2004/05/11
■「武装錬金」は歴史に残ると思った
「武装錬金」の掲載位置が上がってる!(挨拶)
ジャンプでの掲載位置に関わらず、ここ最近の「武装錬金」の盛り上がり方はスゲエです。特に今週は超スゲエ。
第一話をリフレインするかのような、「妹を助ける」というシチュエーションの再来!
第一話と変わらないカズキの信念! 変わってしまったカズキの姿の中に変わらないものを見出し、兄を信頼するまひろ!
カズキと斗貴子が「味方」であることを生徒達に認めさせるために行動した友人一同!
それに呼応し、自ら戦おうと立ち上がったクラスメート達!
モザイクがかかるくらいグロいプロセスを経て、合体して巨大化する敵ホムンクルス!
それを一撃で破壊するカズキ!
強い! 強過ぎる! 斗貴子さんもビックリだ!
そしてついにみんなのアイドル・パピヨン蝶野が登場! どうなるのこれから、ってところでエンド!
うわーい何だこの面白さ! この密度の濃さ! 泣ける! 超泣けるよ!
ただ、この密度の濃い面白さをもたらした最大の要因が「連載がもうすぐ終了するので、限られた話数でこの作品が描きたかったことを全て表現しようとしている
」ところにあるとしか思えないってのが、何とも皮肉というかせつないと言うか何というか。
せっぱ詰まった状況だからこそマンガが面白くなることもある、という感覚をジャンプで味わったのは「バオー来訪者」以来のような気がします。
パピヨン蝶野の変態ぶりや斗貴子さんのブチマケっぷりなどのおもしろおかしな要素が話題になりがちな「武装錬金」ですが、というか私もこれまで喜んでそういうことをネタにして来たのでアレなんですが、この作品の本質はあくまで主人公のカズキの真っ直ぐな信念を「武装錬金」という存在を通じて表現することにある、と私は思っています。斗貴子や蝶野の存在は、むしろカズキの「信念」を表現するための視点を読者に提供する、パートナーとしての役割を果たしているのです。
何か表現したいテーマがあり、それを表現するために数々のキャラクターやその関係性が構築されている――という意味において、この作品はとてもよく設定が練られていると思います。作品の土台が安定しているので、蝶野やブラボーやムーンフェイスといった度を超えた変態達が大暴れしようが、ちゃんと物語が破綻せずに成立しているのではないのでしょうか。
そして現在の展開は、その「テーマ」がかなり明確に表現されています。ここに来てテーマ性を明確に打ち出して来たのは、やっぱりこの物語がいよいよ終盤に差し掛かってきた証拠なんだろうな、と思う次第です。
「武装錬金」はジャンプの連載作品としてはイマイチ成功しなかった作品かも知れませんが、「良質な少年マンガ」として後世に語られるようなタイプの作品になりそうな気がします。「るろうに剣心」とは違った意味で、和月先生の代表作になりそうな、そんな感じ。
…と、こんなことを書いておきながら連載が終わらなかったらどうしよう(笑)。
ガンバレ和月先生!(←フォロー)
□
あと今週のジャンプでツボにハマったのが「ゲドー」の機関銃眼。
このくだらなさが最高。もちろん誉めてます。
2004/04/29
■2年前の今頃「一番湯のカナタ」の連載が始まったんですよ・サンデー22/23号感想
- 「凄く勘違いしてたからなー。日本について」(道士郎でござる)
- 最後の一つ前のページのびっくり顔ゾフィス(金色のガッシュ!!)
- ブルマ姿で四股を踏む女子(史上最強の弟子ケンイチ)
- ゴキブリ(結界師)
- 「『美鳥の日々』原寸大フィギィア サンデーグッズショップにて好評販売中!」(美鳥の日々)
- 番外:グッバイノストラダムス
□
1. 「凄く勘違いしてたからなー。日本について」(道士郎でござる)
椎名高志先生の復帰時期にばかり気を取られ、西森博之先生が復活する可能性を失念していた人?(挨拶)
つう感じで、西森先生の新連載「道士郎でござる」が始まりました。
よくわかっていない外国人がイメージしているちょっとズレた「日本」の姿を、日本人が客観的な視点で面白がるスタイルの有効性は「キル・ビル」が改めて証明しましたが、その方法論をマンガに持ち込んできたなぁという印象。
前作「天使な小生意気」でも、更にその前作「今日から俺は!」でも、一貫して「オトコの格好良さ」をテーマとして描いて来た西森先生は、今回の「道士郎でござる」でもまたその路線を志向しているしているように思えます。
「天使」では『オトコから最も離れた場所にいる美少女を通して、逆説的にオトコの格好良さを描く』というジェンダーギャップな視点が独特の面白さに繋がっていましたが、今度は『最もオトコらしいんだけど、現代の常識からは最も外れた場所にいる
』サムライを主人公にする、カルチャーギャップな設定を持ち込んで来ました。
これをどう作品固有の面白さに繋げていくのか、今やベテランの域に達した西森氏の手腕に注目したいところ。
もっとも、第一話からヤンキーと主人公をケンカさせてる辺りは結局やってることがいつもの西森マンガと一緒みたいなので、例によって例の如く「サンデー随一のヤンキーエンターテイメントコミック」として気軽に読めるマンガになるんじゃないんでしょうか。
ホント、西森先生の描く悪役ヤンキーって、とことん性根が曲がってるように見えるんですよねー(賞賛の言葉)
2. 最後の一つ前のページのびっくり顔ゾフィス(金色のガッシュ!!)
ゾフィスって、こんなオモロい表情ができる子だったんだ! 新しい発見!
これなら、仮にブラゴに負けてもギャグキャラとして十分やって行けますよ!(いけません)
その一方、シェリーはココの本性はあくまで善であると信じた結果、ついに心の中で泣いているココの姿を見出し、自分の心の力を取り戻した模様。少年マンガの王道を行く「ガッシュ」らしい、実に清々しい展開となってまいりました。
そんなひたむきなシェリーを見ていると、「ココの性根はどこまでもひねくれてなくちゃダメなんだよ!
」と邪な期待を抱き続けている自分は、少年マンガを語る資格などないのだと思いました。
3. ブルマ姿で四股を踏む女子(史上最強の弟子ケンイチ)
そんな邪な私のハートをガッチリキャッチしたのが、「ケンイチ」のトールが抱いている野望を描いたこの一コマ。
何だかよく判らないけど、ブルマを履いたロリっぽい少女達が、公園の土俵で四股踏みをしてますよ! なんですかこの異様にマニアックな野望は!
嗚呼、トール君! 君はそれでも本当に神聖なる土俵で戦う力士なのですかトール君! こんなブルマフェチの悪い妄想みたいな、どう考えてもおかしい非日常的光景を日常とするためだけに、君は毎日鋼鉄のリングの中で、善も悪も関係なしに戦っているというのか!
良し! その心意気や良し!
己の信念を貫くためなら、世界だって敵に回してこそ真の男!
トール君! ブルマ相撲を否定するこの世界の全てと戦え!
ダメそう(オレが)。
4. ゴキブリ(結界師)
ゴキブリ
家の中や付近に住む昆虫。時々飛ぶ。
ゴキブリの特性をキャプション付きで紹介! 扱いが妖怪と一緒だ!
このマンガの世界観だと、ゴキブリも立派な妖怪の仲間入りなのですね!(まちがい)
今回は普段とは違ってコメディなお話でしたが、なんか話だけじゃなくて絵柄の雰囲気までコメディタッチというか、普段の線が細くて凛々しいタッチとは違った、丸みを帯びた絵柄で意図的に描いているような感じがしました。勿論、それが今回のエピソードの雰囲気作りに功を奏しています。
作者の田辺イエロウ先生は色々と器用なことができる人だなぁと、改めて感心した次第。
というか、こういうマンガ読むと、やっぱり少年マンガはいいよなって思えるよな! ブルマ少女の四股踏みに萌えるよりも、風呂上がりのお姉さんにときめく方が遙かに健全なのだという、人として最も大切なことを思い出させてくれるよ!
そんな感じでダメだった自分を回復することに成功(単純)。
5. 「『美鳥の日々』原寸大フィギィア サンデーグッズショップにて好評販売中!」(美鳥の日々)
しかし、現実には売るモノが無く、早くも開店休業状態になっている罠。
「27日に再び販売する」とか言ってましたが、結局はどうやら初日で全部売り切れてしまい、再販する分が残らなかったということみたいです。まるでコミケの大手サークル発行の部数限定同人誌みたいな売れ方です。発売直後にも関わらず、ヤフオクに多数出展されている辺りも同人誌みたいです。
アニメ版がオタク筋で好評の「美鳥の日々」のフィギュアを安値かつ数量限定で発売、しかもオーダーは実質的に早い者勝ちで受付となれば、こうなることはもはや必然だったと言えましょう。雑誌に載っている広告も、今ではただむなしさを感じさせるばかりであります。
あとマンガ本編の方ですが、こちらは土壇場で綾瀬が勝負から降りてしまってまた元の木阿弥になってしまうという、週刊少年誌に掲載されるラブコメマンガの展開としては正しいけれど、でも一人の恋する女の子の行動としては激しく間違っている結末になってしまいました。
結局このマンガはそういうマンガなのな、ということを再認識させられる結果に。
先週から今週にかけての「カレに告白しちゃった! いやんどうしよう~
」モードに突入していた綾瀬はやたら可愛らしかったので、個人的にはもうしばらくこのままでいて欲しかったです。綾瀬は相変わらず報われないキャラだなぁ。
番外:グッバイノストラダムス
単に「占い師が嫌い」というだけで、何の罪もない辻占い師に暴行する主人公!
怒髪天を付く奇抜なスタイルで「占い」という名の詐欺を働くメガネ男!
自分の思い出だった土地を取り戻す、という目的のためなら手段を選ばない女子高校生!
飛び交うヤクザ!
すごいよ! 性格がマトモなキャラがほとんどいないよ!
「元高校ボクシングチャンピオン」のならず者が主人公のマンガを、巨匠・あだち充先生が描く爽やか高校ボクシングマンガの「KATSU!!」の直後に配置する誌面構成も、何だか妙にアグレッシヴだ!
2004年の今になって、あえて1999年のノストラダムスをネタに使うのも、よく考えるとちょっとすごい!
なんてスパルタンかつストロンゲストなマンガなんだ!
「マーベラス」「ダイキチ」で艱難辛苦を味わったであろう武村先生の戦う姿勢が漂ってくる、色々な意味で印象的な作品だと思いました。こんな攻撃的なマンガを描ける人だったとは、正直意外です。
がんばって下さい。
2004/04/23
■「もみあげキャプテン」肯定派・サンデー21号感想
- 落とし穴にハマった時の灰原(名探偵コナン)
- ココ(金色のガッシュ!!)
- 綾瀬貴子(美鳥の日々)
- 國生春菜(こわしや我門)
- 豹変したミハイル(D-LIVE!!)
□
1. 落とし穴にハマった時の灰原(名探偵コナン)
他の子供達が「しまった!」という表情をしているのに、彼女だけはどちらかというと「あーあ」「やれやれ」系に属する、妙に達観した諦めの境地の表情だったのが、とても彼女らしくて良いと思いました。
これでこそ灰原さんだ!
でも、次のコマでは割と普通に怖がりながら穴に落ちているのが残念。
もっとがんばれ灰原さん!(勝手)
2. ココ(金色のガッシュ!!)
「シェリー、あなた、私が本当にゾフィスに心を操られていると思ってるの?
」
「今の私が、本当の私の姿なの
」
「しょせんはお金持ちのお嬢様に、貧しい人間の心なんて判らないのよ!
」
やっぱりそれがキミの本当の姿!
ココには元々、根性曲がりとしての資質があったんだよ! オレの思った通りだ!
ココさいこうー!(こういう楽しみ方は人として最低です)
何にしろ、ココはシェリーとの身分の違いに激しく負い目を感じていたことは確かな模様。
今となっては懐かしい「明日のナージャ」のナージャとローズマリーもこの二人と似たような関係でしたけど、結局ナージャは「貧困から抜け出して貴族の娘になるためなら何だってやる」という強い意志の元に行動するローズマリーを、最後まで言葉で諭すことはできませんでした。いくら富める者がそうでない者に手を差し伸べようとも、そうでない者にもプライドがある以上、そう簡単にその手を取ることはできないものなのかも知れません。
ローズマリーは最後の最後で無い物ねだりを止め、「私は私のお城をみつけるわ!
」と自分の生きる道を見いだす決意をすることによってようやく自分自身を救うことに成功しましたが、果たしてココはどうなのか。彼女の救いの道はどこにあるのか?
その一方、今のシェリーが(ココが批難しているような)単なる「金持ちのお嬢様」の身分を捨て、自分の運命と戦う生き方を手に入れることができたのは、パートナーのブラゴの存在が大きいことを忘れてはいけません。
ココのパートナーであるゾフィスは彼女の根性曲がりの性格を見出して己の力とすることに成功しましたが、ブラゴの場合はシェリーの中に「自分自身の力で戦う覚悟」を植え付けて己の力にした、という点で大きく異なります。
ココとシェリーの戦いの鍵は、最終的には双方のパートナーが握っているのではないかと思います。
3. 綾瀬貴子(美鳥の日々)
ついに綾瀬がセイジに告白を! うわーいどうなっちゃうのこれから!
…と、素直に喜ぶのが本来のこのマンガの楽しみ方だと思うのですが、しかし先週ルーシィがリストラされたばかりであるということを考えると、なんかちょっと不安な気持ちに。
まさかルーシィに続いて、綾瀬までリストラの対象に!?
もしかしたら、『美鳥の日々』も「アニメが終了する頃を見計らって連載も終了」するパターンなのか?
あと「美鳥の日々」と言えば、サンデーのグッズショップで等身大美鳥フィギィアを数量限定で売り出したのはいいけど、注文が殺到して文字通りサイトが瞬殺されてしまったことで話題になってましたね。
一応27日に注文を再開するみたいなことは書いてありましたが、果たしてどうなることやら。
あと念のため一応言っておきますが、ボクはこのフィギィアは注文してませんよ! ホントですよ! 信じて下さいよ! だってこのフィギィア、こっちに向かってファイティングポーズを取ってるように見えるじゃないですか! かわいい顔して殺る気まんまんなんですよ! 怖いじゃないですか! 左手のガードがちょっと下がっているように見えるのが、またくせ者なんですよ! わざと隙を見せておいて、つられて手を出そうとすると待ちかまえていた右がカウンターで飛んで来るんですよ! 美鳥必殺の右フックで、文字通り瞬殺されてしまいますよ! 美鳥はヤる時はヤる女性ですよ! コミックス6巻の裏表紙で両手にボクシングのグローブ付けて構えているのが、その何よりの証拠ですよ! 美鳥ちゃんはカワイイ顔してスゴイんですよ! こわいこわい! 美鳥フィギィアがこわいよう! こんなの右手に付けたら悶絶しちゃうよう! ボクを怖がらせるなら、断然美鳥フィギィアがオススメですよ! だれか譲って下さい!(オチ)
4. 國生春菜(こわしや我門)
今週は國生さんと我門君の日常を描いたインターミッション的な物語でしたが、今回のお話の國生さんの行動を四字熟語で表現するとアレですね。「女房気取」ということになると思いますね。
旦那のことが心配で、ついつい余計な世話を焼いてしまう彼女。いじらしくて可愛いじゃないですか。我聞君は人が良いというか頼まれるとイヤとは言えないというか、圧倒的に騙されやすくて人生損するタイプなので、國生さんのような融通効かないしっかり者が側にいてやらないとダメなんじゃないかと思えてきました。
二人で勝手に幸せになって下さい。(何をひがんでるんですか?)
5. 豹変したミハイル(D-LIVE!!)
自分が読んだ時は「今回はこういうオチなのかー」と普通に感心した程度だったのですが、なんか2ちゃんねるの801板では「待望の攻めキャラが出たー!」とかそういう喜び方をしているコメントがあって興味深かったです。
同様の理由で、「暗号名はBF」の新キャラも好評だった模様。何だか楽しそうで羨ましいです。
この世で一番少年漫画誌を愉しんで読んでいるのは、いわゆる腐女子の皆様なんじゃないかと思う今日この頃。
2004/04/20
■ルシオラがまだ死んでないワイド版17巻
ワイド版最新巻の表紙はルシオラでしたね!
とか、微妙に時期を外したことを言いながらこんにちは。
本来ブログというメディアは速報性が売りなはずなのですが、今のところ「更新が楽になるツール」としか使ってないのでアレです。深沢です(挨拶)。
□
で、ワイド版17巻の見所は、勿論そのルシオラを軸として物語がラブにコメって行くところにあります。ルシオラというキャラを横島に惚れさせる方向に話の舵を切る路線変更が大当たりし、読者も(おそらく作者も)ノリにノッていたのがこの頃。この辺がアシュ編で一番面白いところだと思います。
そんな中で物議を醸してこのサイトでも大騒ぎになったのが、「甘い生活!!」(その4)のエピソード。横島がルシオラと初めてキスをした思い出の場面を、よりによって「美神令子とのキス」に差し替える夢を見ていた! というシーンが登場、横島×ルシオラ路線を支持していた多くの読者から反感を買う結果となりました。当時のログはここから読めます。
もっとも、今ワイド版でまとめて読んでみれば、ちゃんと前の方で横島と美神の結びつきの強さを読者に再認識させるエピソードを提示しているのが判りますし(「GSの一番長い日!!」のその6・9など)、それより何よりコミックス二十数巻分に渡って積み重ねてきた二人の関係を考慮すれば、やっぱり「心の底では横島は美神のことを想っている」ことは読者も納得できるだろう――と、作者は考えていたんじゃないかと思われます。
が、結果的にはこれが逆に「作者はどうあってもルシオラを不幸な目に遭わせるつもりではないか」と、疑心暗鬼を抱かせるきっかけになってしまったような気がします。
この時既に熱心なファン達は、この作品の基本形態であるところの美神・横島コンビの関係よりも横島とルシオラの心の絆の方がより強い、横島はルシオラと結ばれるのが相応しい――と、真剣に想い始めるようになっていたのではないでしょうか。それだけの魅力が、ルシオラというキャラにはあったのです。
この辺のエピソードの中には、「彼女のいる横島なんか横島じゃないとかと手紙でぬかすかーッ!
」なんて暗に読者の意見を作者が揶揄するような台詞が出てきますけど、実際作者もファンからの声の強さに戸惑っていたのかも知れません。
□
あと話は変わりますが、改めて読んでみてつくづく思ったことがあります。ベスパはいい娘です。
この巻で彼女は主人であり創造主であるアシュタロスに対する想いを露わにし、ルシオラ達と戦う覚悟を決めるのですが、でも彼女の思い人であるアシュ様は、今考えてみれば分の悪いギャンブルに全てを賭けちゃう破滅型の性格が災いして負け犬人生まっしぐらで将来性皆無なダメ人間だと思うんですけど、そんなダメな男に甲斐甲斐しく尽くすベスパの姿は、哀れを通り越してもはや感動の域に達しています。
直情的に行動して一時の幸福を手にしたけど結果的に身を滅ぼしたルシオラの生き方と、結局幸福にはなれなかったけど最後まで恋人に尽くして彼の最期を看取ったベスパの生き方。コミックの方ではいずれ己の愛と信念を賭けて戦うことになる二人ですが、どちらも自分の恋に対して正直な態度を取ったという意味では、結局似たもの同士だったのかも知れません。惚れた男がダメ人間なところも似ていますしね。
ルシオラの悲劇性ばかりが取りざたされ気味なアシュ編ですが、ベスパもルシオラと同じくらいの悲しみを背負っていたのだということを忘れてはいけないと思いました。
連載から約5年、この歳になってようやく判る、本当の女の魅力。
私も、ベスパみたいにおっぱいが大きい女性が素敵だと思えるようになりましたよ(おっぱい?)。
2004/04/16
■アニメ版「ガッシュ」のパティの可愛らしさに悶絶・サンデー20号感想
- ココ登場(金色のガッシュ!!)
- 赤野登場(ダンドーネクストジェネレーション)
- 岬退場(KATSU!!)
- ルーシィ退場(美鳥の日々)
- 十五郎退場(怪奇千万! 十五郎)
- 番外:今週のワイルドライフ
□
1. ココ登場(金色のガッシュ!!)
何度も申し上げているように、私は根性が曲がった女性キャラが大好きなので、勿論ココは大好きなキャラです。「ガッシュ」に登場する人間の女性キャラの中では一番好きかも。
シェリーの立場から見ればココはゾフィスに心を惑わされた犠牲者ということになるのでしょうけど、もしかしたらココには元々そういう素質があったんじゃ? と思ってしまうくらい、彼女は今の境遇を愉しんでいるように見えます。そうじゃないと、あんなエロい服はそうそう着こなせません。この話がアニメになるのが今から楽しみです。
それにしても、出会い頭に「ボンジュール」とはさすがです。日本語に訳すと「ごきげんよう」ですよお姉さま。根性が曲がっていてよ?(何)
2. 赤野登場(ダンドーネクストジェネレーション)
拓さん出たーー(゚∀゚)ーー!
ダンドー得意の抱きつき出たーー(゚∀゚)ーー!
そして、「ダンドー」名物の性格の悪い悪役も、新しいのが更に出てきたーー(゚∀゚)ーー!
タイトルは「ネクストジェネレーション」なはずなのに、内容がどんどんいつもの「DAN DOH!!」に戻っていくよ! これでいいのか!
これでいいのだ!(続く)
3. 岬退場(KATSU!!)
岬と活樹が決勝戦で対戦! ボクシングのことも恋のことも、ハッキリ白黒つけようぜ! って展開になると誰もが思っていたこのマンガですが、ここに来て唐突に岬クンが明らかに不自然な事故に巻き込まれてリタイアしてしまいました。
やっぱり、そう簡単には決着を付けさせてもらえないようです。
「決戦前に恋のライバルが不慮の事故に遭う」という展開は、「タッチ」や「ラフ」でも出てきた、言うなればあだち充先生の十八番。今ひとつ煮え切らないまま微妙なバランスが保たれていた彼らの関係が、この事件を境に急激に変化するのはもはや確実です。いよいよ、あだち充先生がその本性を現し始めたと見るべきでしょう。
このタイミングでライバルを潰すなんてヒドイ! と思っていまいがちですが、でもこれはあだち充のマンガなので、ここはむしろ「タッチ」の和也みたいに死なずに済んで良かったね! と安堵するべき。ここからが本当のあだちマンガの始まりなのです。あだち充先生が80年代から延々と繰り返してきた永遠のドラマが、今再び蘇る時がやって来たのです。ヤバイ。あだちヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
とにかく貴様ら、あだち充先生のヤバさをもっと知るべきだと思います。
4. ルーシィ退場(美鳥の日々)
嵐のような女だったな…(ルーシィの笑顔が大写しになった青空をバックに)
「別れは決して不幸ではない」という教訓を美鳥の心に刻み、ルーシィはアメリカに帰って行きました。
寝ぼけただけであれだけ殺意に満ちた目つきができるんだったら、きっと彼女はこれからの人生も幸せにやっていけると思います。勿論、根拠はないですが。
その一方で、今回の一件は美鳥の心の中にも楔を打ち込む効果があった模様。
美鳥がセイジの右手から離れる決心をする日も近いのか?
5. 十五郎退場(十五郎)
そして、「ライジングサン」「旋風の橘」に続くサンデーの問題作「怪奇千万! 十五郎」も、結局わずか17週で最終回を迎えることになってしまいました。
この作品に対する評価は、「駒木博士の社会学講座」さんが第一話掲載時に述べた「『こんなマンガ、よく載せたな』というのが実感」というコメントが全てでしょう。終盤は違う意味で面白くなったとは言え、連載作品としてはあまりに酷い内容でした。
それにしても、「十五郎」の作者の川久保氏は約2年以上前から「十五郎」の名前を冠した作品を超増刊などに掲載してきたのですが、その成果が結局コレというのも、何だか辛いモノがあります。氏の作品が抱える問題点は既に超増刊時代から判っていたんじゃないかと思うんですけど、実際こんなことになってしまう前に手を打つことはできなかったのでしょうか。
「十五郎」の失敗は、ある意味サンデーの新人作家育成システムの失敗と言っても過言ではないのかも知れません。
番外:今週のワイルドライフ
「大人気! 大増22ページ!
」と扉で煽られていた今週の「ワイルドライフ」ですが、やってることは安全な食肉の見分け方と偽装表示をする小売業者に対する攻撃だけ。もはや、色々な意味で少年マンガの枠を越えてしまっています。
前に「ジャぱん」がいきなり大麻について滔々と語り始めた時にもビビりましたが、あちらはまだ「黒柳と河内のボケツッコミトーク」の範疇に収まっていましたし、今後の展開に対する伏線としても機能しているという点で、ちゃんと「マンガ」として成立していました。
しかし今週の「ワイルドライフ」は、「国産牛と輸入牛の見分け方」とか「天然モノと養殖モノの見分け方」とか、確かに勉強にはなるけど別に今あえてこのマンガでやる必要がまったくない上、何もこんなことマンガでやる必要性すらないじゃん? 「ためしてガッテン」とかの情報バラエティ番組でやるべき内容じゃん? と思わざるを得ないような内容に終始。これはいったい何なのでしょう。
扉のアオリには「新章突入!」と書いてありましたけど、もしかして今週の話は次回以降の伏線になっているのか。次週からフードバトル編に突入なのか。
つうか、偽装表示をする小売を叩きたいんだったら、それを単にストレートに表現するんじゃなくて、ちゃんと起承転結のストーリーを持った「マンガ」で表現しろよ! マンガ家の武器は「『マンガ』を媒体に自分の思考を表現できる
」ことなんじゃないのかYO! と思ってしまいました。
いったい藤崎先生は今、何と戦っているのか。そして今、サンデーで何が起こっているのか?
謎が謎を呼ぶまま、次号へ続きます。
2004/04/09
■祝! 「十五郎」コミックス1巻発売決定! 記念・サンデー19号感想
- 夜這いルーシィ(美鳥の日々)
- 「ローマンスター社会長! ルチオ・フルチ氏です!」(ダンドーネクストジェネレーション)
- 「しっかり決めろ。」と言った良守(結界師)
- P.323のなつめの妄想(暗号名はBF)
- 犬ちゃん
- 番外:國生さん足払い(こわしや我門)
1. 夜這いルーシィ(美鳥の日々)
とりあえず、「美鳥の日々」のアニメ第一話は期待通りの面白さでした。原作の面白さを活かす方向にアレンジが加えられており、感触は極めて良好。今後への期待がムクムク湧いてきます。
このアニメのためにハイブリッドレコーダーを買った甲斐がありましたよ! アニメ版の制作に関わってる皆様、本当にありがとう!
DVDが出たら、勿論購入して行く所存です!(二重投資)
それでマンガの方ですが、栞やカマキリ夫人に引き続き、いよいよルーシィまでもが表舞台から退場しかねない事態に。キャラとしてはとても魅力的なのにも関わらず、いま一つ活躍の場を与えられず「にぎやかし」的なポジションから抜け出せなかった彼女ですが、最後に一花咲かせることはできるのか?(最後?)
というか、今週の最後のコマのセイジを見つめるルーシィの目は本気で怖いです。あれはもはや恋する乙女の目ではなく、むしろ暗殺者の目に近いです。己の感情を押し殺して任務を遂行しようとする、その筋のプロの目です。何が彼女をそこまで追いつめたのか!
これは間違いなく、次回は血を見ますよ! ラブオアダイ! オアダイ!
ホントこのマンガは異常だなぁ!
そこがいいんだけどな!(末期)
2. 「ローマンスター社会長! ルチオ・フルチ氏です!」(ダンドーネクストジェネレーション)
理不尽な敵キャラ出たーー(゚∀゚)ーー !
「DAN DOH!!」名物・如何にも性根が歪んでいそうな悪のオヤジキャラが、早くも登場してしまいました!
ダンドーの前に立ちはだかるのは、いつだって悪辣で根性が曲がったオヤジキャラ!
そのオヤジに全身全霊をもって立ち向かい、全身がズタボロになるまで戦うダンドー!
極限状態のダンドーから立ち昇るカタルシスウェーブが、オヤジのハートを直撃よ!
やっぱりこのマンガは、こうでなくてはいけませんよね!
問題は、新シリーズでもこんなコッテコテな展開を望んでいる読者が、世の中にどのくらいいるのかという点だったりするんですが(冷静に)。
3. 「しっかり決めろ。」と言った良守(結界師)
先週辺りから、良守のキャラがちょっと凛々しくなったというか、強気の方向に変わって来てます。受けか攻めかで区別すれば「攻め」の方。例え相手がどんなに強大でも、時音や斑尾を守るためには絶対負けられないという気持ちが彼を強くした、と解釈するのが少年誌的には正しい姿勢だとは思うのですが、でもどっちかというと受けか攻めかという同人誌的な観点で解釈した方が遙かに面白いので、私の中では良守は極限状態になると攻めキャラに豹変する性格の持ち主ということにして行きたい。
これで後は、彼の攻め傾向を全身で受け止めることができる、「MISTERジパング」で言うところの信長に対する日吉みたいなキャラさえいればもう(以下略)。今後の楽しみがまた一つ増えました。
4. P.323のなつめの妄想(暗号名はBF)
個人的には大きなお姉さん×いたいけな少年の組み合わせは相当ツボなのですが、世間的にはどうなんだろう。小学館じゃなくて松文館のコミックスだったら、そういう話が沢山ありそうなんですけど(結局エロかよ)。
あと、今回はなつめメインのお話なためか、今回のターゲットである会社社長のお姉さんが妙に情けなく描写されているのも良いです。初登場時から頬を染めてる辺り、この人最初からやる気満々な様子。これなら、「誘う目」なしでも籠絡できそう。まるでサラリーマン向けエロ劇画に出てきそうなキャラだと思った。
世の美人社長がみんなこんなんだったら、サラリーマン稼業も楽なのにな! がんばれ大将!
5. 犬ちゃん
今週はレギュラー連載が三本も揃って休載したため、その穴埋めとして掲載されたっぽい読み切りマンガがコレなのですが、ぶっちゃけこれものすげえ面白くないですか? オレは最高に面白いと思います。
絵柄の雰囲気といい設定といいどっかしら抜けている(頭が)男の子や女の子のキャラといい、「癒やし系」と言えばそうなるんだけどでもこれ絶対癒やしじゃねぇだろう! と突っ込みたくなるような不条理感がたまりません。一見すると単なるほのぼのマンガのように見えますけど、実は作者の絶妙なバランス感覚によってギリギリのところで「ほのぼの」が成立している、かなりハイブロウなギャグマンガなんじゃないかと思いました。このセンスは誉めてやらないといけません。
なんか、久しぶりにサンデーで世間に通用する現代オタク的なセンスを持った新人作家を見た感じがします。
作者の河北タケシ氏の今後の成長が楽しみ。
番外:國生さん足払い(こわしや我門)
格好良かったのでメモ。
咄嗟の時に足払いを繰り出せる女性と結婚したい。(末期)
2004/04/07
■今期のジャンプ打ち切りサバイバルは熱そうだ(巻末の「シャーマンキング」を読みながら)
「むーん?」(挨拶)
真ブラボー拳を食らって吹き飛ぶときもダンディなポーズでキメることを忘れない、ジェントリズム溢れる本物の紳士・ムーンフェイス様を応援していきたい当サイトへようこそ。
それにしても「武装錬金」のキャラ達は、事あるごとに印象的な、というかとにかく変なポーズを取ってるのがホント面白いです。多分、この作品では作者が意図的にそういうキャラ描写を徹底して行っているのではないかと思います(パピヨン蝶野が覚醒してからは特にその傾向が強い)。
個人的に、これには歌舞伎で言うところの「見得」に近いセンスを感じます。舞台の上で役者が目を見開いて決めポーズを取ったまま停止して見得を切り、ツケがちょみーんちょみーんと鳴り、客席からは「よっ、成駒屋ぁ!」と大向こうが掛かる場面を切り出して絵にしたような、そういう感じです。この説明で判ってもらえてるかどうか不安ですが。つまりは、形式美的な面白さですね。
同様に、やたら背中を向けてポーズを取る演技めいたカットが多いのも、「見得」の効果を狙ってのことだと思います。背中に人生を!
そういやこの前オペラを見に行く機会があったんですけど、歌手が一曲歌い終わってポーズ(これもある種の見得)を取った途端に、客席から拍手と共に「ブラボー!
」と声援が上がっていたのが印象的でした。ブラボーですよブラボー。「ブラボー!」ってこういう時に使う言葉だったんだ! と感動してしまいました。
つまりキャプテンブラボーの「ブラボー」は、賞賛のブラボーだったのです! 強いわけだ!(何となく)
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まぁでも、今週のジャンプで一番面白かったのは、「デスノート」でライトがアイドルの写真集を読んでいるシーンだったんですけどね。彼にとっては、高価な小型液晶TVを使い捨てるよりも、まったく興味がない写真集を演技で読む方がよっぽど辛かったはずです。
だって、現実世界に絶望している彼は、空想の世界の女の子にしか興味がないに違いないですからね! 玉置勉強先生や月野定規先生のマンガとか読んでそうですよ彼!(プロファイリング)