2006/03/26

■ガール・フレンズ突っ込みどころ烈伝

 先週から始まった「絶対可憐チルドレン」の「ガール・フレンズ」編は超面白いッスね!(おそいよ)
 今回はやたら突っ込みどころが沢山あるので、個人的に引っかかったところをまとめてみました。

その1
・「日本で白人男性モテるの嘘デスかー!?」
 というか彼は最初から日本文化を著しく勘違いしているので、特務機関の日本支部駐在員としては正直どうかと思います。
 しかしネクタイを頭に締めた姿が似合うのも確か。悲しいほどに。
・大きな古時計を歌う大佐
 グリシャム大佐が活躍するシーンがどれもこれも大変に面白いのは、多分作者が彼を大好きだからでしょう。
 椎名高志が本当に描きたいのは巨乳キャラでも幼女でもなく、オヤジキャラなのではないかと思うことが時々あります。
・昔の兵部
 「クールな熱血漢」っぽい容貌。なにこの色男。
 昔の彼の姿がマンガの中に出てきたということは、彼の過去が語られるエピソードも近いうちに登場するのでしょうか。
・名無しの同級生女子は薫狙いではないかという妄想
 初登場時に彼女が着ていたシャツに「A GIRL MEETS A GIRL」と書かれていたのが、個人的にはどうしても気になって仕方がありません。クサいよね彼女!(オレの方がクサいです)
 ちさとも実は薫狙いだったら面白かったのですが、幼なじみの彼氏の方がイイみたいですね。残念。
・薫にラブレターを出した女の子がかたらカワイイ件について
 何ですかこの庇護欲をソソるやたら可愛らしい女の子は! 何このマンガ!(絶チルです)
 彼女は週刊少年サンデーじゃなくて、一迅社の「百合姫」に出るべき人材です。
・モテる葵と紫穂
 葵がモテるのは当然として、紫穂までモテている(というか紫穂の方がモテている)というのは、それだけ彼女が完璧に持ち前の腹黒さを見せないだけの技量を持ち合わせていることを意味しています。要するに猫かぶり。きっと本人は意識しないでナチュラルにやってるんだろうなあ。天性の悪女は違うなあ。
 学校で紫穂にラブレターを出してような子の大半は、きっと「シュガシュガルーン」でバニラのドジっ子な仕草に萌え萌えになって毎回ハートを奪われてる同級生男子みたいなものなんだろうと思われます。あの作品の世界では奪われたハートは通貨として使用できるので、女子は男子から奪ったハートで通販とかしてるんですよ。これぞまさに恋愛資本主義ですよ。男子かわいそう。
・「このさじ加減わかんねーかな!!」
 大きなオトモダチにとってはこういう感覚は極めて自然なんですけど、でもこれが判るようになるのはやっぱり大人になってからだと思います。
 薫はおませさんだなあ。
・登場人物:花咲ガニ
 ここまで細かいネタを仕込めるんだったら、たまには休載するのもいいかも知れないと本気で思った。
その2
・「キミらがそんなことでダメになるわけないだろ?」と皆本が言った時の薫の表情
 「お前は女の友情というものをわかってない!」と暗黙に訴えているような、薫のブーたれた顔が印象的でした。
・「途中で彼氏に会ったら『先帰ってて』とか言うよーになるね!」「あ~ あるね、たしかに」
 これは一般的に言えることなので大きなオトモダチな皆さんは十分共感できることだと思いますが、ちさとは既に薫に一度『先帰ってて』と薫から言われたことがあるので(コミックス4巻「ナショナルチルドレン」1話参照)、尚更「あ~」だったんでしょうね。こめかみに怒りの漫符が入ってますし。ちさとちゃんもこの辺は骨の髄まで女なんだなと思いました。
・「そりゃいつかは… でも、まだイヤなんだもん…!!」
 今回のエピソードで唯一シリアスなのがこのカット。友達を含めた周囲が否応なく「先」に進んでしまうことに対する、言葉にならない不安であると解釈しました。「成長」をテーマの一つにしているこのマンガでは、主役である薫がこう考えていることは結構重要な意味を持つのかも知れません。
・「あんなさわやかに輝く女じゃないはずなのにー!! お前は腐っちまったー!!」
 今回のエピソード最大の笑いどころ。激同
 紫穂はキラキラした笑顔をしただけでギャグになるのが凄いなあと思いました。意図しないままに笑顔で男を操る彼女の天性っぷりは凄すぎて震えが来ます。
・子供と同レベルの局長
 薫と行動がシンクロさせることで、局長の幼児性を高らかにアピール。薫のは年相応のわがままなのでカワイイものなのですが、なまじ権力がある人間がわがままをやらかすと「小学生のデートを、全力で阻止するッ!!」になっちゃうのでたいへんに迷惑ですね。もっとやって下さい

 そして次回は、5歳の時のチルドレンが出てくるとの事なので楽しみ。その1の表紙絵が10歳、その2が20歳という感じになっているので、これはその3の表紙の絵に使われるのかも。
 あの絵は「椎名絵じゃ萌えねえ!」という批評に対する椎名氏の意地に違いないと、勝手に確信しています。

2006/03/25

■絶対可憐チルドレン4巻

絶対可憐チルドレン 4 (少年サンデーコミックス) 絶対可憐チルドレン 4 (少年サンデーコミックス)
椎名 高志
小学館 / ¥ 410 (2006-03-17)
 
発送可能時間:在庫あり。

 買いましたー!(おそいよ)
 そんな訳で感想。

第一部完

 読み終わって最初に思ったのがこれ。この巻は、「絶対可憐チルドレン」というマンガにおける『第一部完』的なポジションに相当すると思いました。例えこのマンガが途中で打ち切りになろうとも(なりませんでしたが)、作者は最低限でもここまでは描きたかったんだろうな、というエッセンスが込められている巻という感じ。

 「サイコ・ダイバーズ」編の最後で、皆本と薫が将来を約束することで兵部が作った「予知を元に未来での可能性を捜すために作った夢」から脱出できたことは、この作品が冒頭で提示した「破滅の未来」を回避するための方法をこの二人が見つけ出したことを意味しています。「未来は変えることができる」という希望を皆本に(そして読者に)与えるこのエピソードは、最初に「破滅の未来」を提示した以上は物語の中に織り込む必要があるものであり、それを無事に描ききることができたことで、「絶チル」は作品として一つの大きな山場を超えたのではないかと個人的に思っています。そういう意味での「第一部完」です。

 その後の「ナショナル・チルドレン」編や、現在進行中の「ガール・フレンズ」編を読む限りでは、薫と皆本の間に生じた「絆」を更に他のキャラクターにも広げる方向に話を持って行くつもりなのかな? という気がしています。
 個人的には、せめて葵には人並みの幸せを掴んでもらいたいなあと思います。でないと泣くよ?

関係性の変化

 薫と皆本の関係のみならず、皆本がチルドレンを育成する「超能力美少女育成コメディー」なるこのマンガのコンセプトに対しても変化が発生したのではないか、と思わせたのがこの巻。
 このマンガが始まった頃の皆本のスタンスは「子供への厳しさと愛情を合わせ持った保護者」という立派なものであった(というか、少なくとも本人はそうあろうとしていた)はずだったのですが、現在では徐々に「アタシを叱らないハンサムで優しくて頭が良くてしっかり者で高収入の年上のお兄さん。もしかしたら、彼との甘いロマンスも!? キャッ」的な、何かこう女の子の願望を実現したキャラクターになりつつあるんじゃないかという気がしてなりません。

 チルドレン達と皆本の間の関係の変化が明確になったのは、「ハート・ブレイカー」編で皆本が『僕と一緒に戦ってくれ!』と言ったシーンでしょう。「自分が守ってあげなければならない子供」ではなく、「共に戦うチームのメンバー」としてチルドレン達を再認識した瞬間がココです。4巻の「サイコ・ダイバーズ」その4の穴埋めページには『なんで二回言うの』『だいじなことだから』という会話が描かれていますが、それだけこのシーンが皆本にとって大事なことなのだと暗に訴えているのです(こじつけ)。
 そして、その後の「ハート・ブレイカー」での皆本の薫へのメロメロっぷりは皆さまご存じの通り。ロリコンムッツリスケベ呼ばわりされるに相応しいデレっぷりが見事でした。すっかり薫にヤラれちゃってますよね皆本。このマンガが「超能力美少女育成コメディー」と銘打って始まった頃は「皆本が美少女に育成されるマンガになるに違いない!」とか冗談で言ってたものでしたが、なんかソレが本当になりつつあるような気がしてならないのです。

オマケマンガ解析

 あと4巻と言えば、やはりどうしようもない(褒め言葉)おまけマンガにも触れなければなりません。

 メタ的な視点で物語の構造を捉えてそれをギャグに落とす技術の高さはさすがパロディ描かせたら上手い椎名高志だなあと素直に感心させられたり、あんなこと言いながら実は椎名先生も本心では「ラブひな」みたいなマンガを描きたいのかと勘ぐってしまったりした訳なんですけど、唯一惜しまれるのは、主人公が内心では裸を見たくて仕方がないと思っているメインヒロインの立場のキャラが『絶チル』には存在していないため、この手のラブコメマンガのお約束である『悪友から「××(ヒロインの名前)の裸が見られるかも知れないぜ?」とそそのかされることで、普段は優柔不断な主人公が女風呂を覗く気になる』シチュエーションを再現できないところです。これ重要ですよ!(力説)
 で、その後は主人公倒れる→主人公の裸をヒロインに見られる→何故かヒロインに介抱されることになる→何かいい雰囲気になる→途中で理不尽な形で邪魔が入る→寸止めラブコメ成立、というフローチャートで粛々と処理されれば完璧です。少年誌におけるラブコメは、如何に寸止めシチュエーションに持って行くかが重要ですからね! 寸止め重要! 「ラブひな」も「いちご100%」も寸止めで世界を獲りましたからね!

 しかし「絶チル」の場合、皆本が薫の裸を見たがったらその時点で寸止め以前に社会的にアウトですし、万が一薫が意識を失った全裸の皆本に遭遇したりしたら、寸止めが成立しなくなる可能性が高くなってやっぱり社会的にアウト間違いなし。ムッツリスケベな二十歳の男とおませでエロな十歳の少女という設定は、構造的に典型的エロコメ的なベタ展開を許さないのです。この辺にも、「絶チル」というマンガの設定の妙が伺えます(強引)。

 個人的に、4巻のオマケマンガでは「サイコダイバーズ」編で皆本が寝ている間に夢見ていた薫とのエロい妄想シーンを拝みたかったのですが、その辺は作者よりもむしろファンが同人誌を作って自らカバーするべき領域なのでしょうか。夏コミ行けるといいなあ(捜すの?)。

 あと、朧さんの乳は控えめに言っても明らかにデカ過ぎると思います。
 結局4巻の感想じゃない文章になってしまったような。まあいいや(おわり)。

2006/03/15

■第4回仁川経済大学コミックアワード

 もうネットでは旧知の話題になってしまいましたが、みんな大好きバーチャルネット博士こと駒木さんのサイト「駒木博士の社会学講座」で開催された「第4回仁川経済大学コミックアワード」において、ついに連載版「絶対可憐チルドレン」がグランプリの栄冠に輝きました。
 駒木博士のところのコミックアワードは、ネット上におけるマンガ評論の権威として確立しているイメージがあるので、そこで「絶チル」が最高の形で評価されるというのはファンとして純粋に嬉しいです。

 これでコミックス5巻の販促の帯には、「これぞエンターテインメント!! 2005年最高傑作と評された『絶対可憐チルドレン』」とか書かれること間違いなしですネ!

 「絶チル」はグランプリと同時に『ジャンプ&サンデー最優秀長編作品賞』も受賞しているのですが、その受賞理由として書かれている

『絶対可憐チルドレン』はとんでもない作品です。どれくらいとんでもないかと言うと、何もかもが巧過ぎるので、普通に読み飛ばしてたら全く凄い事に気付かないぐらい、とんでもない(苦笑)。

 というコメントが、「絶チル」が如何に完成度が高いマンガであるのかということを、とても判りやすく表現していると思いました。
 つまり「絶チル」の何処が凄いのかというと、マンガとして基本的なことを極めて高いレベルで自然に実現しているところが凄いのだ! ということなんですよね! ハカセ!(←誰?)

 そしてそれと同時に、「現代マンガ時評」を含む定期更新の終了もアナウンスされました。
 ここ最近は明らかに更新するのが辛そうな雰囲気だったので、この決定も致し方ないと思います。

 駒木博士のサイトは既に「権威」としての地位を確立していると思うのですが、それ故に「自分の立場を考えて、発言内容にもっと配慮して下さい」と受講者から言われてしまう程の大きなプレッシャーを駒木さんに与えていた訳であり、その期待に応えるだけの評論活動を行うモチベーションを(趣味の範疇で)これまで保ち続けて来たのは、とても大変なことだったことは想像に難くありません。
 今まで本当にご苦労様でした。しばらくの間、ゆっくり休養して下さい。

 あと、ぶっちゃけチャット大会の日程が決まりましたらぜひ参加したいと思いますので連絡下さい(笑)。

Posted at 23:15 in マンガ::いろいろ | WriteBacks (0) |

2006/03/14

■MISTERジパングを読んでいだ時の違和感を思い出した

 お久しぶりです(挨拶)。仕事で頭がテンパッていたので更新停止してました。

 「ピアノ・ファイア」のいずみのさんが、「椎名高志のコマ割りグセ」というエントリにおいて椎名高志マンガにおけるコマ割り(と、それに伴う問題点)について書かれていたので、それに対して色々考えたことを(あまりまとまってませんが)書いてみます。

 特にコマ割りに関しては、椎名高志は極楽大作戦の時代から「1ページのコマを6コマ以上に割らない」というスタイルを通している(大体3~5コマが普通で、6コマに割るのは珍しい)と思うのですが、そのコマ密度の低さに対して、1話あたりのストーリー展開が早いという要素が災いして、しょっちゅう説明不足な場面を生んでます。
 ギャグにしろ見せ場にしろ、「オチを出すのが早い」「起承転結の承や転(タメ)が足りない」印象を度々受けました。場面と場面がうまく繋がらなくて、一瞬ワープしているような気にさせる。

 んで、この「オチを出すのが早い」「タメが足りない」という現象は、今連載中の『絶対可憐チルドレン』でも良くあるんですよね。おそらく、MISTERジパングの頃についてしまったクセが作者に残ってるんだと思います。話のオチをいきなり出したり、キャラクターの感情が高まりきる前に大ゴマをバーンと出して決め台詞を叫ばせてしまったり。「作者が見せたい結果」だけを脈絡無しに描いているような。

ピアノ・ファイア 「椎名高志のコマ割りグセ」より引用

 「MISTERジパング」の頃は、コマ割りについてはあまり気にならなかった(というか、マンガを読んでいてコマ割りを気にすることはなかった)のでそれに関しては何とも言えないのですが、当時リアルタイムで連載を読んでいて「リズムが悪い」と感じることが何度かあったことは記憶しています。キャラクターが自発的に喋っているのではなく、ストーリーに沿うように台詞を喋らされているように読めてしまうが故のノリの悪さというか、そういうタイプの違和感を当時持っていたのは確かです。
 それが、いずみのさんが『「作者が見せたい結果」だけを脈絡無しに描いている』と指摘しているところではないか、と思いました。

 ミスジパの時は、椎名氏が自ら「日吉が思うように動かせなかった」みたいなことを完成原稿速報に書いたり(参考:Wayback Machineによるログ)していた時期もあったので、当時は色々と悩んでいた面もあったのではないかと推測しています。

 そして現在の「絶対可憐チルドレン」ですが、これまで以上に意図的に大コマを使っていると感じることはよくありますね。基本的には「能力バトル」系のマンガなので、絵的なインパクトを最重要視した演出をしている印象を持っています。
 また「絶チル」では、「MISTERジパング」の頃のようなリズムの悪さを感じることは(個人的には)かなり減って来ています。特にコミックス3巻以降に収録されたエピソードでは、読んでいてその手の引っかかりを感じたことはほとんどありません。この頃から個々のキャラクターのパーソナリティが(作者にも読者にも)明確になり、作品そのものにも勢いが出て全体的なノリが良くなったというのもありますが、連載に人気が出て来たおかげで一つのエピソードに話数を費やすことができる余裕が生まれるようになったから、という理由もあるのかなと思っています。

 ただ、それでも「本来作者が構想していたストーリーから実際に誌面に落ちるまでの間で、相当プロットを削ぎ落としているんだろうなあ」と感じることは多々あります。前回の「ナショナル・チルドレン」編でも、グリシャム大佐の話芸をギャグとして大コマで見せることを最優先にし、その一方で本来ならストーリーのメインに据えるであろうはずの「過去の彼とおかっぱ少女との思い出のノスタルジー描写」は大胆に削って、『読者が考えて補完してもらう』方向にあえて持って行ってるフシがあります。
 こういう省略の仕方ができるのはマンガというメディアの特性であり、椎名氏はそういった記法が許されるマンガの文法を読者が把握し、意図を読み取る能力を持っていることを期待してマンガを作っているのではないか、と思います。ここまで表現すれば後はついて来てくれるだろうという、(良く言えば)読者の知性を信頼したマンガの作り方です。これは、特に近年の椎名マンガで顕著になって来ている傾向だと分析しています。
 これは、言い方を変えれば「マンガだから許される表現に頼っている」とも言えますが。「ナショナル・チルドレン」編を原作のテイストを活かしたままアニメ化するのは、結構大変そうだなあと思いました(気が早い)。

 あとコマ割りで思い出したのですが、「ラブひな」を読んでいた頃はよく「何故この人(赤松健先生)は、こんなに細かくコマ割りをしてまで1話でストーリーを進めようとしているのだろう。このボリュームだったら2話くらいに分割できそうなのに、もったいないなあ」とか不遜なことを思っていたのですが、これは自分の頭が椎名高志作品的なコマ割りのリズム(3~5コマ)に慣れているため、赤松健作品のコマ割り(6~8コマが基本?)を「細かい」と認識していたからだったんだろうなと、いずみのさんのエントリを読んで思い至りました。

 コマ割りの仕方でマンガの表現方法を観察してみるのも面白いですね。
 マンガを読む際の新たな視点を与えてくれて、ありがとうございます。

Posted at 21:50 in マンガ::いろいろ | WriteBacks (4) |

2006/03/03

■バカだがすばらしいサンデー13号絶チル感想

絶対可憐チルドレン

 グリシャム大佐が前大戦の生き残りということは、兵部も本来はあれくらいの容貌の爺さんだということなんですよね(挨拶)。

 センターカラーということで、いつになく爽やかな扉ページが目を引く今週の「絶チル」ですが、でもその内容といえば、「二人ともバカだが…すばらしい」というグリシャム大佐の台詞が全てを象徴しているような、極めておバカな展開でした。
 本来であればもっと「ちょっといい話」方向に雰囲気を持って行ってしかるべきエピソードなのに、よりによってエスパー二人がおっぱいネタでテンションが上がってしまうアレなキャラだったばっかりに、全てが台無しの方向に。素晴らしいです。我々は今「椎名高志のマンガ」を読んでいるということを、つくづく実感させてくれます。

 今回の『ナショナル・チルドレン』編は、作者の椎名高志先生の「例えどんな話でも、ギャグは入れないと気が済まないんだ!」「幼女も描きたいけど、巨乳キャラはもっと描きたいんだ!」という、明確な意志と作家としてのアイデンティティーが感じられるエピソードでした。ファンの立場としては、これからもこの調子でお願い申し上げたい所存です。

 あと、老婆を連れて来た後で皆本に甘える、葵と紫穂の姿の可愛らしさは異常。ホントに異常。やっぱり皆本は幼女にモテモテだなあ。
 メアリーからロリコン呼ばわりされるのも、全く正当な扱いだと思います。

■ブリザードアクセルの最終回直前みたいな盛り上がりがすごいサンデー13号感想

妖逆門

 マンガにアニメにゲームと、生まれた時からマルチなメディアで展開することが運命付けられた「妖逆門」が、ついに連載開始。少年サンデーと小学館の威信をかけて一発当てに来たぜ! みたいな風格を感じさせてくれます。
 子供達に人気出るといいですね(当たり障りのない期待の仕方)。

 まだメーカーのタカラのサイトには「妖逆門」に関する情報は掲載されていないみたいなので実際にどんなゲームなのかは不明なのですが、「妖逆門」というタイトル、そして「各地での課題をクリアしながら双六のように進んでいく」ゲームシステムから推測するに、バックギャモンをアレンジしたアーキテクチャを持ったゲームなのかな? と予想しています(勝手に)。ゲームシステムマニアの私としては、実際どんなゲームが出てくるのかちょっと興味が湧くところ。
 マンガの方は、そのアーキテクチャをどのような形でストーリーに活かして来るのかに期待しておきます。あと、アニメの予告ページに登場している「きみどり」という名前の傘を持った女の子は、明らかに性格が破綻しているキャラ独特のオーラが出まくっていて大変に魅力的なので、早急にマンガの方にも登場させるべきです。

金色のガッシュ

 ラストシーンでチェリッシュとテッドがキスしたシーンよりも、チェリッシュのパートナーのニコルが実は男装した女性だったことにときめいてしまった人?(挨拶)

ハルノクニ

 第二話にして、いきなり最終回間近かと錯覚させる緊張感あふれる雰囲気が感じられたエピソードでしたね(注意:このサイトに書かれているマンガの感想は、基本的に全て褒め言葉です)。

 今週は、食堂でケンカしている聖士と志乃を見て、『国家に対して反逆する戦士と化した聖士の前に、体制側に付いた志乃が立ちはだかる! 死合う定めの両戦士!』みたいな展開にならないかなあ、とか思いましたがどうか。ヒドイか(オレが)。
 あと、もし自分が聖士君だったら、浩一郎に対して「コーさん、ウドンの丼を横から鷲掴みにするその持ち方はちょっとヤバいッスよ」と指摘したいと思いました。容姿に違わず、彼はやはりただ者ではない雰囲気を漂わせていると思います。ウドンの持ち方でキャラの風格を表現するとはなかなか侮れませんね!(注意:このサイトに書かれているマンガの感想は(略))

結界師

 「何だよ! せっかく役立てるかと思ったのに!

 ついに影宮君がツンデレ的な言動を!
 本人の意図とは反対にどんどん良守に惹かれて可愛くなる一方の、影宮君の明日はどっちだ!

 火黒×藍緋とは予想外のカップリングでした(まちがい)。

あお高

 逃げてー! みんな逃げてー!(回転する教頭先生のドリルを指さしながら)

 本当だったらマサハル対杉田のシリアスな知謀派キャッチャー対決になるはずだったのに、それを全て帳消しにして今週の「あお高」をコメディーと化してしまった、巴キャプテンの愛の力はホンモノです。マサハルは巴さんから一生逃げられないと思います。

からくりサーカス

 もし履歴書の自己紹介欄に「好きなオートマータ」という欄があったら、まず真っ先に『フラッシュ・ジミー』と書くと心に決めていた私としては、ここで彼が退場してしまうのは残念です。  カワイイ系陰険オヤジキャラという微妙極まりない路線を開拓したジミーに哀悼の意を(三牛親子は?)。

2006/02/25

■コメリカとは(サンデー12号絶チル感想)

絶対可憐チルドレン

コメリカ!? コメリカと戦争したの!?
そうデース! コメリカ合衆国デース!

 椎名マンガの世界で「コメリカ」というと、初期の名作『マリちゃんたすけて!』((有)椎名百貨店に収録)の舞台となった国を指します。
 ちなみにこんな国。


(有)椎名百貨店ワイド版より

 看板が漢字なので、おそらく公用語は日本語なのではないかと思われます。

 『マリちゃんたすけて!』は、自分が椎名高志氏のマンガを読んで「これ描いた人はセンスと才能があるなあ」と確信した最初の作品なので、今でも思い入れがありますね。バビッチ佐野とか出てこないかなあ。彼のマフィアが擁する変態達なら、十分バベルや兵部配下のエスパーにも対抗できると思います。人類の未来を担うのはエスパーではなく変態だ!

 その辺はともかく今週の「絶チル」ですが、久しぶりにギャグを大胆に放り込んできたという印象です。グリシャム大佐に紫穂が接触する序盤のシーンなんかはシリアスな雰囲気でたいへんにカッコよかったのに、「動物園の三匹の象が処分されることに…!!」「象が!!」で自ら全てを台無し(褒め言葉)に。硬軟が切り替わるテンポの良さが絶妙です。さりげなくチルドレン達のパンチラ過多に対する言い訳を入れているのもグッと来ました。
 椎名高志という漫画家はこういうマンガを描かずにはいられない作家であることを、改めて認識させて頂きました。面白いなあ「絶チル」(いまさら)。

 あとはメアリーの良い意味での頭の悪さに萌え。
 「戦争よくないネー」とえぐえぐ泣くところが可愛くて良いです。

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