2005/09/30

■サンデー44号における「ワイルドライフ」の動物描写の抽象ぶりはもはや芸術の域

「これならば、清麿も回復しながらついていける!」(金色のガッシュ)

 熱血しているところ大変に申し訳ないんだけど、いくら何でもそれはちょっと回復できないような気がします! それじゃまるで、棺に入った状態で連れ回されるドラクエのキャラみたいですよ! 一度死んでも休めない清麿はたいへんだなあ!
 あと、大怪我してるんだから、介抱する意味でもせめて服ぐらいは脱がせた方がいいんじゃないかと思った。エロくない意味で。

李天門大はしゃぎ(史上最強の弟子ケンイチ)

ぬっはあああ!

 たしかに拳法を極めた達人はどんな相手をも一撃で倒すと言われてはいますが、いくら達人と言えどもコンクリートの壁を頭突き一発で粉砕してしまうってのは、ちょっとヤリスギなような気がします! しかも「ぬっはあああ!」ってアンタ! この奇声は達人と言うよりは変態の域ですよ! 警察呼ばれますよ!

 とは言うものの、いい年した大人が子供相手に地面を転がったり弾道ミサイルごっこをしたりコント以外には成立し得ない方法で壁を壊したりと大暴れする今週の「ケンイチ」は、個人的にはとても楽しく読むことができました。特に、最後のシーンで一人で勝手にキョロキョロした挙げ句にいきなり背中から凄い勢いで倒れ込み、目からビームを出しながら「馬 剣星!」と叫ぶシーンの彼は、最高に輝いていたと思います。こういう大人になってもいいんだ! と思います。
 爽やかな感動をありがとう李天門師父。そしてさようなら(決めつけ)。

暴走すると萌えキャラになる薫(絶対可憐チルドレン)

 限界を超えて能力が薫を中心に爆発したシーンで、「危険がウォーキング」を思い出した人?(挨拶)

 もはや「絶チル」におけるオチの定番と化してきた感がある薫の暴走ネタですが、今回は『頭を使って超能力をコントロールし過ぎると萌えキャラに変身する』という新機軸で攻めてきました。最後のシーンで「バッカ、ちげーよ!」と皆本に元気に飛びかかる本来の彼女もカワイイですが、まんまる白目の状態でフラフラしてる暴走状態の彼女もゾンビみたいであなどれない可愛らしさを発揮。
 「にゃ」とか「にょ」とかいうテクニカルタームを交えつつ皆本に甘える薫に至っては、もはや萌え対象です。

 しかし今週の最大のポイントは、前回のエントリでも書きましたが、皆本が兵部に対して顔を背けながらも「コイツ(薫)を守ってくれて感謝する」と礼を言ったところにあります。
 彼の兵部に対する態度と台詞からは、「相手に感謝したいんだけど、これまでの手前を考えると素直に自分の気持ちを伝える訳にもいかない」という、アンビバレンツな心境を読み取ることができます。つまり、この時の彼の心理は、ツンデレキャラが異性への恋に目覚めた時のそれと等価なのです。
 即ち、このシーンでの彼の台詞を判りやすくツンデレ語に翻訳すると、「あたしはアンタに助けてもらったから、それのお礼を言ってるだけだからね! あ、アンタのことなんか別に何とも思ってないんだから! か、勘違いしないでよ!」ということになる訳であり、これは即ち専門用語で言うところの『フラグが立った』状態であることは明白であります。

 チルドレン達になつかれてる時は「内心は嬉しいんだけど表面上はそれを隠している」むっつりスケベな状態を押し通している皆本ですが、兵部の前ではツンデレとなってしまう。薫を兵部の魔の手から守るはずの立場の彼が、そんなことで本当に大丈夫なのか。薫を媒体とした兵部と皆本のこれからの展開や如何に?
 そんな感じで、ますます作品構造に奥深さが出てきたこのマンガの今後に期待です。期待の仕方が間違ってる気もしますが気にしない。

「すみません頭領。俺、言いつけ守れませんでした」(結界師)

 限に対する良守の表情の変化が面白かった今週の「結界師」。腕を吹き飛ばされた時には心から限のことを心配し、「お前は化け物じゃない」と諭す時には親友の顔になり、そして完全変化を遂げた限を見て「かっこいいじゃねーか」と戦友のように不敵に笑う。どれも、良守が如何に限のことを大切に思っているのかが伺える描写です。

 そしてその限は、自分のことを「化け物じゃない」と言ってくれた良守を救う為に、「変化をしない」という正守との約束を破る決断を下します。先週までは、戦いの最中でも正守の笑顔を脳裏に浮かべてしまうくらい正守を崇拝していた限でしたが、自分の心の中では正守の期待よりも良守の信頼の方が大きくなっていることに、ついに気付いてしまったのです。
 「すみません頭領。俺、言いつけ守れませんでした」という限の言葉は、自分の中の正守の虚像との決別の言葉でもあるのです。

 という訳で、今週は良守×限が公式カップリングと認められるエピソードだったと認識致しました。
 認識の仕方が間違ってる気もしますが気にしない。

「キス…してみようか?」(ブリザードアクセル)

 「あいこら」なんていう極まったラブコメマンガが載っている雑誌の中で、あくまで王道の青春ドラマを描こうとする鈴木央先生の姿勢はストイックで格好良いです。

 次週は、如何に格好良く吹雪が六花を説得し、彼女に自尊心を持たせてやるかがポイントでしょう。
 というか、一度キスしたくらいで異性と心が通い合えるようになれるんだったら、誰もこんなに苦労はしないと思いますYO!(←何かあったんか)

取材のため休載が長引くうえきの法則

 もう何週間も連続して「うえきの法則プラス」が取材のためお休みとなっていますが、さすがにこれだけ「取材」が続くとちょっとヤバいんじゃないかという気に。大丈夫か福地先生。

2005/09/23

■サンデー43号は「週刊少年亜取アキラ」と改名するべきだと思った

「だって俺がここにいるのは…」(結界師)

 自分が生きるか死ぬかの瀬戸際の戦いをしている最中に正守の姿を脳裏に浮かべちゃうから、世間では正守×限が公式カップリングみたいな扱いを受けちゃうんですよ!(公式?)

 カップリングはともかく、今回の牙銀と結界師チームとの戦いを読んでると、アクションゲームをやってて初めて出会ったボスキャラ相手に「こいつにはどんな攻撃が有効なのか?」と探りを入れなから慎重にプレイする、あの感覚を彷彿とさせる緊張感が醸し出されていて素敵だなと思いました。既に「通常の結界技は効かないが、結界を使って物理的なダメージを与えることは可能」「牙銀の火の玉は跳ね返せる、跳ね返す方向のコントロールも可能」「限は牙銀のスピードに正面から対抗できる」等の描写は出てきているので、これらをヒントに攻略法を想像しながら読み進める楽しさがあります。

ウォンレイ退場(金色のガッシュ!)

 これは、「グラップラー刃牙」で言うところの「侠客立ち」(おとこだち)!
 とうに命は枯れ果てて されど倒れぬ「侠客立ち」! 男一代「侠客立ち」!

 以来、リィエンはウォンレイを侠客(おとこ)の鑑として崇め、「侠客立ち」と称して彫物とし、後の代まで彫り継ぐことになったと聞きます。
 聞きません。

妖霊大聖様(犬夜叉)

 「犬夜叉」って実はステキなジジイキャラが多いことに、今になって気付いた。
 高橋留美子デザインのジジイに萌えることができれば、「犬夜叉」はもっと読んでて面白くなるんじゃないかと思いました。がんばろう。

薫に接近する兵部京介(絶対可憐チルドレン)

 自分が演出したピンチの場面に颯爽と乗り込んで意中の女子を助けるという、古典的ながらも手堅い手法で薫に接近する兵部京介。さすが中身は人生経験豊富なお年寄りだけあって、やることに全く無駄がありません。その上で、今の薫に最も必要な「超能力を有効に使う戦術」を指南して、彼女からの信頼を得ることにも成功。
 そんな兵部にかわいい薫を取られてしまった皆本が「そいつから離れろ!」と叫んだ時の表情は間違いなく嫉妬のソレであり、今ここに薫の将来の婿の座を賭けた激しい戦いが切って落とされたと見るべきでしょう。薫を育成するに相応しい男は、果たしてどっちだ!
 ホント、みんな10歳の女の子が大好きな!(語弊)

 あとは、風呂場で濡れ乳(フェチ用語)を薫にマジマジと鑑賞された朧が悪寒を感じていたところが個人的なポイント。これって、薫の視線には、大人の女性をも感じさせる潜在能力を秘めているということになりませんか。その辺どうですか。
 今はまだ子供なのでちょっと横島忠夫的直情エロセンスが先行してしまっている彼女ですが、これが「ぞわっ」という擬音で表現される悪寒ではなく「ぞくっ」という擬音で表現される快感を呼び覚ますくらいの技術を身に付けることができれば、彼女は男性女性をあらゆる手段でメロメロにした上で身も心も支配する、名実共に「女王」として君臨することが可能なのではないかと思われます。

 以上の可能性を考えれば、確かに薫は兵部京介が言うように大変に危険な存在であると言わざるを得ません。
 薫…なんて恐ろしい子…!

今もレオタードにこだわるあだち先生(クロスゲーム)

 「高校行ったら何か運動やれよ。レオタードに手を出す前に

 あだち充先生と言えば「タッチ」、「タッチ」と言えば南ちゃん、南ちゃんと言えば新体操、新体操と言えばレオタード。今現在サンデー読んでる子供達がどこまでご存じなのかは判りませんが、「タッチ」がサンデーに連載されていた時代からマンガを読んで来た人間にとって、あだち充先生とレオタードは不可分な関係にあるのです。
 「あだち充 レオタード」でググると何故か2番目にヒットしてしまう当サイトの責任において、これだけは明言しておかなければなりません。

 今を去ること80年代、まだ「萌え」という概念が発明されていなかった頃、あだち先生が描く南ちゃんのレオタード姿は当時の男性読者のエロ願望を痛烈に刺激。その艶めかしさたるや、「南ちゃんが脱いだ直後のレオタードからは、体温が残ってて温もりを感じるような気がする」と称えられる程でした。また、当時のサンデーのもう一人の雄・高橋留美子先生も「うる星やつら」「らんま1/2」でレオタード姿の女性キャラをバンバン登場させて人気を博し、ここに『エロコメにはレオタード』という黄金律を確立させるに至ります。
 折しも時は大量にアニメが制作されていたアニメバブル期であり、いわゆる美少女アニメと呼ばれるジャンルには、レオタードを基調としたエロい格好をしたキャラクターがそこかしこに見受けられました。「美少女戦士セーラームーン」の登場で、80年代から続いたレオタードムーヴメントは頂点に達します。

 しかし90年代の初頭において、その「セーラームーン」の火野レイや「GS美神」のおキヌちゃんを代表とする巫女キャラに対する人気が上昇。レオタードのような直接的なエロではない、よりソフトかつフェティッシュなエロを好む路線が台頭し始めたのがこの頃でしょう。「GS美神」の中で、椎名高志先生が巫女装束に対して「レオタードにないエロチシズム!」と叫んだ時期を境にレオタード全盛の時代は終息へと向かい始め、より複雑化・フェチ化した「萌え」の時代が始まったのではないか? と私は思うのです。

 そして時は現在、フェチがパーツレベルにまで細分化した「あいこら」なんて変なマンガがサンデーにも掲載されるようになりましたが、その時代においてもあだち充先生はレオタードに拘りを見せている様子。ツンデレキャラに挑戦する気概を見せる一方で、己の基礎を忘れない一徹さも持ち合わせているあだち充先生は、やっぱり凄い漫画家なんだなあと改めて感心させられました。
 がんばって下さい(何だこれ)。

畑先生は本当に林原めぐみの歌が好きなんですね(ハヤテのごとく)

 畑先生の林原めぐみ大好きっぷりな話題に触れるのは、サンデー感想サイトとしての義務です!
 紳士ですから!

 あと、カラオケボックスであのタイプのコンパネが用意されていた場合、つい過去の客の歌った曲の履歴をチェックしてしまい、そこでアニソンを見つけたりしちゃったら「前に歌ってた奴らは俺たちの仲間だ!」と思って嬉しくなってしまったりしませんか?(挨拶)

健介殿格好良すぎ(道士郎でござる)

 早乙女から実力以上の力を引き出させ、ハッタリが信条の池内にはその威力を存分に発揮させ、そして場の雰囲気を自分の支配下においたところで満を持して道士郎を登場させる、健介殿の戦略的なセンスの良さに惚れてしまいそうです。
 今の健助殿の強さは、間違いなく「本当の強さ」とは何かを知っているが故の強さですね。正攻法で強さを表現している「史上最強の弟子ケンイチ」とはまったく違ったアプローチなのが興味深いというか、「道士郎」という作品の懐の深いところだと思います。

虎穴に入らずんばフェチを得ず(あいこら)

 「攻めのフェチ」ってアンタそれ犯罪!

 とはいえ、今週もまた大変に面白かったです。ここんとこ井上先生絶好調ですな。「ランド・オブ・ザ・デッド」公開の影響でしょうか。井上先生のゾンビ大好きっぷりは、畑先生の林原めぐみ大好きっぷりに比類する程ですからね!
 濡れ乳ネタが「絶チル」と被る辺りはご愛敬。濡れ乳は男子永遠の憧れ。

今週のこわしや我聞

 我聞と國生さんがお互いを家族のように信頼し合う姿が美しかった今週の「こわしや我聞」ですが、何というかこうあまりにも美し過ぎるというか、エロスが足りないというか、君たち高校生なんだからもっとこう「家族」とか「信頼」とかいう美しい言葉の裏に隠した、もっとギラギラした何かがあるだろうというか! 言葉では表現しづらいんだけど、みんなには判ってもらえるよね! みたいな!

 というか、ちょっと前に桃子にフカされて真っ赤になってた國生さんの延長上にあるものが見たかったんですが、さすがにそれはちょっと望みすぎたかなと反省。「我聞」は元々そういうマンガじゃありませんしね。きっと純情な好青年に違いない藤木先生には、そのピュアなハートをいつまでも大事にして頂きたい(とても失礼な激励)。

2005/09/15

■サンデー42号感想速記版

ご挨拶:

 普段はインチキランキング形式でサンデー感想書いてますが、諸般の事情により今後しばらくはマンガの感想を推敲してゆっくり書く暇が取れなさそうなため、自分にとってものすごい楽な形式でやらせて頂きます。
 要は適当に書き殴り。

ウォンレイ退場(金色のガッシュ!!)

 リィエンを守るために最後の力を振り絞って立ち上がるウォンレイがやたら格好いい今週の「ガッシュ」ですが、でもどんなに去り際を美しく演出しようとも、彼が最期に戦った相手の名前が「ウンコティンティン」であることだけは変わらない現実がここに。
 ウンコの自爆から恋人を守るために死亡。武道家の最期は常に切ない。

ツンツン吾郎(MAJOR)

 待ち望んでいた夢が思いもかけない形で現実となったのに、素直になれない吾郎ちゃん。ツンデレの持ち味を遺憾なく発揮しているように見えます。
 「あいこら」の天幕桜子には負けてられねえ! サンデー最高のツンデレキャラはこのオレだ! と言わんばかりの彼の態度に萌えられる人間に私はなりたい。

兵部京介(絶対可憐チルドレン)

 兵部京介! その正体は齢80歳の老軍人!
 「新世紀エヴァンゲリオン」のカオル君かと思っていたら、実は「覚悟のススメ」の葉隠四郎だったというオチ!(まちがってる上に判ってもらえない気味の感想)

 とりあえず今回のエピソードのオチは、「チルドレンを将来僕の花嫁にしたい」とか得意そうに言ってた京介が、薫に「バーカバーカ!」と完膚無きまでにバカにされてフられて終わるに違いないと予想。というか期待。現代におけるモテ顔はカオル君風のイケメンではなく、既に皆本みたいな知性派メガネ君系に移行していることを知った上で出直して頂きたい。
 あと、わざわざ彼が学生服着ているのは、「バビル2世」の浩一君リスペクツ故でしょうか。エスパー少年は学生服を着ていなければならないという、昭和ジュヴナイルSFの大原則を守っているところは感心。さすがお年寄りだけあって、その辺のケジメはキッチリしてますよね(関係ない)。

「あ、バカって2回言った」(結界師)

 白の台詞にいちいちツッコミを入れる紫遠がカワイイと思った。
 あと本編の方は、繁守大活躍で嬉しいです(良守は?)。

「オレが気に入ってんだ!」(あいこら)

 正確には、「オレが気に入ってんだ!(目を)」ですね。己のフェチを貫く行動が、そのままフェチの対象となるパーツを持つ者を守ることに繋がってしまうという、このマンガのシステマチックな部分の面白さを象徴するエピソードだと思いました。
 あと、転校前の男子がみんな桜子に惹かれていたってことは、その学校の男子はみんな青い瞳が萌え要素の眼球フェチばっかりだったということなのか。あまねく男子は皆フェティシストであるということなのか。オタクの時代だなあ。

がんばったキャプテン今井(あおい坂)

 丸書いてチョン顔のキャプテン今井が「打てる」オーラを出したことが、相手のバッテリーにワンバウンドのスライダーを投げさせることを選択させ、結果的にそれが勝利に結びついた今回のエピソード。
 しかし、いくらそんな活躍をしようとも、きっと彼はこれからも今週のチアリーディング女子達から言われていたように、「今井じゃ期待できない」と周囲から言われ続けるんだろうなあと思いました。何故なら、彼がそういう顔をしているからです。彼はそんな人生を送るのが似合っている顔をしていると思います。それが、丸書いてチョン顔のキャラとして生まれついた、彼の宿命なのです。そんな今井君が、私は大好きです。
 少しは素直に感動しろオレ。

「人殺しだったお前が、殺しをしないと誓いを立てた眼鏡」(こわしや我聞)

 マンガに出てくるあらゆる眼鏡キャラは、その「眼鏡」に意味が込められていなければならないのですが、辻原の眼鏡にはそんな秘密が隠されていたのか! と、改めて彼の眼鏡っぷりに感動。
 彼の眼鏡は「本当の自分」を隠すためのペルソナとしての眼鏡ではなく、過去の過ちを悔い改めて「新しい自分」となるための、言わば象徴としての眼鏡だったのです。そして、彼にその眼鏡を掛けさせる決意を促したのが、他でもない我聞。辻原の眼鏡は、自分を生まれ変わらせてくれた我聞への感謝と誓いを込めた眼鏡なのです。
 彼が工具楽屋を辞職しようと決意した時に辞表と共に眼鏡を一緒に置いたのは、もう眼鏡がなくても自分は間違えることがないという、彼の決意の表れであったのです! 例え物理的に眼鏡を掛けていなくても、彼の心の中には常に我聞との誓いの眼鏡が掛けられていたのです! 心にはいつもダンディ眼鏡! だったのです!

 しかしストーリー上の都合とはいえ、とても惜しい眼鏡キャラを我々は亡くしてしまいました。
 彼には、「結界師」の修史さんや「絶対可憐チルドレン」の皆本たちと、サンデー最萌メガネ男子キャラの座をいつまでも争って欲しかったのになあ(まちがい)。

 そして来週のサンデーは、永遠に一人で宇宙に取り残されることになったフェイスレスの恨み節が楽しみです。
 サンデー随一の喪男である彼の言葉は、きっとサンデー読者の8割を占めるモテない者達のハートを暗黒色に震わせる呪詛の言葉を吐いてくれるはず!

2005/09/09

■「MAJOR」を読んで『君たちは小学生カップルか』と説教したくなったサンデー41号感想

  1. ちょっとだけ「GS美神」っぽかった今週のハヤテのごとく
  2. 鬱展開に入った今週のあいこら
  3. 墨村利守(結界師)
  4. イヤボーン薫(絶対可憐チルドレン)
  5. フェイスレスがいっぱい(からくりサーカス)

1. ちょっとだけ「GS美神」っぽかった今週のハヤテのごとく

 ここは「GS美神極楽大作戦!!」で有名な椎名高志先生のファンサイトという名目ですので、ちょっとだけ往年の「GS美神」っぽい演出がなされていた今週の「ハヤテのごとく!」には触れない訳には参りません。

 いやまあ、どの辺が「GS美神」っぽかったかと言えば、鉄パイプを指先で回してから殴りかかるヒナギクの一連のアクションが、神通棍を持った美神令子のソレに似てたなあ、というとこだけだったんですが。他はあまり似てません。
 もしこれが「ハヤテ」ではなく「美神」だったら、悪霊を退散させるシチュエーションは「ハヤテがヒナギクの胸を掴んでしまい、それでヒナギクの『気』が増大した」とかそういう横島忠夫的エロコメシチュエーションに持って行かなければならないのですが、しかし現代少年向けラブコメマンガにおいては男子はスマートかつストイックな存在でなければならないので、結局そういう描写は一切なく、理詰めでヒナギクを『悪霊を退散させた』と説得するという結末に。
 というか、エロという観点では、むしろオモシロ半分な感覚でハヤテを誘惑していたヒナギクの方が、遙かににエロかった気がします。現代少年向けラブコメマンガでは、エロいのは男子ではなく女子の方なのです。時代は男子総受けなのです。
 現代ラブコメマンガの世界では、もう横島忠夫は存在できないんだなと思いました(変な感想)。

 あと今回のエピソードでは伊澄お嬢様が正真正銘のゴーストスィーパーであることが証明されましたが、それと相反してどんどん作品内で影が薄くなって行くのが気掛かりです。作者自身も「報われない」とか書いてますし。いいのかそれで。
 「ハヤテ」世界における報われない女性キャラナンバーワンの座は西沢さんのものなのではないかと思っていたのですが、ここに来て俄然伊澄が追い上げてきました(影の薄さで)。このままでは、彼女は「ハヤテがコミックス3巻で打ち切られていたら最強のヒロインだったのに」と後世に記憶されてしまう、まるで「北斗の拳」が10週打ち切りだったらケンシロウの最強のライバルでいられたシンみたいな存在になってしまいかねません。あやうし!(変な感想)

2. 鬱展開に入った今週のあいこら

 先週のフェチ万歳っぷりが井上先生の本領であるならば、今週の鬱展開も、先生のもう一つの本領。フェチ賛美という光を描くためには、フェチという概念を悟ることができない「普通の人々」が、他とはちょっと違った要素を持つ者に対して向ける非寛容な冷たい視線がもたらす影も、また描かなければならないのだ! という感じで、魅惑の瞳を持って生まれて来たばかりに辛い目に遭ってしまった桜子の過去をキッチリと描いたエピソードだったと言えましょう。
 変態主人公が惚れ込んでる「パーツ」は、やはり当の本人達にとってはコンプレックスになっていた模様。この障害を乗り越えて桜子の心を主人公が癒していく過程を描くことが「あいこら」というマンガの正真正銘の目的であると思われる以上、いよいよこの作品も本題に差し掛かってきたと見るべきでしょう。試運転段階を終え、いよいよ本領を発揮し始めた井上先生の紡ぎ出す、これからの展開に期待です。

 正義の変態の熱い魂は、冷たく閉ざされたツンデレの心を攻略できるのか!
 つまりはそういうことだよね!(なのか?)

3. 墨村利守(結界師)

 「お父さんを守れるな?」「ハイ!
 「何言ってんですか! 僕も戦いますよ!」「でもお父さん、見えないんでしょ? あれ

 ナチュラルに修史パパの威厳を破壊している利守少年に萌え。その素直さが君の罪だ!
 この子は将来大物になると思った。

 あと「壁ハウス」さんの先週のサンデーの感想を読んで気付いたのですが、今回の戦いは繁守じいさんが大活躍する可能性が高そうですね。もし、雪村さんちにいる時子ばあさん(中身は式神なので無力)が人質に取られてしまったりした場合、繁守じいさんは怒りのあまり大戦鬼に変身して大暴れしてしまうに違いありません。そこで我々は、かつて愛した女の為なら己の命をも顧みずに戦う、一人の男の姿を目撃することになるのです。
 そして更に、自分の分身を救うために戦う繁守じいさんの姿を、異変を察して駆けつけた時子ばあさんが偶然目撃することに! 二人の間に蘇る、若き日の想い出! 墨村・雪村両家の数百年の確執は愛によってのみ乗り越えられることを、繁守じいさんと時子ばあさんが図らずも証明する展開になるに違いありません!
 ヤバイ! あまりに燃える展開過ぎて、想像しただけで泣けて来たよ!(バカ)

4. イヤボーン薫(絶対可憐チルドレン)

 かの「サルでも描けるマンガ教室」でも述べられていたように、エスパーマンガにはお約束としてイヤボーン効果が欠かせませんが、今週ついに薫がイヤボーン的な覚醒を遂げてしまいました。ただ、発動のきっかけが「自分の身の危険」ではなくあくまで「皆本の身の危険」であるところが、皆本のことが大好きな薫らしいところです。
 愛する者を守るためだったら、少女は天使にも悪魔にもなれる! みたいな、ベタと言えばベタなんだけどドラマ的な観点からすれば極めて正しい展開を見せて頂いた気分です。軍用ECMですら止めることができない、本気を出した薫の破壊力の描写は迫力十分であり、だからこそその力を目の当たりにした皆本が「止められるさ…!」と誓うように心の中で呟くシーンが栄えてくるというもの。

 そして、皆本のその言葉と同じくらい重要であると思われるのが、紫穂の「子供だってされたことは忘れない… 私たち、超能力はすぐに取り戻すし、いずれ大人にもなるわ」という台詞。このマンガは最終的に「チルドレン達が大人になった時、人類にとっての悪魔となるか否か」がテーマとなることが既に提示されているのですが、今回の一件は彼女たちの記憶に大人になっても留まり続け、それが後の彼女たちの運命の選択に影響を与えることになるでしょう。
 彼女たちが大人になるまでの時間は、彼女たちが復讐を育むために必要な時間でもあることを忘れてはなりません。葵が言うように、復讐という料理は冷めてからがオイシイのです。

 ところで、鉄パイプに縛られてグッタリしてる皆本の姿に、ちょっとだけグッと来ちゃった人はいますか?(←聞いてどうする)

5. フェイスレスがいっぱい(からくりサーカス)

 今回はもううんざりする程フェイスレスの顔が大量に出てきましたが、それぞれの顔の表情がどれも少しずつ違うところが凄いと思いました。だって、これ全部、コピーじゃなくて一個一個手で描いてるに違いないんですよ! フェイスレスの顔を大量に描くだなんて悪夢のような作業を延々と! やっぱり藤田先生はすごい! そしておかしい!

 あと、何げに液状化したマサルがかわいいと思った。

2005/09/01

■「MAJOR」の表紙で媚びを売る清水に哀れみを覚えたサンデー39号感想

  1. 「ウンコー!」(金色のガッシュ!)
  2. 「あの二人に誘惑されたら前屈みにくらいなるわよ」(絶対可憐チルドレン)
  3. 「だって小学生とつきあうなんて許されないだろ」(道士郎でござる)
  4. 最後のページで我聞に飛びつく桃子(こわしや我聞)
  5. 妙に格好いい幹人(クロザクロ)
  6. 番外:コミケで入場待ちをしていた畑先生

1. 「ウンコー!」(金色のガッシュ!)

 今週の「ガッシュ」におけるウンコティンティン様の品のないギャグの数々は、明らかに子供向けにチューンされたものなのですが、でも仕事や何かで疲れ切っている今の自分の頭には、この程度のギャグがとても心地よく響きました。「ウンコー!」と叫びながら武器を投げるウンコティンテイン様の勇姿には感動さえ覚えます。私も一緒に叫びたいです

 ですので、今回のエピソードがアニメ化された暁には、バンダイは股間に装着してウィンチを引っ張るとはねをのばして「フェニックス!」と叫ぶアヒルを商品化して販売するべきです。うんこやちんこが大好きな、フロイトが言うところの肛門期真っ盛りのお子様は間違いなく大喜びしますし、何より全国のオレみたいな疲れたサラリーマンのお父さん達にも大好評なはずですよ! 是非!

2. 「あの二人に誘惑されたら前屈みにくらいなるわよ」(絶対可憐チルドレン)

 紫穂の毒舌を集めたコンテンツを作ったら面白いんじゃないかと思った(感想)。

 それはともかく、今回は薫のお話。彼女が「横島の妹」とまで称されるくらい性教育的観点から見てアレな感じに育ってしまったのは、身内の家族にも大きな原因があるのではないか? と推測させてくれる回でした。自分が心から信頼している数少ない男性に対して、姉や母が前屈み必死な態度でアプローチしている現場を何度も見せられたら、そりゃまあソッチの方にもグレるのも仕方ないかなあという感じ。
 ただまあ、家族の関係そのものは極めて良好な様なので、それほど深刻に捉える必要はないみたいですが。

 とりあえず今回でチルドレン達の家庭環境に関しては一通り説明された訳なんですけど、どこも多少の問題はあるものの、基本的にはみんな家族を愛しているいい子ばかりであり、今のところは彼女たちが将来「人類にとっての悪魔」に成長する程の要因を抱えているようには見えません。
 ということはアレですか。このマンガは、これから彼女たちが成長するに従って冷たい世間の風に吹かれてどんどん荒んでいき、やがては「人間の性、悪なり!」と悟ってデビル覚醒をして世界を滅ぼしてしまうまでの過程を描く、ピカレスクかつノワールなディストピア少年マンガになるということですか? コミックス10巻が出る頃には、我々は今サンデーに連載されているストーリーを読み返しては、「この頃は、この子達も素直でかわいかったんだけどなあ…」と遠い目をすることに? 楽しみだなあ!(最悪)

 次回から始まるであろう新展開に期待します(フォロー)。

3. 「だって小学生とつきあうなんて許されないだろ」(道士郎でござる)

 「道士郎でござる」の出版社が、小学館じゃなくて茜新社だったら許されると思うんですけどね!(まちがったソリューション)

 個人的には、今回の町内会見回り編で池内君(特徴:鈴カステラ頭)が正式にレギュラー化したのが嬉しいですね。どんな出来事でもヤンキーが好きそうな頭の悪い伝承と化してしまうしてしまう彼の言動は、毎回自分の笑いのツボを刺激してくれるので大好きです。オレも学生時代にこういうダメなセンスを身に付けたかったよ! と思うことしきり。
 オレも今後は彼のことをガイコツ君呼ばわりしようかなあ(身内意識)。

4. 最後のページで我聞に飛びつく桃子(こわしや我聞)

 マンガには描かれていませんが、このコマの桃子からは間違いなく耳と尻尾が生えてます! 私にはハッキリと見えます! つうか普通見えるだろう! 見えないとおかしいだろう!
 ついに私も、桃子を通じて何かに覚醒してしまったみたいですよ! 目覚めさせてくれてありがとう藤木先生!

 とか言いながら、一番グッと来たシーンは、國生さんのバインダーを使った変な体術投げで凪原を浮かせて我聞の打突で吹き飛ばす、夢のGHKコンボだったりするんですけどね。例え変なモノに覚醒してもその辺はわきまえているのでご安心を!

5. 妙に格好いい幹人(クロザクロ)

 「傀牙の種を捲いている張本人が意図すればね
 「また僕を怪物扱い?

 何だか、幹人が妙に格好良くなってるよ! 君は誰だ!
 こんなの、先週までパンツ1枚の姿でウロウロしてた幹人じゃないよ!(うるさいよ)

 これはつまり、「上位種」との戦いを何度も経験し、「みんなを守りたい」という意識が芽生えたことで幹人そのものの内面が成長を遂げた結果である、と好意的に解釈するべきなのでしょうか。あの萩の服を着たから性格まで変わっちゃった、とかそういうアレじゃないよね?
 ストーリー的には、傀牙の軍団を結成して操る謎の結社っぽいのが出てきたりして、いよいよ物語が佳境に差し掛かってきたというか、トガリ」の終盤みたいな臭いのする雰囲気になって来た感じ。これからもがんばってください(フォロー)。

番外:コミケで入場待ちをしていた畑先生

 「まぁ、僕も有明で熱射病になりかけましたが。(Webサンデー・まんが家BACKSTAGEの畑先生のコメント)

 先生…
 畑先生くらいの大物ともなれば、自分でサークルを作って前日に急遽作ったコピー誌を持ち込んで参加するなり、知り合いの同人作家のサークルのスタッフとしてチケットを入手して悠々と入場するくらいのことは可能なはずなのに、あえて一般参加者として5時間も炎天下の中で並んで待ち続けてしまう奥ゆかしさに、我々はもう萌え萌えであります! なんていい人なんだ畑先生!

 お母さんを大切にしてあげて下さい(フォロー)。

■少年誌とレイザーラモンHGの相性の良さに感心したサンデー40号感想

  1. 「大切なものを失って少し大人になった、光と四姉妹の物語。」(クロスゲーム)
  2. 「皆本もやっぱりその方が安心!?」(絶対可憐チルドレン)
  3. 「罪を憎んで、フェチを憎まず!!」(あいこら)
  4. 「ああっ、俺に妹ができた。小学生の妹。」(道士郎でござる)
  5. 真っ赤になった國生さん(こわしや我聞)
  6. 番外:今週のMAJOR

1. 「大切なものを失って少し大人になった、光と四姉妹の物語。」(クロスゲーム)

 サンデーの表紙に書かれている宣伝文句がコレなのですが、「四姉妹」と言いながら既に一人足りてないところに切なさを感じます。

 第一部は「まさかあのあだち充先生が、妹萌えな美少女わんさかコメディーを!?」と一方的な期待を抱かせた(オレに)挙げ句、メインヒロインと思われていた次女の若葉が突然死亡するという、かつて「タッチ」でカッちゃんを交通事故に遭わせたあだち充先生でなければ到底許されないような展開を我々に食らわせ、その恐ろしさを改めて植え付けることに成功した「クロスゲーム」。

 そして今週から始まった第二部ですが、今度のヒロインは三女の青葉である様子。彼女は「光のことが嫌い」と紹介されているものの、第一部では主人公の光に興味があるような素振りもたまに見せていた記憶があります。しかし当時は光と姉の若葉があまりにもラブラブであったためか、彼女がこの関係に割って入ることはありませんでした。
 その若葉が亡くなってから四年という長い月日が流れた今、果たして彼女は光にいかなる感情を持つようになったのか。いずれは彼に対して好意を示すようになるのか、それとも(今の光がそうであるように)若葉の影から逃れられず、光に対して無視した態度をとり続けるのか? この辺が、「クロスゲーム」第二部の焦点の一つとなることは間違いないでしょう。

 身近な存在の男子に対して素直になることができず、どうしても彼に対して突っぱねた態度を取ってしまう。これってアレですよ。ツンデレですよツンデレ。あのあだち充先生が、ついに美少女ツンデレマンガに手を出す時がやって来たと、つまりはそういうことなのですか? 美少女わんさかコメディーは成らずとも、ツンデレは成るのですか?

 主要登場人物にタッちゃん(=主人公)・カッちゃん(=ライバル)・南ちゃん(=ヒロイン)という固定されたロール(役割)を割り当て、この三人が人間関係のバランスを保ちながら微妙な駆け引きを繰り広げることによって緊張感を醸し出す――という、氏独特のスキーム(構造)を盤石なものにした「タッチ」から、20年以上の時が経過しました。今のあだち充先生は、かつての己が組み立てた構造に対して挑戦を続けているのかも知れません。

 ツンデレで構造改革を成し遂げようとする、あだち充先生の今後に期待します。

2. 「皆本もやっぱりその方が安心!?」(絶対可憐チルドレン)

 超能力を抑制するECMの話題になった時、葵や紫穂があくまで「超能力者対一般人」という俯瞰的な観点でその存在を論じているのに対して、薫はあくまで「自分と皆本」という個人的な問題に置き換えて「皆本もやっぱりその方が安心!?」と問いかけるシーンが、個人的に印象に残りました。

 最強レベルの超能力者であり、良くも悪くも超能力を持っていることがアイデンティティとなっている薫にとって、超能力を否定されることは自分を否定されることと同義であると思われます。それ故、皆本がECMの存在を肯定するということは、皆本が彼女自身を否定したという意味で捉えてしまっても致し方ありません。
 「この力、ない方がいいと思ってる?」と語る薫の不安そうな表情は、彼女が大好きな皆本から自分の能力や存在を否定され、一緒にいられなくなることを何よりも恐れている現れなのではないのだろうか? とか思ってしまいました。

 いやもう、薫はホントに皆本のことが大好きなんですねえ。私はそんな薫がもうかわいくて、かわいくて、かわいくて、かわいくて仕方ありません。どうしよう!?(←おちつけ)

3. 「罪を憎んで、フェチを憎まず!!」(あいこら)

 「パーツを愛する者なら、そのパーツを持つ者も愛せ!
 「罪を憎んで、フェチを憎まず!!

 キター!(AA略)
 ついに井上先生が、その本領を発揮してしまいましたよ!

 これらの台詞は、真性フェチの変態が主人公である「あいこら」という作品の本質的なテーマそのものを表現する言葉であることは、もはや明白であります。一見するとただの変態の自己弁護にしか思えないようなこれらの台詞が、ここまで読者の心に感動的に響いてしまうのは、作者の井上先生自身が彼等のようなフェティシストの美学というものを心から理解し、敬愛し、それをエンターテイメントとして描くことによって昇華させようとする、固く強く美しい意志があるからに他なりません。
 これぞ井上和郎作品の真骨頂! やっぱり井上和郎先生は最高の変態漫画家です!

 そして、結果的に真性フェティシストに囲まれる生活を送ることになった、弓雁ちゃんの今後が心配です。

4. 「ああっ、俺に妹ができた。小学生の妹。」(道士郎でござる)

 大ベテランのあだち充先生がツンデレに挑んでいる中、同じくベテランの域に達している西森博之先生は既に妹萌えの境地に到達していた罠!(罠?)

 わざわざ一話かけてまで早乙女が小学生女子・蓮沼裕美ちゃんのことで悩むエピソードを挿入するということは、今後も彼女がストーリーに絡んでくることが予想されます。次回からは、早乙女と義理の妹を巻き込んだ仁義なきギャング団との抗争劇が始まる予感。
 妹萌えに目覚めたヤンキーが何処までやるのか見てみたいと思った(まちがい)。

5. 真っ赤になった國生さん(こわしや我聞)

 桃子が登場してから我聞になつくまでの展開はベタ故に面白かったのですが、今回の「これまで全く意識していなかった身近な男の子のことを突然意識し始めるようになっちゃった自分自身に戸惑いを覚えて焦る」國生さんの姿も、またベタ故に面白い展開と言えます。

 國生さんは我聞を男性として意識しているのではないか? という描写はこれまでもさりげなく登場して来たのですが、今回ついに國生さんが我聞を「社長と秘書」の関係ではなく「男と女」の関係として捉えるパラダイムを獲得したことで、いよいよソッチ方面で俄然面白くなって来ました。
 っていうか、照れ隠しに我聞をバインダー投げしてツンと背中を向けてしまうとこなんて、いわゆるツンデレ娘が照れ隠しで意中の男子をブン殴って「バカー!」と泣きながら逃げるシチュエーションと、構造が全く一緒じゃないですか。これだ! 俺たちはコレを待っていたんだ! と、今頃全国百万人の我聞ファンが握り拳を振るわせて感激の涙を流しているはずです。
 これからはきっと、「生真面目だった女の子が男子を意識しすぎてドジっ娘に転落する」という、これまたベタな展開が我々を(そして國生さんを)待ち受けているに違いありませんよ! 楽しみだなあ!

 あと、九州に送られると聞いて「ブー」と駄々をこねてる桃子の姿はまるで桜井弘明監督アニメのキャラのようだったので、これはきっと作者の藤木先生が「我聞をアニメ化する時は桜井監督にお願いしたい!」と考えている意思表示であると思った。
 國生さんの声優が能登麻美子になるといいですね先生。

番外:今週のMAJOR

 「サンデーを代表する報われない女」でなければいけない清水の苦労がこんなにアッサリ報われるだなんて、あんまりですよ!(感想?)
 吾郎って案外押しに弱いタイプだったのね。

2005/08/18

■報われないサンデー女性キャラの座は「MAJOR」の清水に委譲されました(サンデー37・38号感想)

  1. 「もういいわ。答えだけ教えて?」((絶対可憐チルドレン)
  2. 「弱っ! 私のハムスター弱っ!」(ハヤテのごとく)
  3. 服を置いた萩(クロザクロ)
  4. 辻本退場(見上げてごらん)
  5. 今週のこわしや我聞

1. 「もういいわ。答えだけ教えて?」(絶対可憐チルドレン)

 紫穂は既に悪魔だと思いました(感想)。

 それはともかくとして、今回の主人公は葵。彼女には『チルドレン唯一の常識人』というアオリが付けられていますけど、立場的には『チルドレン三人娘の長女役』みたいな表現の方がピッタリ来るように思えます。
 下の兄弟と一緒に騒いでいるところを親に見つかって叱られた時、今回の葵のように「だってこいつらが――」と弟妹の狼藉が騒ぎの原因であると訴えようとしても「教えてやってくれ!(=お前が子供達の面倒を見ろ、の意味)」とすげなく却下され、更に「今、電話中だから静かに!」と大人の理不尽な理屈で言い負かされて弁解する機会を与えられずに納得できない思いをした経験は、兄弟の一番上として生まれてきた人なら誰でもあるんじゃないのでしょうか。
 もっとも自分は弟として生まれてきたので、その辺の心境はよく判りませんが。姉ちゃんゴメン(私信)。

 そういう訳で、今回のお話は「親が下の兄弟ばかり気にかけて、自分はかまってもらっていないんじゃないか?」という子供が抱きがちな不安を物語のベースにしている点が面白かったです。
 椎名先生のサイトの次回の完成原稿速報には「自分に相応しい作品を作ることが大事」みたいなコメントが書かれていますが、今回の話は自身も小さい子供を育てながらマンガを描いている「今の椎名高志」だからこそ作ることができたエピソードでしょうね。

 あと今回は小泉総理のバッタモノが登場してきましたけど、例の郵政民営化問題で衆議院がちょうどいいタイミングで解散してしまったため、図らずもタイムリーネタに。こういうのも「ツキに恵まれてる」と言うのか。

2. 「弱っ! 私のハムスター弱っ!」(ハヤテのごとく)

 「ハヤテのごとく!」のコミックス3巻が発売された日に衆議院が解散したため、次の日の朝の通勤電車の中で周りのサラリーマン達が「9.11衆院選挙!」と書かれた新聞を真面目に読んでる隣で「ハヤテ」の3巻を読むことになってしまって困った人?(挨拶)

 今回は「このマンガ唯一の『一般庶民』」である西沢さんが主人公のエピソードでしたが、バックにハムスターのスタンドを出現させた上、「弱っ! 私のハムスター弱っ!」とセルフツッコミまでこなしてしまう彼女は、庶民とは言えどもやっぱりちょっと普通ではないなあと思いました。
 そして彼女は立場的には一応ナギの恋のライバルの一人なのですが、どう考えても勝ち目がないところが、私の落ちぶれキャラ萌え属性を刺激して止みません。報われないサンデー女性キャラの座は、「いでじゅう!」の終了によって朔美ちゃんから「MAJOR」の清水さんに委譲されましたが、「ハヤテ」の西沢さんも十分その座を狙える立場にあります。これからも報われない努力を延々と続けて頂きたい。

3. 服を置いた萩(クロザクロ)

 あの萩が、延々とパンツ一枚状態を続ける幹人を見るに見かねて着替えを!
 サンデーにおける「主人公がパンツ一丁でウロウロしている記録」の更新を阻む気ですよ! 余計なお世話だ!(まちがい)

 というか、戦場に赴くというのにわざわざカバンに着替えを入れておくだなんて、随分準備がいいというか何というか。まさか、事前にこういう事態(主人公がパンツ一枚でうろつく事態)を予測していたのでしょうか。萩のカバンはバクさんのカバン並に何でも入ってるなあ(30代未満置いてきぼりネタ)。

4. 辻本退場(見上げてごらん)

 結局、“チキンハート”富士丸に順番が回ってこないまま、団体入れ替え戦が終了。ここで修羅場を経験しなかったことが、後々に富士丸君にとってマイナス方向に響いてくる気がするんですけど、まあその辺はいずれ物語の中で取り上げられるのではないかと思います。
 何たって「見上げてごらん」は、主人公の了がウィンブルドンの舞台に立つまでを描く、今後10年くらいは連載が続く予定の大河ドラマですからね!(決めつけ)

 それよりも個人的にちょっと意外だったのが、入れ替え戦で了と文字通りの血みどろの戦いを演じた辻本がテニス部を退部してしまったことです。彼の攻撃的なプレイスタイルは了にとって学ぶところもあるはずですし、いわゆる「タイマン張ったらダチ」的なヤンキーマンガの理論に基づき、この二人も戦いの後はそれなりにうち解け合う形になるのかな? 辻本って、ああ見えて案外ツンデレキャラかも知れないしな? とか予想していたんですけど、結果は自主退部という形で了に「葉っぱ」の重さをその身で教える結末に。
 この作品世界はヤンキーマンガの理論ではなく、極めて厳しい勝負の法則のみで構成されていることを、了にも読者にも知らしめるエピソードでした。

 さすが今後10年くらいは連載が続く予定の大河ドラマ! キャラや読者に要求する覚悟の度合いが違いますね!(決めつけ)

5. 今週のこわしや我聞

 桃子ちゃんが我聞にズギューンとキちゃった今回の「我聞」の展開は既に様々なサイトで散々ネタにされているので、一週間も出遅れた私としては今更もう何も言うことはありません。今回の桃子編はこのズギューンを描くためだけに企画・構成されたエピソードであると断言できますが、ここまで狙い通りに読者が萌え萌えになって喜んでくれたんですから、作者の藤木先生としても本望でしょう。
 今頃先生はきっと、読者から寄せられた桃子萌え萌え~な感想ハガキの束を眺めつつ、片手にワイングラスを持って「ウワッハハハウワッハハハ」と裏社会の黒幕みたいな笑い声を上げながら勝利の快感に酔いしれているに違いありません。というか、それくらいの価値がある勝利ですよこれは。

 しかし本当の問題は、ここまで人気が極まった桃子というキャラを、今後この作品の中でどんな形で活かしていくか? という点にこそあります。桃子をレギュラー化して立派なサンデー随一のツンデレキャラに鍛え上げるか、それとも桃子をレギュラー化して始終我聞にデレデレしっぱなしな緩いキャラに仕上げるのか。作者の藤木先生の今後の選択に期待です。
 今回の結論としては、桃子のレギュラー化を希望します。

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