや手段を選ばなくなったシェリー。彼女はホントいい女に成長したと思います。こんな女性と結婚したい。というか、むしろオレがココになりたい。なってシェリーに愛されたい。

3. 路地裏で捨て猫に餌をやるバルキリー(史上最強の弟子ケンイチ)

 ヤンキー少女が、路地裏で捨て猫に餌を!

 かつて「サラダデイズ」が『小雨の降る中、捨て猫に餌をやる少年を目撃してときめいちゃう少女』なんて筋書きのマンガを出して来た時に「今時、こんなベッタベタなシナリオのラブコメが読めるだなんてスゲエ! 萌え!」と大喜びした私としては、今回の「ケンイチ」の展開にも激しく感動。オレはベタな展開が大好きだ! と久しぶりに自覚させられました。
 少年マンガに登場する全ての女性キャラは、一度は捨て猫に餌をやるべき!(主張)

 まぁ、こういうベタな話を持ってきても違和感がまったくないのは、それだけ「ケンイチ」がマンガとして王道の展開を歩いている証拠だと言うこともできます。
 仮に「かってに改蔵」の羽美ちゃんが捨て猫を拾っても、ギャグ(あるいはホラー)にしかなりそうにないのとは対照的です。

4. 最後のコマの獅堂クルト(暗号名はBF)

 黒いサングラス、派手な髪型、不敵な笑顔をみせる態度、そして線の太い『濃い』系統の絵柄。
 何となく、このコマはもの凄い藤子不二雄Aっぽい絵柄だなと思ってしまったのですがどうか。なんかこのキャラ、人差し指を伸ばして「ビー!」と叫んで超能力を使いそう。ソーマを射たれた時に「ギャース!」とか叫びそう。「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ」とかメラメラしそう。判って頂けるでしょうか(無理)。

 Aはともかく、本編の方はすごく内容が濃くて面白かったです。まるで、長期連載マンガの最終回直前並のクオリティの様です。この濃さが、「もうすぐ連載が終わるから今のうちに(以下略)!」という『武装錬金』と似たような理由から来ていないことを祈るばかりであります。
 つうか、『武装錬金』は今期の打ち切りを回避できたって噂は本当なんですか?(ここはサンデー感想エントリです)

5. 今週のかってに改蔵

 個人的に、今週のサンデーで一番面白かったというか、知的な興奮を味わえたのが「かってに改蔵」でした。
 『被害者』をやたらクローズアップして視聴者の感情を煽ろうとする報道がマスメディアで飛び交う最近の風潮をスマートに揶揄した上で、キッチリとギャグマンガとして成立させているセンスは流石だと思います。

 こういう話題をマンガの中で扱えるフォーマットを持っているのは、週刊少年マンガ誌の中では「改蔵」だけだと思いますし、そしてこんなネタでも嫌みを感じさせずにギャグとして成立させるだけの話を作れるバランス感覚を持ち合わせているのも、やっぱり週刊少年マンガ誌の中では久米田先生だけなんじゃないかと思います。
 普段作ってるエピソードがちょっとアレがナニなので誤解されがちですけど、久米田先生は本当に才能がある人なんだなぁと、今回再認識させて頂きました。

 勿論、こんなマンガが「金色のガッシュ!」や「犬夜叉」よりも売れるようになったら日本はおしまいなので、久米田先生は永遠に傍流に位置する宿命なんですけどね。

番外:天国の本屋

 『自分には何のとりえもないと思っていた人が、かけがえのない人と出会ったり、自分の中にも他人を幸せにできるかけがえのない力があることに気付いたりして、将来への夢や希望を持てるようになるお話』。こう表現してみれば、今週の読みきりで掲載された「天国の本屋」も、先週完結を果たした「美鳥の日々」の高見沢シナリオも、物語としての本質は一緒であるということが判って頂けるかと思います。
 「天国の本屋」の方は『日本中が感動した! 涙のベストセラー!』と世間的に大絶賛な評価を受けているのに、その一方で「美鳥の日々」を絶賛している我々がちょっと世間的に引け目を感じてしまっているというのは、いったい何が原因なのでしょうか。我々は、どこかで何かを間違ってしまったのでしょうか。

 という嫌がらせな解釈はさておき、今回作画を担当した桐幡歩氏は、以前超増刊で「魔法の卵使い」を発表した人ですね。独特の雰囲気がある絵柄を描く人なのでピンと来ました(通っぽく)。
 当時は「問題がある」と指摘されていた画面の処理も、さすがに今回はかなり改善されていると思います。絵柄も題材とマッチしており、個人的には好印象。この調子でがんばって頂きたい。

2004/05/13

■燃える瞳は原始の猿 サンデー24号感想

  1. ゾフィス必死(ガッシュ)
  2. 若い頃の静馬さなえ(こわしや我門)
  3. 「右手のままでかい?」(美鳥の日々)
  4. 今週の「暗号名はBF」
  5. ボスザルのベン(D-LIVE!!)
  6. 番外:聖なる守護者アリス(MAR)

1. ゾフィス必死(ガッシュ)

 「ゾフィス、必死だな。」(挨拶)

 窮地に立った時に見苦しくあがき、みっともない姿を晒してのたうちながら死んでいくのもまた活劇における悪役の役割の一つと言えますが、前回や今回のゾフィスは、そういう意味においてとても魅力的なキャラクターに成長しました。自分からココの秘密をベラベラ喋ってしまってブラゴに「必死だな」と煽られてしまうところなんか、如何にも性根が腐った小悪党らしくてラブです。
 というか、やっぱり彼の本質は「策略を練るのが大好きな小悪党」なんだと思います。ドラえもんで言うところのスネオタイプ。いきなり王を目指すのではなく、ゼオンと手を組んでナンバー2の座を確保してからゼオンの寝首を掻くチャンスを眈々と伺う戦法で行けば、もうちょっといいとこ行けたのかも知れません。
 とりあえず魔界に帰ったら、スネオ系統の卑屈なキャラにイメチェンを計ってみるのはどうか、とアドバイスして行きたい。

 ただ、確かに彼はブラゴの攻撃をモロに食らって大ダメージを受け、シェリーにココを奪還されてしまってはいるものの、まだ本を燃やされた訳ではありませんし、ココの洗脳を解かれた訳でもないところは注意するべき。
 ここからの逆転はさすがに無理でしょうが、「せめてこいつらを道連れに!」みたいな、小悪党らしいやぶれかぶれな行動を取るチャンスはまだ十分あると言えるでしょう。がんばれ悪役! 悪役なら悪役らしく、みじめで哀れで最低な最期の姿を俺達に見せてみやがれ!

 しかし、ココはすらりとした長い脚といい大きいおっぱいといい、ホントやらしそうな身体してますね。シェリーがメロメロになるのもよく判ります。ココの体を抱きしめて感激の涙を流すシェリーの頭の中は、きっとストロベリーな妄想でいっぱいに違いないね! と思いました。

2. 若い頃の静馬さなえ(こわしや我門)

 すげえ! こんな萌える旧日本陸軍士官は見たことねぇ!
 中之井じいさんが今も彼女を見て震える理由はコレか!

 当時の日本に足りなかったのは、やっぱり萌えだったんだよ!(うるさいよ)

3. 「右手のままでかい?」(美鳥の日々)

 いま高見沢がマトモなこと言ったー!(さっきからうるさいよ)

 最近キャラのリストラを進めている「美鳥の日々」ですけど、今週はボク達オタクのハートを延々とヤスリがけして来たあの高見沢君が、事実上物語の表舞台から退場することになった模様です。
 最初のうちはしがない引きこもりの人形オタクに過ぎなかった彼でしたが、自分の才能が他人を喜ばせることができるのに気付き、社会にもその実力を認められ、ついに将来に夢を持てる程までに成長しました。もう彼は、美鳥の存在に依存することはないでしょう。
 ちょっと道を外れた人でも幸せになれるのが、このマンガのいいところです。

 そして、このマンガの中でもっとも道を外れちゃってる、美鳥とセイジの運命や如何に。「右手のままでかい?」という高見沢の何気ない突っ込みが美鳥の動揺を引き起こしたところをみる限り、まだまだ美鳥の心の中は現状維持を是とするのかどうかで揺れ動いている模様。
 このマンガも、そろそろお話が大きく動きそうな予感。アニメ終了後の時期辺りがねらい目か?

4. 今週の「暗号名はBF」

 後ろから四番目という微妙な掲載位置!
 敬愛していた師匠が敵に寝返る、という劇的な展開!
 この物語始まって以来の大ピンチに直面した日本!
 そして、大切な人達を守るため、まるで最期の戦いに出向くかのような決意を固めたベビーフェイス!

 と、ここまで要素が揃えば、2ちゃんねるとかで「こりゃこのマンガは打ち切りが決定したんじゃないか」と騒がれても致し方がないと思いました。
 こんな短期間で終わってしまうマンガじゃないと思うんだけどなぁ。

5. ボスザルのベン(D-LIVE!!)

 掲載順番が最後なのでここの感想ランキングでも順番は一番最後になりましたが、インパクトとしては間違いなく今週のサンデーの中でトップクラスだったのが「D-LIVE!!」のベン君です。
 人間顔負けの集団戦法を指揮する統率力を持ち、数々の罠や策略を巡らす知恵も持ち、更にはジャケットを着込んで散弾銃を持って戦いに挑む度胸をも持ち合わせているボスザルのベンは、今週のサンデーでも最高に熱いキャラだったと思います。「ARMS」に出てきたエグリゴリの戦闘サイボーグといっても十分通用しそうな容貌もステキ。

 こんな風格を備えたサルが出て来てしまっては、斑鳩君が操るモンキーに対して「いくら何でも壁を垂直に昇るのは絶対無理じゃ?」なんて突っ込みをしても、まったく意味がありません。それくらいベン君が強すぎます(キャラとして)。
 掲載位置的に下位に沈みがちな「D-LIVE!!」ですが、たまに今回のような瞬発力のある話が出てくるので侮れないと思った。

番外:聖なる守護者アリス(MAR)

 あー(←言いたいことは沢山あるけどノーコメント)

2004/05/12

■超増刊発見報告

 サンデー超増刊買った人?(挨拶)

 我々一般読者からは預かり知れない理由により、一時休刊を余儀なくされたサンデー超増刊
 その超増刊のリニューアル版がゴールデンウィーク直前に発売されていた訳ですが、皆様方の中で「超増刊を読んだ」、あるいは「超増刊を売っているところを見かけた」という方は、いったいどのくらいおられるのでしょうか。
 私の場合、ついこの間まで超増刊を売っているところを見たことがありませんでした。勿論発売していることは知っていましたし、もし見かけたら軽く読んでみようかなー、くらいのことは思っていたのですが、GW中に近所のコンビニや本屋で超増刊を見かけることはありませんでした。

 まぁ、見かけなくなった最も大きな理由は、これまで確実に超増刊を置いていた近所のローソンが潰れてしまったことなんですが、それにしても他のコンビニなどでも全くその姿を見かけないのは、いったいどうしたことなのか。IRCでも「ゲーマーズ以外で置いてあるの見たことない」とかいう証言が出て来る程なので、ウチの近所特有の現象でもない模様。元々そんなに売れていない雑誌なのは知っていましたが、まさかここまで落ちぶれるだなんて!(←言い過ぎ)
 それに、ライバルの赤マルジャンプは、普通に置いてあるのにな! うわーい「ごっちゃんです!」完結編は本当に面白いなぁ! やっぱりごっちゃんは大物になる器だったんだよ!(話が逸れてます)

 そんな感じだったので「手に入らないなら仕方ないか」程度に軽く諦めていたんですけど、しかしIRCで

超増刊に載っている『美鳥』の外伝では、
 カマキリ夫人と本屋ちゃんモドキがおっぱいをさらけ出しているシーンがある

 との情報を入手して、俄然やる気に(バカ)。
 色々と探し回った結果、通勤経路の駅近くの小さな本屋でたった一冊だけ残っていた超増刊を入手することに成功しました。情報通り、ちゃんとカマキリ夫人と本屋ちゃんモドキの百合カップルが揃って脱がされてるシーンが載ってましたよ。大満足(バカ)。

 元々超増刊は入手困難な雑誌なのですが、ここまで苦労したのは初めてです。もしかしたら、似たような時期に発売された「百合姉妹」よりも出回りが悪いのではないか? と思いました。実際、超増刊はなくても「百合姉妹」は置いてあった、なんて本屋もありましたしねー。
 時代はやっぱり百合なのか。ストロベリーシェイクさいこう。紺野キタさいこう(←読んでます)。

 それで今回の超増刊ですが、今回面白いと思えたマンガを挙げるとなると

  • 9日に放送されたアニメ版とお話がリンクしていて感心した「金色のガッシュ!」外伝
  • おっぱい抜きでも普通に面白い「美鳥の日々」外伝
  • 「鉄仮面を被った生き別れの妹と再会!」って奇怪な設定をサラリと読ませる「かえで御法度!」(池田結香)
  • メッセージ性はあるけどそれをあまり前面に出さず、全体的にほのぼのした雰囲気が味わえる「あたま」(麻 湧)

 ということになるのかな、と思いました。
 なんとなくですが、全体的に「読後にカタルシスを与えるため、物語の途中で読者に過度のストレスを与える」手法に頼った作品(オレ内部での通称:ダンドーメソッド)が多い印象を受けました。ストレスを与えることで読者の感情を意図的に揺さぶる手法は確かに有効なテクニックですが、でも何だか読んでいるうちに「何故オレは、マンガを読むだけのためにこんな辛い思いをしないといけないのか?」と自問したくなって来る気分に(実話)。
 正直、感情をむやみに揺さぶる系統のお話は苦手なんですよ。こわいのとかなしいのといかりをおぼえるのは現実社会だけで十分なのですよ。ブルブル。

 その中でも、超増刊リニューアルの最大の目玉作品であろう「あやかし堂のホウライ」は、モロにそういう系統のマンガだったのが印象的でした。
 藤田和日郎テイストの力強いタッチの絵柄で、主人公の少女・アヤカの生き地獄っぷりを延々と描写する、ドメスティックバイオレンスかつサイキックホラーな展開の数々に心底驚愕。世界一不幸な美少女の栄冠は、「おジャ魔女どれみ」のどれみじゃなくて、「ホウライ」のアヤカに授けるべきだと思いました。
 いきなり主人公を不幸のズンドコに落とし込むだなんて、作者の金田達也先生は絶対本気だよ!

 第一話からこの調子だとすると、この先どうなって行くのか。
 これはそういう意味でも注目するべき作品なのではないか、と思いました。

2004/04/29

■2年前の今頃「一番湯のカナタ」の連載が始まったんですよ・サンデー22/23号感想

  1. 「凄く勘違いしてたからなー。日本について」(道士郎でござる)
  2. 最後の一つ前のページのびっくり顔ゾフィス(金色のガッシュ!!)
  3. ブルマ姿で四股を踏む女子(史上最強の弟子ケンイチ)
  4. ゴキブリ(結界師)
  5. 「『美鳥の日々』原寸大フィギィア サンデーグッズショップにて好評販売中!」(美鳥の日々)
  6. 番外:グッバイノストラダムス

1. 「凄く勘違いしてたからなー。日本について」(道士郎でござる)

 椎名高志先生の復帰時期にばかり気を取られ、西森博之先生が復活する可能性を失念していた人?(挨拶)

 つう感じで、西森先生の新連載「道士郎でござる」が始まりました。
 よくわかっていない外国人がイメージしているちょっとズレた「日本」の姿を、日本人が客観的な視点で面白がるスタイルの有効性は「キル・ビル」が改めて証明しましたが、その方法論をマンガに持ち込んできたなぁという印象。

 前作「天使な小生意気」でも、更にその前作「今日から俺は!」でも、一貫して「オトコの格好良さ」をテーマとして描いて来た西森先生は、今回の「道士郎でござる」でもまたその路線を志向しているしているように思えます。
 「天使」では『オトコから最も離れた場所にいる美少女を通して、逆説的にオトコの格好良さを描く』というジェンダーギャップな視点が独特の面白さに繋がっていましたが、今度は『最もオトコらしいんだけど、現代の常識からは最も外れた場所にいる』サムライを主人公にする、カルチャーギャップな設定を持ち込んで来ました。
 これをどう作品固有の面白さに繋げていくのか、今やベテランの域に達した西森氏の手腕に注目したいところ。

 もっとも、第一話からヤンキーと主人公をケンカさせてる辺りは結局やってることがいつもの西森マンガと一緒みたいなので、例によって例の如く「サンデー随一のヤンキーエンターテイメントコミック」として気軽に読めるマンガになるんじゃないんでしょうか。
 ホント、西森先生の描く悪役ヤンキーって、とことん性根が曲がってるように見えるんですよねー(賞賛の言葉)

2. 最後の一つ前のページのびっくり顔ゾフィス(金色のガッシュ!!)

 ゾフィスって、こんなオモロい表情ができる子だったんだ! 新しい発見!
 これなら、仮にブラゴに負けてもギャグキャラとして十分やって行けますよ!(いけません)

 その一方、シェリーはココの本性はあくまで善であると信じた結果、ついに心の中で泣いているココの姿を見出し、自分の心の力を取り戻した模様。少年マンガの王道を行く「ガッシュ」らしい、実に清々しい展開となってまいりました。
 そんなひたむきなシェリーを見ていると、「ココの性根はどこまでもひねくれてなくちゃダメなんだよ!」と邪な期待を抱き続けている自分は、少年マンガを語る資格などないのだと思いました。

3. ブルマ姿で四股を踏む女子(史上最強の弟子ケンイチ)

 そんな邪な私のハートをガッチリキャッチしたのが、「ケンイチ」のトールが抱いている野望を描いたこの一コマ。
 何だかよく判らないけど、ブルマを履いたロリっぽい少女達が、公園の土俵で四股踏みをしてますよ! なんですかこの異様にマニアックな野望は!
 嗚呼、トール君! 君はそれでも本当に神聖なる土俵で戦う力士なのですかトール君! こんなブルマフェチの悪い妄想みたいな、どう考えてもおかしい非日常的光景を日常とするためだけに、君は毎日鋼鉄のリングの中で、善も悪も関係なしに戦っているというのか!

 良し! その心意気や良し!
 己の信念を貫くためなら、世界だって敵に回してこそ真の男!
 トール君! ブルマ相撲を否定するこの世界の全てと戦え!

 ダメそう(オレが)。

4. ゴキブリ(結界師)
 ゴキブリ
  家の中や付近に住む昆虫。時々飛ぶ。

 ゴキブリの特性をキャプション付きで紹介! 扱いが妖怪と一緒だ!
 このマンガの世界観だと、ゴキブリも立派な妖怪の仲間入りなのですね!(まちがい)

 今回は普段とは違ってコメディなお話でしたが、なんか話だけじゃなくて絵柄の雰囲気までコメディタッチというか、普段の線が細くて凛々しいタッチとは違った、丸みを帯びた絵柄で意図的に描いているような感じがしました。勿論、それが今回のエピソードの雰囲気作りに功を奏しています。
 作者の田辺イエロウ先生は色々と器用なことができる人だなぁと、改めて感心した次第。

 というか、こういうマンガ読むと、やっぱり少年マンガはいいよなって思えるよな! ブルマ少女の四股踏みに萌えるよりも、風呂上がりのお姉さんにときめく方が遙かに健全なのだという、人として最も大切なことを思い出させてくれるよ!
 そんな感じでダメだった自分を回復することに成功(単純)。

5. 「『美鳥の日々』原寸大フィギィア サンデーグッズショップにて好評販売中!」(美鳥の日々)

 しかし、現実には売るモノが無く、早くも開店休業状態になっている罠。

 「27日に再び販売する」とか言ってましたが、結局はどうやら初日で全部売り切れてしまい、再販する分が残らなかったということみたいです。まるでコミケの大手サークル発行の部数限定同人誌みたいな売れ方です。発売直後にも関わらず、ヤフオクに多数出展されている辺りも同人誌みたいです。
 アニメ版がオタク筋で好評の「美鳥の日々」のフィギュアを安値かつ数量限定で発売、しかもオーダーは実質的に早い者勝ちで受付となれば、こうなることはもはや必然だったと言えましょう。雑誌に載っている広告も、今ではただむなしさを感じさせるばかりであります。

 あとマンガ本編の方ですが、こちらは土壇場で綾瀬が勝負から降りてしまってまた元の木阿弥になってしまうという、週刊少年誌に掲載されるラブコメマンガの展開としては正しいけれど、でも一人の恋する女の子の行動としては激しく間違っている結末になってしまいました。
 結局このマンガはそういうマンガなのな、ということを再認識させられる結果に。

 先週から今週にかけての「カレに告白しちゃった! いやんどうしよう~」モードに突入していた綾瀬はやたら可愛らしかったので、個人的にはもうしばらくこのままでいて欲しかったです。綾瀬は相変わらず報われないキャラだなぁ。

番外:グッバイノストラダムス

 単に「占い師が嫌い」というだけで、何の罪もない辻占い師に暴行する主人公!
 怒髪天を付く奇抜なスタイルで「占い」という名の詐欺を働くメガネ男!
 自分の思い出だった土地を取り戻す、という目的のためなら手段を選ばない女子高校生!
 飛び交うヤクザ!

 すごいよ! 性格がマトモなキャラがほとんどいないよ!
 「元高校ボクシングチャンピオン」のならず者が主人公のマンガを、巨匠・あだち充先生が描く爽やか高校ボクシングマンガの「KATSU!!」の直後に配置する誌面構成も、何だか妙にアグレッシヴだ!
 2004年の今になって、あえて1999年のノストラダムスをネタに使うのも、よく考えるとちょっとすごい!
 なんてスパルタンかつストロンゲストなマンガなんだ!

 「マーベラス」「ダイキチ」で艱難辛苦を味わったであろう武村先生の戦う姿勢が漂ってくる、色々な意味で印象的な作品だと思いました。こんな攻撃的なマンガを描ける人だったとは、正直意外です。
 がんばって下さい。

2004/04/23

■「もみあげキャプテン」肯定派・サンデー21号感想

  1. 落とし穴にハマった時の灰原(名探偵コナン)
  2. ココ(金色のガッシュ!!)
  3. 綾瀬貴子(美鳥の日々)
  4. 國生春菜(こわしや我門)
  5. 豹変したミハイル(D-LIVE!!)

1. 落とし穴にハマった時の灰原(名探偵コナン)

 他の子供達が「しまった!」という表情をしているのに、彼女だけはどちらかというと「あーあ」「やれやれ」系に属する、妙に達観した諦めの境地の表情だったのが、とても彼女らしくて良いと思いました。
 これでこそ灰原さんだ!

 でも、次のコマでは割と普通に怖がりながら穴に落ちているのが残念。
 もっとがんばれ灰原さん!(勝手)

2. ココ(金色のガッシュ!!)

シェリー、あなた、私が本当にゾフィスに心を操られていると思ってるの?
今の私が、本当の私の姿なの
しょせんはお金持ちのお嬢様に、貧しい人間の心なんて判らないのよ!

 やっぱりそれがキミの本当の姿!
 ココには元々、根性曲がりとしての資質があったんだよ! オレの思った通りだ!
 ココさいこうー!(こういう楽しみ方は人として最低です)

 何にしろ、ココはシェリーとの身分の違いに激しく負い目を感じていたことは確かな模様。

 今となっては懐かしい「明日のナージャ」のナージャとローズマリーもこの二人と似たような関係でしたけど、結局ナージャは「貧困から抜け出して貴族の娘になるためなら何だってやる」という強い意志の元に行動するローズマリーを、最後まで言葉で諭すことはできませんでした。いくら富める者がそうでない者に手を差し伸べようとも、そうでない者にもプライドがある以上、そう簡単にその手を取ることはできないものなのかも知れません。
 ローズマリーは最後の最後で無い物ねだりを止め、「私は私のお城をみつけるわ!」と自分の生きる道を見いだす決意をすることによってようやく自分自身を救うことに成功しましたが、果たしてココはどうなのか。彼女の救いの道はどこにあるのか?

 その一方、今のシェリーが(ココが批難しているような)単なる「金持ちのお嬢様」の身分を捨て、自分の運命と戦う生き方を手に入れることができたのは、パートナーのブラゴの存在が大きいことを忘れてはいけません。
 ココのパートナーであるゾフィスは彼女の根性曲がりの性格を見出して己の力とすることに成功しましたが、ブラゴの場合はシェリーの中に「自分自身の力で戦う覚悟」を植え付けて己の力にした、という点で大きく異なります。
 ココとシェリーの戦いの鍵は、最終的には双方のパートナーが握っているのではないかと思います。

3. 綾瀬貴子(美鳥の日々)

 ついに綾瀬がセイジに告白を! うわーいどうなっちゃうのこれから!
 …と、素直に喜ぶのが本来のこのマンガの楽しみ方だと思うのですが、しかし先週ルーシィがリストラされたばかりであるということを考えると、なんかちょっと不安な気持ちに。

 まさかルーシィに続いて、綾瀬までリストラの対象に!?
 もしかしたら、『美鳥の日々』も「アニメが終了する頃を見計らって連載も終了」するパターンなのか?

 あと「美鳥の日々」と言えば、サンデーのグッズショップで等身大美鳥フィギィアを数量限定で売り出したのはいいけど、注文が殺到して文字通りサイトが瞬殺されてしまったことで話題になってましたね。
 一応27日に注文を再開するみたいなことは書いてありましたが、果たしてどうなることやら。

 あと念のため一応言っておきますが、ボクはこのフィギィアは注文してませんよ! ホントですよ! 信じて下さいよ! だってこのフィギィア、こっちに向かってファイティングポーズを取ってるように見えるじゃないですか! かわいい顔して殺る気まんまんなんですよ! 怖いじゃないですか! 左手のガードがちょっと下がっているように見えるのが、またくせ者なんですよ! わざと隙を見せておいて、つられて手を出そうとすると待ちかまえていた右がカウンターで飛んで来るんですよ! 美鳥必殺の右フックで、文字通り瞬殺されてしまいますよ! 美鳥はヤる時はヤる女性ですよ! コミックス6巻の裏表紙で両手にボクシングのグローブ付けて構えているのが、その何よりの証拠ですよ! 美鳥ちゃんはカワイイ顔してスゴイんですよ! こわいこわい! 美鳥フィギィアがこわいよう! こんなの右手に付けたら悶絶しちゃうよう! ボクを怖がらせるなら、断然美鳥フィギィアがオススメですよ! だれか譲って下さい!(オチ)

4. 國生春菜(こわしや我門)

 今週は國生さんと我門君の日常を描いたインターミッション的な物語でしたが、今回のお話の國生さんの行動を四字熟語で表現するとアレですね。「女房気取」ということになると思いますね。
 旦那のことが心配で、ついつい余計な世話を焼いてしまう彼女。いじらしくて可愛いじゃないですか。我聞君は人が良いというか頼まれるとイヤとは言えないというか、圧倒的に騙されやすくて人生損するタイプなので、國生さんのような融通効かないしっかり者が側にいてやらないとダメなんじゃないかと思えてきました。

 二人で勝手に幸せになって下さい。(何をひがんでるんですか?)

5. 豹変したミハイル(D-LIVE!!)

 自分が読んだ時は「今回はこういうオチなのかー」と普通に感心した程度だったのですが、なんか2ちゃんねるの801板では「待望の攻めキャラが出たー!」とかそういう喜び方をしているコメントがあって興味深かったです。

 同様の理由で、「暗号名はBF」の新キャラも好評だった模様。何だか楽しそうで羨ましいです。
 この世で一番少年漫画誌を愉しんで読んでいるのは、いわゆる腐女子の皆様なんじゃないかと思う今日この頃。

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