2004/07/03

■サンデー超増刊もみてる ~夏~

 このサイトのこの記事を読んで、サンデー超増刊の春号を「美鳥の日々」外伝のおっぱい目当てで探した皆さん、こんにちはー!(挨拶)

 そんな「美鳥の日々」の外伝は、コミックス7巻に収録されてて良かったですね! 深沢です。
 前回書いた超増刊のエントリが『書店員のたわごと』のたかさんの日記でネタになっててちょっと嬉しかったので、今回もまた調子に乗って先月25日に発売された超増刊についてちょっと触れてみたい。

 今回の夏号では「美鳥」のおっぱいみたいなキャッチーな売りはないのですが、少年マンガ愛好家的な意味においては、やはり何と言っても能田達規先生が登場しているのが最大の売りでしょう。

 かつて旧アスキーコミックで「がらくた屋まん太」を、週刊少年チャンピオンで「おまかせ! ピース電器店」「ORANGE」を掲載し、どの作品も好評を博した――というか、どのマンガも私のハートにたいそうグッと来たので個人的に大好きな――あの能田達規氏が、何の因果かサンデー超増刊に登場。それも、掲載位置で他のサンデーの新人作家とほぼ同列の扱いを受けているというさりげなさで、極めて控えめに登場しています。氏を知っている人なら、おそらく「どうしてこの人がこんなところに!?」と思ってしまうこと間違いなし。私も事前情報がなかったら、「能田達規」の名前を見た途端に驚いて死んじゃうかと思ったくらいです(おおげさ)。

 能田氏は以前「サンデーGX」に一度読み切りを掲載したことはありましたが、純粋な少年サンデー系列の雑誌に作品を載せるのは、多分これが初めてでしょう。実績の割に掲載位置が低めなのは、そういう関係もあるのかも。

 勿論、今回の読み切り『マッドレイダーズ』も能田テイスト満載で面白かったです。
 基本的な筋書きは「王族の生き残りの姫君から依頼を受けた少年トレジャーハンターが、軍隊相手に大活躍!」みたいなノリの冒険アクションものですが、そこに(能田氏のマンガには欠かせない)精神的なライバル関係にある父と息子の競い合い、そんな関係でも確かに感じられる親子の絆の深さ、敵味方が何度も入れ替わるどんでん返しの連続、そんな状況下でも信念を曲げずに行動する主人公の潔さ、そして(これも能田氏のマンガには欠かせない)スレンダーでかつエッチな体つきの女性キャラが大暴れと、とても密度の濃いマンガになっています。
 それでいてあまりゴチャゴチャした印象もなく、一気にテンポ良く読ませる紙面構成もよくできてます。同列に掲載されていた他の新人作家の作品と比べると、さすがに完成度は高いと感じました(キャリアを考えれば当然なんだけど)。

 能田氏のマンガは、ネタが発明であれサッカーであれ、常に「純粋に子供が読んで楽しめる少年マンガ」が描ける才能を持っている人であると思っています。どの雑誌でも良いですから、早いところ連載を持って、再び第一線で復帰してくれることを期待しています。

 その他の掲載作品で気に入ったものを上げるとすると:

  • 「やんちゃ男が怪我してクール男が介抱する」という、基本を押さえた百舌鳥と斑鳩父の関係性にグッと来る「A-LIVE!」(皆川亮二)
  • 「身分を気にせず突っかかってくるやんちゃ男のことが気になっちゃうクール男」という、これまた基本を押さえた青磁と先希の関係性にグッと来る「青磁と先希」(中道裕太)
  • 何だかよく判らないけど勢いだけは感じる「何だ?とは何だ?」(直井俊樹)
  • 明らかに他の作品とは雰囲気が異なる印象を受ける「鬼月」(桐幡歩)

 今回は、前号のように読んでいてカタルシス以上の理不尽なストレスを感じてしまう系統の作品が少なく(皆無ではないけど)、全体的にかなり読みやすくなっていると言えます。

 この中でも、桐幡歩氏の「鬼月」はかなりの注目作(あるいは異色作)。この人のデビュー作「魔法の卵使い」もそうでしたが、この人の描く作品は、最近のサンデーではあまり見られない「読者の感性に訴えかける独特の力」を持っているように思えます。作者のセンスが普通のサンデー作家とはちょっと違っているというか何というか。
 作品のタイプは全く違うのですが、なんか初めて「トガリ」の夏目義徳氏の作品をサンデーで読んだ時と似たようなものを感じた気がします(不吉?)。

 今後桐幡氏がサンデーで連載を持てるようになるかどうかはさすがに判りませんけど、サンデーがどうとかいう以前に、純粋に新人作家として気になる存在です。今後の登場にも期待したいところ。

 あと、超増刊最大のウリであるところの連載作品「あやかし堂のホウライ」も良かったです。前回で人生最大の艱難辛苦を乗り越えた主人公・アヤカが逞しく成長していく様子を見るのが楽しくなって来ました。

 そして今回は、眼鏡っ娘で意地っ張りで人の言うことを素直に聞けないけど実は寂しがりやさんでかつドジっ娘、というかなり極まったお嬢様・四位名(しいな)さんが出て来ますが、この娘が(色々な意味で)秀逸過ぎ。彼女は、まさに妖怪に襲われるためにこの世に生まれ出たような、そんな被虐感溢れるキャラとして描かれています。勝ち気な女の子が不安のあまりボロボロ泣くところが大好きな人なら!
 勿論、最後は主人公のアヤカと四位名がちゃんと助かって仲良くなる健全なハッピーエンドが待っていますのでご安心を!(誰に言ってるのか)

 結局、今回もまたロクでもない紹介をしてしまって申し訳ありません…orz

■ヘソの周囲のムダ毛も処理した方が良いと思います。サンデー31号感想

  1. 「そこも全然計算してないですよ」(伊集院光×満田拓也球漫対談)
  2. ザグルゼム+ザケルガのコンボ攻撃(金色のガッシュ!!)
  3. 「どっちも本当に好きなんだ」(モンキーターン)
  4. 「あいつがレベル2をどこまで使いこなせるかだな」(うえきの法則)
  5. 「君たちの悲喜劇の結末を告げる『女神』だ」(からくりサーカス)
  6. 番外:ハルマキ

1. 「そこも全然計算してないですよ」(伊集院光×満田拓也球漫対談)

 秋からのアニメ化決定で、ますます長期連載化に拍車がかかることになった「MAJOR」。今週号にはアニメ化記念ということで伊集院光氏と満田拓也氏の対談記事が載ってましたが、個人的には当時ファンの間に大きな衝撃を与えた、あの「吾郎が海堂高校を捨て、別の高校に行って海堂と戦う道を選ぶ」展開に関わる部分のトークが興味深かったです。

 満「海堂はあまりに身内が強すぎて、じゃあどこと戦うんだ? というのがありましたから。海堂以上のチームは考えられませんでしたから」
 伊「しかもその後(話が)飛ぶでしょ? 対外試合できませんというので1年くらい」
 満「そこも全然計算してないですよ(苦笑)」

 当時は「吾郎が寿也を捨てた!」と同人女子達の間で大騒ぎになり、ショックで「MAJOR」の同人サイトを閉鎖した人も出たなんて話を聞いたものでしたが、その衝撃の展開は、どうやら上記の思考プロセスによって生み出されたみたいです。週刊連載マンガにおける、ストーリーの不確定っぷりを再認識させられた気分になりました。
 今回の対談で、ストーリーは「その週とか、その前の週に決まる」と今回の対談で図らずも公言してしまった満田氏。氏がインタビューの中で語っていた「予想は裏切り、期待は裏切らない」ドラマチックな展開を、この作品が今後も続けていけることを願います。あと、ちゃんとファンがその展開について行ってくれることも願います。

 しかし、アニメ版はやっぱり少年時代からスタートですか! いきなり「ゴローの父親の頭にビーンボールが直撃!」なんてシュートかつトラウマチックなシーンで、お茶の間開幕デビューを戦慄と共に飾りますか!
 前述の行き当たりばったり的な展開もそうですが、実はよく考えると「MAJOR」って色々な意味で相当おっかねえマンガなのではないのでしょうか。お見逸れしました。

2. ザグルゼム+ザケルガのコンボ攻撃(金色のガッシュ!!)

 これには純粋に感心。ザグルゼムって、こんな使い方できるのな!
 Magic: the Gathering で新しいコンボデッキを見た時くらいビックリしましたよ!(変な例え)

 アニメ版の方は、ビクトリーム様が若本ヴォイスで大暴れしてて満足でした。「ブラァアア!」を携帯の着ボイスにしたいくらいです。
 ところで、アニメの中でビクトリーム様が歌っていたベリーメロンの歌は、シングルCD化されたりするのでしょうか。もし出るなら買わないといけないので、たいへんに気になります。勿論「ちちをもげ音頭」も買います。

3. 「どっちも本当に好きなんだ」(モンキーターン)

 先週は、2ちゃんねるの該当スレッドがたった1日で1スレ消費する程の大騒ぎを読者に巻き起こしたらしい「モンキーターン」。肝心の波多野がこんな調子では、どうやらこのネタは当分後を引きそうな予感がします。
 あと、「どっちも本当に好きなんだ!」とか調子のいいこと思っておきながら、当の「好き」な相手である澄の顔を見ただけでオタオタしてしまう波多野を見て、いい気味だ! もっと苦しめ! と思いました(狭い)。

4. 「あいつがレベル2をどこまで使いこなせるかだな」(うえきの法則)

 「金色のガッシュ」のザグルゼム+ザケルガのコンボ攻撃には純粋に感心させられましたが、「うえきの法則」におけるレベル2無限リサイクルコンボ攻撃は、感心するというよりもむしろ「こんなの出して大丈夫か?」とちょっと心配に。
 今回、植木の能力の本質は「相手の能力を元に戻してしまう能力」であることが示されましたが、これは早い話が『全ての能力者の能力は植木には通用しなくなる』ことを意味しています。マンガの中ではコバセンが「このバトルの本質を根底から覆す能力だ」と誇らしげに言ってますけど、下手すると「このマンガをバトルマンガとして不成立にさせてしまう能力」になってしまう危険性があるような気がしてなりません。
 コバセンは「あいつがレベル2をどこまで使いこなせるかだな」とも言っていますが、本当に植木のレベル2能力を使いこなせる資質を問われているのは、他ならない作者の福地先生(およびサンデー編集部)だと思うのです。

 まあでも、作者の福地先生は例の「相手を眼鏡好きにさせる能力」を考案して自身がレベル2に到達してからは絶好調を維持してますので、私としてはあまり心配してませんけどね!
 つうか、前の森さん対理系メガネ君の眼鏡対決の決着方法はやっぱり納得行かねえ! 眼鏡っ娘が眼鏡を粗末に扱うな!(鼻息)

5. 「君たちの悲喜劇の結末を告げる『女神』だ」(からくりサーカス)

 何故仲町サーカスのメンバー達は、ゾナハ病が蔓延する中で普通に動けるの? という疑問点が浮かびましたが、空に浮かぶ『女神』のあまりの格好良さに感動し、そんな些細なことはすぐに忘れてしまいました。

 ゲーム終演の到来を告げる、空に浮かぶ金属製の天使。
 まるで Magic: the Gathering の「白金の天使」を見ているようです(変な例え)。

番外:ハルマキ

 今週は「KATSU!」のあだち充先生が急遽休載ということで、その代理で突っ込まれたマンガがこれなんじゃないかと思われますが、にしてもこう久しぶりに客観的評価がとても難しい微妙なマンガが出て来ちゃったなぁという感じに。
 ネット上にはサンデーに掲載されたマンガを全てレビューするサイトが沢山ありますが、彼らがこの作品をどう評価するのか楽しみです。このマンガは、新進気鋭の新人が描いたギャグマンガというよりは、むしろ読者を試す挑戦状の域に達していると思います。うちが評論系サイトでなくて良かったです。

 もう一本の読み切り「ミッションX」は、せっかく絵柄やストーリーをレトロな雰囲気で統一しているんだから、ヒロイン格で登場したビン底眼鏡の橘さんも、よりレトロっぽく最初から最後までダサいままだったら、もっと疎外感が出て良かったのに! と思いました。いやその、物語的には勿論決めシーンで眼鏡外すと美少女が! って展開の方が自然だというのは判っていますが!(わがまま)
 「別に眼鏡をとってもかわいくないぞ! そこがいいんじゃん!」(コミック版「G-ONらいだーす」の後書きより)という小野敏洋先生の言葉を真に受けてくれるマンガ家はいらっしゃらないのでしょうか。

2004/06/29

■シグルイ2巻

封建社会の完成形は、
 少数の祥子さまと多数の祐巳によって構成されるのだ

 そんな感じで、「シグルイ」と「マリア様がみてる」を無理矢理コラボレートする遊びがマイブームな私ですがどうですか(いきなり)。

 「シグルイ」と「マリみて」は全然関連性がないように思われますが、実は双方の作品には「上下関係が厳格に定められた、極めて封建的な世界を作品の舞台にしている」「ほとんど全ての登場人物が『体制の維持こそが絶対である』という思想に支配されている」「体制維持のための象徴的な儀式がある」などの共通点があります。
 つまり、どちらも極度に保守的・封建的な社会システムが作品の根幹をなしている、ということができるのです。

 「シグルイ」とは、『真剣御前試合』を象徴に完成された封建制度の狂気の中で必死で生き抜こうとする侍達の生き様を描いた凄惨なドラマでありますが、「マリみて」もまた「ロザリオの授受」を象徴とした『姉妹の契り』という完成された封建制度の狂気の中で必死で生き抜こうとする少女達の生き様を描いた学園コメディである! と表現することができるのです。多分

入学した時から嫌というほど見てきた。
 姉の仰せとあらば、意志をなくした傀儡(くぐつ)となる妹たち

 「シグルイ」の2巻では、藤木源之助と伊良子清玄の両名による虎眼流の跡目争いが混迷の度を深める様子が描かれていますが、「マリみて」も現在は松平瞳子と細川可南子による祐巳さまの妹の座を巡る争いが激化しつつあります。
 家康を輩出し、江戸幕府の封建制度を支えた松平家と、遠く足利時代に室町幕府の管領として権力を振るった細川家。奇しくも日本の封建時代を代表する名門の名字を冠された二人は、姉妹システムという名の封建制度の中で「祐巳さまの妹」「山百合会幹部」という、システム内での絶対権力の地位を目指して争う人物のネーミングとしては最適なのではないのでしょうか。

 リリアン女学園における絶対権力者である小笠原祥子とも関係があり、生まれながらにシステムに馴染んできた生粋のお嬢様である瞳子か、あるいはシステムをも超越しかねない勢いで暴走する突進力を持った可南子か。いずれは冒頭に出てきた『真剣御前試合』に繋がるであろう「シグルイ」の今後の展開も気になりますが、「マリみて」の今後も同じように気になります。アニメ版の再開も楽しみです。
 不屈の精神を持った乙女は、己に与えられた過酷な運命こそ、かえってその若い闘魂を揺さぶるものなのです。多分

細川可南子は妹(スール)ではない。
 もっとおぞましい何かだ

 …「シグルイ」2巻の感想を簡単に書こうとしたつもりだったのですが、どうしてこんな文章に?
 今ちょっと風邪引いて熱が出てるせいにしていいですか?(と言われても)

 とにかく「シグルイ」は面白いです。封建制度というシステムが内包している狂気を題材にした、まさに残酷無惨な時代劇コミックの傑作。作者の山口貴由氏は圧倒的に緻密な肉体描写と独特の言語センスで一世を風靡した「覚悟のススメ」で有名ですが、「シグルイ」は「覚悟」以上に氏の才能が冴え渡っていると思います。「シグルイ」は、間違いなく山口貴由氏以外には絶対に描くことができない、独特の魅力を持った作品です。

 まあ、「覚悟のススメ」のファンの中で「シグルイ」を読んでいない人がいるとはとても思えないので今更なのですが、どうしても何か読んだ感想を書きたくてこんなエントリを起こしてしまいました。やっぱり、ちょっと熱に浮かされているのかも。

 椎名高志ファンホームページへようこそ(挨拶)。

シグルイ 2 (チャンピオンREDコミックス) シグルイ 2 (チャンピオンREDコミックス)
南條 範夫
秋田書店 / ¥ 580 (2004-06-24)
 
発送可能時間:在庫あり。

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2004/06/25

■サンデー30号の感想はなかった事に。

  1. 「女子高生はやっぱ制服じゃない」(道士郎でござる)
  2. 急展開する美鳥の日々
  3. 急展開するモンキーターン
  4. 急展開するからくりサーカス
  5. 急展開するかってに改蔵

1. 「女子高生はやっぱ制服じゃない」(道士郎でござる)

 女子高生の制服を着てカツラを被ったくらいで制服フェチ気取りとは、まだまだですな先生! そんなだから、ヤンキー生徒に簡単に女装を見破られて「ウハハハ超面白ー!」とバカにされてしまうんですよ先生!
 もし本当に「女子高校生の制服を着て女装するオレの性癖は、ホンモノの域に達しているのだ!」と自覚しているんだったら、スネ毛を全部処理するとか、女性らしい肩のラインを表現するために肩の骨を削るとか、それくらいの気概は見せて欲しいものですな先生! そんなこっちゃ、先生がバカにするブルマフェチとかとレベルが一緒ですよ先生! まだ浅いッスよ先生! 女装をナメるな先生!(鼻息)

 「爽やか道士郎が学園を爽やかに変えていく!」みたいな愉快痛快コメディマンガみたいな好ましい雰囲気になって来つつあるこのマンガですが、あくまでその爽やかさに染まるまいと頑強な抵抗を試みるヤンキーキャラも同時に出して来るのが、やっぱり西森先生のマンガらしくて良いと思います。私はこのマンガ好きだな。

2. 急展開する美鳥の日々

 綾瀬シナリオもついに結末。今回は、「やっぱ思い切って告白して良かったわ」と言う綾瀬の姿が印象的でした。彼女に一番必要だったのは、結局は自分から「好きだ」と言うための勇気だったのだ、という訳ですね。結果的にフラれはしましたが、この経験はこれからの彼女にとって大きな糧になるでしょう。
 そして、綾瀬のこのマンガの中での物語がこれで終了したことで、残るは美鳥だけということに。なんかもう彼女の中では結論は出ているみたいなので、後はその決着を見守るのみであります。

 にしても、「美鳥の日々」がここまでキッチリしたラブコメになるなんて、連載当初は想像もできませんでした。てっきり「葵DESTRUCTION!!」の流れを組むヤバいマンガになるものだとばっかり(失礼)。お見逸れしました。

3. 急展開するモンキーターン

 そんな感じでついにラブコメの決着にまでこぎ着けた「美鳥」とは対照的に、今まさにラブの炎が燃え上がりつつあるのが「モンキーターン」。「好きよ!」「好きだ!」って、そんな「ダンガードA」の歌詞みたいな勢いでいきなり好きとか何とか言ってしまって大丈夫なんですか波多野君!
 波多野の幼なじみで気分はもう本妻の澄や、青島さんの前カレの洞口は、果たしてこのフライング気味な二人の告白劇を知った時にどう動くのか! うわーい面白くなって来たなあ! もしオレが編集者だったら、「恋の第一マークに突入! トップで抜け出すのは誰だ!」とか、そういうベタな煽り文句をベタベタ貼って盛り上げるね!(だいなしです)

4. 急展開するからくりサーカス

 「それが怖いと思われるなら、皆様、15秒差し上げます。
  どうぞ、退場なさってくださいまし

 地獄開始!

 緊張感を極限まで引き延ばした上で、ゾナハ病に侵された百合さんのアップを見開きでドーンと持って来る演出センスは流石です。藤田先生絶好調です。怖いけど楽しみだ。

 参考:デウス・エクス・マキナ(はてなキーワード)

5. 急展開するかってに改蔵

 「からくりサーカス」に登場した「デウス・エクス・マキナ」とは、演劇用語で物語に突然の終末をもたらす機械仕掛けの神のことでありますが、このマンガもなんか「からくり」の余波か何かの影響で、いきなり終末的な展開に突入。
 何故いきなり沼なのか。いきなり頻繁に登場し出した「なかった事に」というキーワードには何の意味があるのか。いきなり登場した秀才塾の目的とは? 『あの扉の向こうにあるもの』とは何なのか?

 このいきなり感あふれる急展開は、往年の「南国アイス」の最終回を思い起こさせます。やっぱり終わってしまうのか。
 というか、この人のマンガって結局みんなこうなのな!

2004/06/23

■光の赤松、闇の久米田

 突然ですが、「ネギま!」なら誰?(挨拶)

 私は朝倉和美さんがお気に入りです。雑多な人間関係が入り乱れる学園生活の中で、独自の客観的な視点を保ちながらも積極的にクラスの中で立ち振る舞うことができる彼女のスタイルは、不器用だった学生時代の私が憧れていた生き方に近いものがあります。同様の理由で、「マリみて」の蔦子さんも好きですね。

 まあ勿論、嫁にするなら本屋ちゃんで決まりな訳ですが!

 そんな感じで(?)、先週発売された「魔法先生ネギま!」の6巻が異様に面白いです。
 「お嬢様とボディーガード」の立場から大きく変化し始める木乃香と刹那の関係を物語の軸に据えた上で、ノンストップかつ高密度で繰り広げられるアクションシーンの数々やら、ネギ達の窮地を察して次々と駆けつけるクラスメート達の大活躍っぷりやら、強力なライバルに対して知恵と勇気で乗り越えようと頑張るネギ少年の雄志やら、凝りに凝った魔法や呪術の描写やら(特にクライマックスにおけるエヴァンジェリンは圧巻)と、最初から最後まで盛りだくさんの内容で心底楽しめました。
 私は通勤電車の中で読んでいたのですが、あまりに集中し過ぎて思わず乗り過ごすところでした(バカ)。

 勿論、これは赤松健先生のマンガなので、おっぱいぽいんとか風呂場でぽいんとかパンストでガン=カタとかそういうサービスシーンも過剰ですし、基本的にやってることはこの手のドラマのお約束に沿ったものなので物語的な目新しさは薄く、別にこれを読んだからといっても頭が良くなるとか人生にとってプラスになるとかそういう要素もあまりないんですけど、でも徹底的にエンターテイメントに徹した作品の作り方には好感が持てます。読んでるだけで楽しく、かつ元気になれる作品であることは確かです。

 あと、要所要所で魔法や呪術の解説を入れ、ソッチ方面への知識欲をかき立てる誌面構成も上手いなと思いました。このマンガのメインターゲットである現役のオタクな中高生男子は、マンガの中に出てくる女の子と同じくらい、オカルトっぽいネタが大好きですからね!
 つうか、もし私が現役の中学生や高校生だったら、このマンガに心底惚れ込んでいたんじゃないかと思います! あぶないあぶない!(手遅れ?)

 それにしても、赤松氏は「ラブひな」の頃と比べても、エンターテナーとしての実力が遙かに上がっているような気がします。正直、「ラブひな」が一番面白かったのは4~7巻くらいまでだったんですけど(笑)、「ネギま」は面白さに底が見えません。なんか来年辺りにアニメになるとかいう噂も聞きますし、まだまだ楽しめそう。
 この調子で行けば、CLAMP大先生に比類する(あるいは凌駕する?)メディアミックス作家として大成する日も、そう遠いことではないでしょう。そういう意味でもこのマンガには期待してます。

 そして赤松健先生といえば久米田康治先生なんですけど、いくつかのブログで『「かってに改蔵」が次巻で打ち切りになる』みたいなコメントを見かけたので、ちょっと不思議に思ってコミックス25巻を確認してみたところ、表紙カバーの折り返し部分には確かに「次号『かってに改蔵』最終巻は…」なんて一文が。あー
 それを踏まえてコミックス25巻の作者コメント「今巻の反省文」を読み直してみると、まあ確かにいつにも増してネガティブな雰囲気な文章書かれてますね先生。このコメントを真に受けた読者から心配されるのも判るような気がします。
 こんなに心配してもらえるなんて、ホント先生はみんなから愛されてるなと思います。

 ただ私の場合、ネットでもコミックスでもやたらネガティブかつ自虐的なコメントを出すのが久米田先生の芸風だと認識しているので、今回の反省文を読み、『最終巻』という単語を見ても、「今回はいつにも増して先生が絶好調だなあ!」とか思いつつニヤニヤしてしまいましたが(ダメ)。『最終巻』という言葉も先生のいつものネタの一環なんじゃないかと思って軽く流してしまうような、そんな心境です。
 個人的には、「改蔵」ってのは本来そういうスタンスで楽しむべきマンガでは? という認識なのですが、でもそれは私がどっか人として大切な何かを間違えてしまっているからなのか。

 でも、もし仮に次巻で最終回となると、実質的にあと1~2話程度で連載を終わらせてしまわないといけない計算になるのですが、その程度の話数でこのマンガの物語を収束することは、果たして可能なのでしょうか。
 ああ、なんか「かってに改蔵」を読むのが怖い。「からくりサーカス」で怖がってる場合じゃなくなって来ました。

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2004/06/20

■「いでじゅう!」が普通に柔道やってると不安になります・サンデー29号感想

  1. 標的指定結界(結界師)
  2. 「絶頂しちゃうよーッ!!!」(MAR)
  3. 告白した綾瀬(美鳥の日々)
  4. 「JASRACは1フレーズ使うのも1曲使うのも同じ値段なので、使えるだけつかってみました」(かってに改蔵)
  5. 乳みせ天使(からくりサーカス)
  6. 番外:「タマ!!!!」

1. 標的指定結界(結界師)

 ここで出てきた「標的指定結界」とは、例えば結界に封じる対象を「水」だけにすることができるとか、そういう芸当のことを指していると解釈することができます。結界の中に封じ込める対象を物理的に指定できるとなると、確かに色々と応用が利きそうです。
 例えば、蓋が堅くて開かないジャムの瓶からジャムだけ抜き出したり、きつくて指から抜けなくなった指輪を抜き出したり、歩いている人からパンツだけ抜き出したりできそう。こんな便利なアイテム、もし王様のアイディアで売り出したりしたら、ンもう大ヒット間違いなしです。「もう霊能と関係ない世界に突入してるな!」とか言われそうですが。

 それにしても、良守の兄の正守さんは21歳にしてはあまりにオッサン臭いと思います。
 説教好きなとこなんか特に。

2. 「絶頂しちゃうよーッ!!!」(MAR)

 一目見ただけで明らかにヤラレ役と判る、人格が崩壊気味してるダメ女が出てきたー!
 オレ、こういうダメな女キャラが大好きなんですよー!(←人生をやり直したいです)

3. 告白した綾瀬(美鳥の日々)

 現代ラブコメマンガでは必須にして最萌な委員長タイプの正統派美少女というアドバンテージを持ちながら、出演したマンガがよりによって「美鳥の日々」なんていう異常なマンガだったばっかりに余計な艱難辛苦を背負う羽目になった綾瀬さんですが、ついにというかようやくというか、勇気を出して沢村に告白するところまでこぎ着けました。
 登場人物が自分の幸せな場所を自分自身で見つけることがこのマンガの最近の話の流れになってますが、果たして綾瀬の幸せは何処にあるのか。彼女はそれを見いだすことはできるのか。そして、綾瀬の決意を聞いた美鳥はどうするのか? 綾瀬にとっての最期にして最大の戦いの行方に期待です。

 それにしても、告白した時のコマの綾瀬のおっぱいは、なんか普段よりも大きくなってませんか?
 この時に備えて鍛えたの?(だいなし)

4. 「JASRACは1フレーズ使うのも1曲使うのも同じ値段なので、使えるだけつかってみました」(かってに改蔵)

 久米田先生の反逆精神の健在ぶりが伺える一節。さすがです

 あと、このマンガの作品内公認カップルは、やっぱりどう考えても砂丹×改蔵だと思いました。
 どっちも狙ってやってるだけにタチが悪いね!

5. 乳みせ天使(からくりサーカス)

 先週に引き続き、『平和』な村の様子の描画に終始した今週の「からくりサーカス」。これからの展開が恐怖と絶望にまみれるのが判っているだけに、菊姉さんを始めとした幸せそうな村の人々の姿を見ても、もはや素直に喜べません。
 というか、これまでの黒賀村での脳天気なエピソードがあったからこそ、先週から今週にかけてのな演出が生きてくる訳ですよね。これが、読者にトラウマを植え付けるのが大好きな富士鷹ジュビロ先生(まちがい)の本領なのか! と、つくづく思わせて頂きました。

 そして、一番最後のページに出てきた、天使とおぼしき女性の姿にも注目。理由はよくわかりませんが、なんかおっぱい出してますよこの人。
 これって、単なる読者サービスなのか。それとも、おっぱいを「安らぎ」の象徴として表現した、深遠なメタファーを伴った演出の一環なのか。あるいは、迫り来る恐怖を前に、ここで乳みせ天使に萌えておけとでもいうのか! これって、もしかしたら「かってに改蔵」で言うところの『ラヴと恐怖は比例する』効果を狙ったものなのか! こわいようこわいよう! おっぱいがこわいよう!
 おっぱいがいっぱい! おっぱいがいっぱい! うれしいなさわりたい!(フェードアウト)

番外:「タマ!!!!」

 編集部と執筆陣の間で「一番人気が出た作品を連載化する!」みたいな確約がなされているに違いない今回の読み切りシリーズ、第三弾は小山愛子氏の登場です。
 小山愛子氏は、これまでサンデー超増刊を中心に何度も作品を発表していることで、サンデーマニアの間では割と名を知られた存在。「小山愛子」の名前を知っているかどうかが、サンデーマニアかそうでないかの分かれ目なのだ! と申しても過言ではありますまい(過言では?)。

 それで今回の「タマ!!!!」ですが、個人的には最後のオチの部分が気に入りました。主人公のタマ少年は、このお話の中で後にテニス界を揺るがすことになるであろう凄いことを成し遂げているんですけど、本人にはその自覚が全くないまま、最後は彼の愛する「昆虫採集」の世界に再び戻って行きます。
 テニスの試合の中で、彼は「登れなかった高さのフェンスに登れるようになる」「速い動きで動く球を捉えられるようになる」等の著しい成長を遂げているのですが、成長できた理由が(今回の敵役の神月を倒すためというよりは)トンボを捕まえるために必要だからっぽいところが面白いところ。主人公のタマ少年にとっては、まだテニスをやるよりもトンボを追いかけている方が遙かに充実した時を過ごすことができるのだ、ということなのでしょう。

 周囲の騒ぎをまったく意に介さず、己の世界に没入する主人公の一途な姿には、ある種の清々しさを感じました。世間はどうあれ、子供のうちは己の好きなことを追い求めることこそが一番大事なのだ! ということを、タマ少年は身をもって証明しているのではないのでしょうか。
 世間よりも趣味! オタクとはかくありたいものですね!(←そういうマンガじゃないよ)

2004/06/15

■絶対可憐チルドレン集中連載決定

 皆様既にご存じだとは思いますが、椎名先生のサイトで正式に発表がありました。
 「絶対可憐チルドレン」が、8/29発売の週刊少年サンデー39号から4週に渡って集中連載されることが決定した模様です!

 正式な連載ではないというところだけはちょっと残念ですけど、どんな形にしろ再び「絶対可憐チルドレン」が、そして椎名高志先生の連載が読めるのは、たいへんに嬉しいです。
 総ページ数が145Pということは、超増刊に掲載された読み切り版と併せてコミックス化するのに丁度いい分量ですしね! この短期連載で人気が出れば、正式な週刊連載に格上げされるかもしれない、という期待も持てますしね!
 夢(というか妄想)が広がります!

 ここまで待遇の良い条件で掲載が決まったのは、やっぱりそれだけ「絶対可憐チルドレン」の読み切りや「GSホームズ極楽大作戦!!」に反響があったからなんじゃないかと思います。コミックスを買ったり「絶チル」の感想をサンデー編集部に出したりしたファンの方々の努力がついに実を結んだとも言える訳で、そういった意味でも今回の連載化は嬉しいですよ。
 やったぜみんな!

 そんな訳で、「絶対可憐チルドレン」には本気で期待しています。
 人気出るといいなあ。

 あと田中保左奈先生の「暗号名はBF」(コミックス1巻は6/18発売)の初版発行部数の少なさについても書いてありましたが、あれはコミックスの買い逃しが特技な自分に対する、小学館からの挑戦であると理解しました。
 これって、オレが発売初日に1巻を買い逃したコミックスは必ずメガヒットする(最近の例:美鳥の日々、無敵看板娘、エマ)という、変なジンクスを知っての判断なのか! オレに1巻を買わせないつもりだな! くそうくそう!(←自意識過剰です)

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